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プラチナ雑感02〜中国とプラチナ


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中国という国は、古来より度重なる王朝あるいは政権の交代で、紙幣が紙くず同様になる悪夢を幾度も経験してきたがゆえに、中国人民は政府発行の紙幣にあまり信を置いていないとされる。

それがどの程度の不信感となっているのか定かではないけれど、彼らは(その昔は通貨であった)金や銀に対して、ことさら強い欲求を持っているようだ。その証拠に、貴金属の代表ともいえる金の需要を見ると、金自由化以降、中国の世界シェアは、(2014年は減少したとはいえ)20%強まで拡大している。

では、プラチナはどうなのか。これまで中国の人民は金や銀は欲しがってもプラチナには見向きもしなかったとされる。その理由はおそらく二つ。ひとつ目の理由は、見た目は銀と大差ないのに、銀に比べてプラチナの価格は異常に高いこと。ふたつ目の理由は、金や銀と違い、プラチナには通貨としての歴史がないこと、であろう。

しかし、中国におけるプラチナ宝飾需要は、じつは飛び抜けて大きい。なにがキッカケなのかは分からないが、いまでは、「プラチナ雑感01:欧州とプラチナ」で紹介した欧州におけるディーゼルエンジン車の排ガス触媒需要を凌駕する規模にまで拡大している。

というわけで、これからプラチナ需要の動向を見る際は、欧州の景気同様、中国の景気も重要な指標となる。ただし、中国においてもプラチナは投資媒体としては認知されておらず、いまのところ宝飾品としての位置づけにある。とは云っても、アジア中東地域における貴金属の宝飾品は、欧米とは異なり半ば資産としての位置づけにあることは付け加えておきたい。

こうした観点から、中国の景気後退局面、信用リスク増大局面では、プラチナの需要が凹む可能性は高いと見ておいて間違いなさそうだ。折しも、中国は過剰な債務を抱え、上海株式市場が大きな調整局面にあるゆえ、プラチナには現在、下押しのプレッシャーが掛かっている。ニューヨーク先物市場で売り物が膨らんでいる(過去20年でほぼ最高水準まで拡大している)背景の一つとも云えるだろう。しかし、いずれそこは買い戻されることになる。それがいつのことになるかは分からないけれど。

プラチナ雑感01:欧州とプラチナ


画像出典:All About「中国の両替」

by naomemo | 2015-07-16 11:07 | →はじめての金読本