2012年 05月 17日
キツネの物語から歴史まで
友人のブクレコにあった「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」を読んだ。著者は内山節(うちやまたかし)。この在野の哲学者のことは知らなかったけれど、タイトルが気になって手に取った。
自然のなかで生きてきた日本人の世界観は、なぜ1960年代に大きく変貌したのか。さまざまな角度から見つめ、考えている書だった。じつに面白かった。そして悲しくもあった。こういうアプローチは好きだな。すっかり内山節のファンになってしまった。
ところで、この本のタイトルを見て最初に浮かんだのは、古今亭志ん朝の言葉だった。生前、落語のどんなところが好きかと聞かれ、こう答えている。「狐や狸が出て来るところ」と。
この志ん朝のエピソードは以前紹介したことがあったけれど、内山節の本を読んだ今になって振り返ってみると、こういう意味だったんだなと思い直した。「狐や狸にだまされる話が出て来るところ」と。
by naomemo
| 2012-05-17 11:18