先週末から風邪気味だなあと思っていたら、どうやら季節の変わり目で喘息の発作が出て来たようです。体力が落ちているのかも知れないなあ。そんな状況だから、早朝のジョギングからも遠ざかっています。初レースが迫っているのに走れないのは穏やかではないけれど、仕方ないね。無理すると長引くので、もうしばらく我慢するほかない。医師から処方された薬も服用しているけれど、まずは滋養と睡眠を取って体力を恢復させるのが肝心でしょうね。それにしても喘息って、口うるさくて扱いの難しいオバさんみたいなところがあるなあ。

さて、このところふたたび金価格が上昇しています。その意味をひとことで言えば、世界中がインフレを求める時代に突入したということなんじゃないかな。欧州しかり、米国しかり、日本しかり。今朝の日経朝刊一面に出ている「量的緩和競争」とは、つまりそういうことでしょう。お金をどんどん印刷してバラまきますよ、だからインフレさんいらっしゃい、ということでしょう。でも、きっと、インフレにはならず、資産バブルだけが起きるんでしょうけど。

いまのお金は、信用を元に人為的に発行されているものだから、その価値を維持することは重要で、さればこそインフレとの戦いが中央銀行の仕事の中心だったと言って良い。少なくとも、これまではそうでした。けれど、いまや、役割は反転して、デフレとの戦いが中央銀行にとって大きなテーマになって来ました。そのために敢えて、お金をいっぱい印刷して、お金の価値を下げることでデフレを退治しよう、と。

でも、そうとう痛んでいるように見える信用通貨の価値を、うまくコントロールすることなどできるのだろうか?そうした根本的な不安が渦巻いています。よって、短期的な調整はたびたびあるでしょうが、金価格の上昇はまだまだ当分のあいだ続くことになるでしょうね。少なくとも、先進諸国が量的緩和の蛇口を閉め始めるまでは。それが5年なのか、10年なのか、という話ですね。

さて、また話は変わるけれど、縁あって、網野善彦著「日本の歴史をよみなおす(全)」(ちくま学芸文庫)を読み始めることになった。文字、貨幣、商業、金融、宗教、差別、天皇など、さまざまな視点から日本の中世に光を当ててます。目から鱗ぼろぼろ。この本、めちゃんこ面白いです。どこが面白いって、日本の中世を語っているのに、ヨーロッパのユダヤ問題の本質が透けて見えてることなんですよ。ユダヤのユの字も出て来ないのに。これは凄いことですよ。

by naomemo | 2010-10-06 09:01


金価格が跳ねて、ふたたび新高値を付けた。今回の上昇は、これまでとは少し意味合いが異なるように見える。なぜか。FRBに続いてECBが各国の国債を買い取ると発表したことがインパクトになったからだ。そんなにお札を印刷しちゃって、ほんとうに大丈夫なんだろうか、と、みんなが心配し始めたということだからだ。そうか、お札って、印刷物なんだという事実に、あらためて目が向いた、と言ってよいのかも知れない。

2001年から始まった過去10年間の金価格上昇は、あくまでも助走に過ぎなかった。と、10年後の2020年の新聞に書かれることになるかも知れない。以前、このブログで、「金と千両箱」という原稿を書いた。時間があったら再読してみてください。こちらからどうぞ。

by naomemo | 2010-05-12 07:57

アテネ炎上


ギリシャの首都アテネで政府の財政赤字削減計画への抗議デモが起き、銀行に火炎瓶が投げ込まれて炎上。とうとう死者が出る事態に発展。先日の格付会社S&Pによる3段階格下げが、事態を悪化させる結果になった。と思っている。これがポルトガルへ、スペインへと波及していくと、アテネ炎上は、ユーロ炎上につながって行く可能性が一気に高まる。というか、すでに高まっているか。ユーロ誕生11年目にして最大の危機。

ユーロ売りのエネルギーは現在ドルに向かっているけれど、さて、その米国とて今年に入ってすでに地方銀行が60行以上倒産している状況(昨年は140行倒産)。血液が行き渡らない地方の実体経済はもはや壊死寸前に違いない。そんななかゴールドマンサックス格下げの動きがあるとか。パニック寸前だね。かならず日本にも及んでくるだろうから、気持ちをしっかり引き締めておかなくちゃ。でも、怖いな。

それにしても、連休明けに、こんなこと書くことになろうとは。

by naomemo | 2010-05-06 08:33


久しぶりに金の話。以前よりベトナムで金人気が沸騰していたことは知られていたが、昨日の日経によれば、そのベトナム政府がついに金取引所を閉鎖したということだ。かの国は過去に何度も激しいインフレに見舞われ、それゆえ自国通貨ドンの人気が薄かった。インフレ率がとにかく高いため、住宅価格までが、自国通貨ドンでの表示じゃなく、金の重量で表示されている地域もあったほど。驚いちゃうかも知れないけど、ほんとの話なのだ。

日経の記事は、外貨準備の少ないベトナムのような新興国では、今後こうした事態が続くのではないかというニュアンスで結んでいるが、たしかにありうることかも知れないね。取引所を閉鎖したからといって、金人気が鎮まるわけもないだろうに。これから、新興国における金人気の動向に、要注目かもね。ひょっとすると新興国だけじゃ済まない知れないけれど。

元祖基軸通貨としての金は、これからどうなっていくのか。これまで世界は、「自由化」「規制緩和」を合言葉に成長してきたけれど、世界バブル崩壊で流れが変わりつつあり、「規制強化」へ戻りつつあるようにも見える。そもそも規制緩和の流れは、「金の自由化」から始まったことでもあるので、ベトナムの金取引所閉鎖の記事は、とても気になりました。

by naomemo | 2010-03-31 08:47 | ノン・カテゴリー


今朝の日経新聞によれば、今回の金融危機の教訓を生かすべく、バーゼル銀行監督委員会で検討されていた大手銀行の資本規制の骨格が固まったようだ。

ポイントはみっつ。ひとつは自己資本比率の引上げ、ひとつはリスクの高い証券化商品の圧縮、そしてもうひとつは換金性の高い資産(国債や金など)の一定保有義務、となっている。

すでに中国、インド、ロシアなどの中央銀行では外貨準備の分散を始めていて、その一環として金保有量の積増しが進んでいるのだけれど、この流れのなかに市中大手銀行も加わってくることになるのだろうか?

金の復活は、「ドル離れ」というトレンドだけでなく、金融が「自由化」から「規制強化」へ舵が切られていく文脈のなかでも捉えられるということになるね。少し注目しておこうと思う。

(追記)
この新しい規制には、その後、さまざまな配慮から、10年以上の執行猶予がついたようだね。ま、でも、規制強化のトレンドに変化はないだろうけど。

by naomemo | 2009-12-17 08:50


今朝の日経一面に「国債44兆円以下 壁高く」とある。どうにも不思議でならない。壁が高いというのも妙だけど、こういう論理だと、44超円以下に抑えられれば問題ないように映りかねないよね。

今年の歳入は、税収37兆円、税外収入10兆円、合計47兆円とある。本来は、この範囲内で国を運営しなくてはならないはずだ。ところが44兆円もの新規国債を発行、つまり借金してもまだ足りないだろうと言っている。しかも国債発行残高は今年度末で600兆円にのぼるという。これって、大雑把にいえば、年収1000万円の家庭が、現在1億5000万円の借金を抱えた状態であるにもかかわらず、2000万円以上の生活をしているのと同じことだよね。

民主党政権は、4年間は消費税を上げないと言っている。でも、税収を上げずにこのまま進めば、毎年50兆円近い借金(新規国債)が積み上がる。崖っぷちにあるんじゃなかろうか。「見える化」でコツコツ予算削減にトライするのもいいだろうけど、もっと荒療治が必要と思う。ひとつの方法は、キャップ制を導入して年間の歳出の上限を50兆円と決め、それを各省で分配する。だって、それしか歳入がないんだから。もうひとつの方法は、消費税アップ。必要になると想定される歳出に届くまで上げる。

常識的な対策は、歳入を上げるか、歳出を下げるか、両方同時に進めるか、この3つなのだから。このままだと、長期金利が上がって、将来的に歳出に占める借金返済はさらに増えるんじゃないの?そうなったら、さらに国債を発行しなくてはならなくなるよね。まさに火だるま。ほんと、どうするんだろう。

いまの財政状態をきちんと説明し、予想されるシナリオを提示し、消費税導入によるメリットとデメリットも整理して、消費税アップの合意形成をする他ないと思うんだけどなあ。そんな政治決断はできないという現実的な見方もあるけれど、やるしかないんだと思う。今日は、一市民としての、素朴な疑問でした。

by naomemo | 2009-12-09 09:15

原点回帰の潮流?


今朝の日経新聞に、「中国の金保有、10年以内に10000トンに」という記事があった。

中国の政府高官の発言というのだけれど、なんだかドル離れにドライブをかけるような内容。どんな意図があるのか知らないけど、数字だけ見ると10000トンというのは、つまり米国の金保有8000トンを上回る量ということになるね。中国は、金生産量、金消費量に続いて、金保有量でも世界ナンバー1を目指すということか。

それにしても、10年以内に10000トンってことは、年間1000トン。これは世界の年間需要の3割近くに相当しますね。実際にそんなことが可能かどうか知らないけれど、もしも、本当に、粛々と進行するとなると、うーん、どうなるんでしょうね。

話はちょっと跳ぶけど、金が復活したのは、2000年頃からと言われる。この10年で同じように「復活」したものに何があるだろうか。いまとっさに思い浮かぶものは、宗教である。近頃、ロシア国内における正教会復活のニュースや番組をときどき見かけるようになった。すでに米国内では各地に巨大なアリーナのような教会が立ち上がっている。日本でも、作家の五木寛之が全国各地の寺を巡るTV番組「百寺巡礼」が始まったのは、ここ10年以内のことだろう。

金はドル集中への反作用、宗教は格差拡大の反作用という面があるのだろうけど、もっともっと大きな「原点回帰の潮流」のひとつとして眺めた方がいいかも知れないね。

by naomemo | 2009-12-01 09:06

金と千両みかん

c0112103_135528.jpg


古典落語に「千両みかん」という演目があります。暑い夏、大店の若旦那が急に患い、明日をも知れぬ重病になるのだけれど、医者の見立てによれば、気の病だという。なにを思い煩っているのかと父親の旦那がいくら尋ねても、ラチがあかない…。

そこで、気心の知れた番頭さんが呼ばれ、若旦那から患いの種を聞き出すことに。ここまでは、ほとんど「崇徳院」と同じような展開なんだけど、ここから先がちと異なる。恋慕う相手というのは、どこそこのお嬢さんじゃなくて、先の暮れに紀州で巡りあった、ハリがあって、ツヤツヤしてて、瑞々しくて、香りのいい「みかん」だというのだ。番頭さん、思わず吹き出しながら、後先を考えず、手に入れてきましょうと安請け合いをしてしまう。

いまでこそ品種改良やら特殊な栽培方法で作られたみかんはあるのだろうけれど、この演目は江戸中期に出来上がったもの。しかも時節は夏の土用と来ている。みかんなど、容易に手に入るものでもない。けれど、そこは落語のお噺、あちこち脚を棒にして探しまわってみると、ある問屋の蔵の奥に、1個だけ腐らずに残っている。値段を聞けば、千両だという。まさか。でも、大店の旦那は、息子の命が助かるなら、千両など安いものよ、と。

みかんを、ひとふさずつ、おいしそうに食べる若旦那を眺めながら、番頭さんは考え込んでしまう。将来「のれんわけ」される時にいただける支度金は、はて、さて、三十両だろうか、五十両だろうか。ところがいま目の前にある「みかん」は、ひとふさが百両。番頭さん、何を勘違いしたか、欲に目がくらんだか、「父さんと母さんに」と若旦那が残したふたふさを、ガバと掴んで逃げ出してしまう。

ほんと、バカバカしいお噺なんだけれど、でも笑ってばかりもいられません。これ、いま、実際に世界の金市場で起きつつあることに似ているんですね。桁違いのマネーを運用しているファンドや欧米の富裕層は、いわば大店の旦那です。大量に増発されて価値がどんどん薄まっている通貨の現状を前にして、彼らは、全世界の地上在庫がプール3杯半ほどしかない金の現在の価格をどう見ているでしょうか。

だって、みかん一個が千両ですよ。それを安い物だという旦那がいるんです。これはもちろん落語なんだけれど、おなじ人間の考えること、実際にあっても不思議じゃありません。その結果、下手をすると、数年後、金には、信じられないような高値がつく可能性だってないとは言えません。もちろんバブルの果てのことに違いないだろうけど、その時になって冷静じゃいられなくなるのは果たしてこの番頭さんだけと言い切れるだろうか。

画像出典:
http://www.mikanfarm.com/hinnsyu/kuradasi/kuradasi.html

by naomemo | 2009-11-26 08:33 | 音楽から落語まで


c0112103_91481.jpg


以前も触れましたが、世界的に金に対する注目がヒートアップしている感じですね。思うに、おそらく一番の理由は、基軸通貨ドルの足元が大きく揺らいでいるところにあるのでしょう。基軸通貨が揺らいでいるくらいだから、他の通貨とて安泰じゃないでしょう。さらに、世界経済の重心が、西から東へ移動しつつあることも、影響しているかも知れません。

さて、今日は本の紹介です。この夏、知人の亀井幸一郎さんが金に関する本を出版されました。タイトルは、「金が売られた時代、買われた時代」。なんだか面白そうだなあと思っていたんだけど、ついついツンドク状態にしてしまい、昨日ようやく読み終えたという次第。

金に関する本というと、どうも「陰謀史観」に彩られた感じのものが多い。なぜか、まともな本に出会えない。でも、この人の本は、正確さを尊ぶゆえか、ちょっとややこしい言い回しが散見されるけれど、事実やデータに基づいて書かれているので好感が持てます。そしてもちろん、すこぶる詳しい。そしてまた、金がどういう位置づけにあるのか、じつによく分ります。僕がここであれこれ書くより、原文に当たるのがいちばんでしょう。とくに、第4章以降がドラマチックだし、筆が乗ってきた感じもあり、面白かった。

まえがき

第1章 世界バブル崩壊と金
     2009年再び騰勢を強める金
     金市場、1000ドルはバブルにあらず
     (時間の経過が受け入れる、金1000ドル)
     金市場に需給構造の変化をもたらした金ETFの登場
     導火線の長い打ち上げ花火、それが金市場

第2章 2000年に眠りから覚めた金
     金 かくも不思議なモノ
     転換期としての2000年

第3章 金は国際資本市場を映す鏡
     5年ごとにトレンドを変えてきた金市場とポイント
     としての外部環境の変化
     ドルが上がると金が下がり、ドルが下がると
     金は上がる
     株で儲けたかったら金市場を見なさい

第4章 金が買われた時代と忘れられた時代

第5章 金市場の個別イベントを検証する
     「ワシントン協定」の背景と意義、経過について
     金鉱山における陰と陽
     国内投資家の金へのスタンスの変遷

第6章 金市場が見える国際金融怒濤の時代

終 章 投資対象として本格的に認知された金
     米国中央銀行組織FRBの信認と金


by naomemo | 2009-11-19 08:30


一昨日からのニュース、いろいろ気になるものがあるけれど、三本だけ取り上げて楽しんでみたい。

一本目は、こちら。インドの中央銀行が、IMF売却予定金400トンのうち、200トンを購入したという。以前より、購入国として、中国とロシアの名前が挙っていたところへ、いきなりインドの名前が出てきたことがサプライズになったようだ。中国が購入し、ロシアが購入し、インドが購入しということから、これからも追随する国が出てくるかも知れない。1990年代の中央銀行による金売却の流れは、金購入へと本格的に移行しつつあるのだなあというのが実感である。背景にあるのは、米国不安、ドル不安。ひょっとしたら、各国が発行している通貨そのものに対する不安もあるのだろうか。

そして、二本目。欧州で太陽光発電が急速に拡大しているという。環境意識が高い地域だから当然のような気もするが、でも、どうやらそれだけでもなさそう。今朝の日経新聞に、ひょっとしたら関連するかもなと思われる記事があった。欧州は天然ガス消費の1/4をロシアに依存しているというのだ。太陽光発電急拡大の理由は、環境対策ということもあるだろうけど、エネルギーをロシアに依存する状態からの脱却も重要なテーマになっているんじゃないだろうか。かたや、日本の太陽光発電が思ったように進展しないのは、こうした欧州のような地政学的な感覚が薄いため、とも言えそうだね。「温暖化ガス25%削減」なんて旗を上げてるんだから、太陽光発電に関連する産業の徹底強化を進めてほしいものです。それが景気対策にもなるでしょうに。

さて、最後の一本は。一昨日の記事だけど、ブリジストンが、2010年限りでF1へのタイヤ供給をやめるという。某新聞によれば、社名を世界に浸透させるという一定の役割を終えたことが理由という。でも、おそらく直接的かつ短期的な理由は、年間60億円以上かかるというコスト負担だろう。世界経済全体がシュリンクしているわけだからね。でも、長期的な理由が別のところにありそうだ。いま欧州は、太陽光発電を急拡大させているわけだけど、その流れのなかで電気自動車普及への戦略的シフトがハッキリ視野に入ってきた感じがする。これはつまり、「スピードからエコロジーへ」というシフトでもある。だから、目指す方向を大きく転換する必要がある、ということじゃないかな。これからF1スポーツ自体が大きな岐路に立たされるかも知れない。

by naomemo | 2009-11-04 07:50