背筋が寒くなったけど、希望はある。

c0112103_6223759.jpg


震災によって被った甚大な被害を目の当たりにして、さらに福島原子力発電所の機能不全およびメルトダウンという事態を通して、あらためて感じることは、想定されるリスクはヘッジしておくもの(=保険をかけておくもの)だということ、そしてリスクは分散させておく必要があるということだった。

たとえばリスクを低く見積もって初期投資を抑制したり、効率を優先して生産現場を集中させたりすれば、コストは減って利益は目に見えて上がるかも知れない。しかし、そのうちに期間利益の最大化が至上命題になり、やがて自分たちに都合の良い未来が描かれることになり、いつしか感覚が麻痺してリスクは忘れ去られて行く。大きなリスクに見舞われるのは、往々にしてそんな時なんだろうと思う。

先日、広瀬隆の講義VTRを見て、正直、彼のことは好きになれないけれど、どうも言ってることは正しいような気がして、その晩、帰宅途中に本屋に立ち寄って、朝日新書「福島原発メルトダウン」を買い求めて読んでみた。背筋が寒くなったけど、いろいろ勉強になった。日本がなぜ地震大国なのかよく分かったし、日本の原発の耐震性がじつに危ういらしいことも分かったし、浜岡原発が急遽止められた理由も分かった。というか、浜岡だけじゃなく、すべての原発を今すぐ廃炉にすべきだろうとも思った。ま、著者については、言葉の使い方がどうも気になって、やっぱりちょっとファナティックなところがあって、好きになれないなあと再確認したけれど、内容はたぶん事実にもとづいてるんだろうなという印象。でも、読んで良かったと思った。希望が残されていると分かったから。

ついでに見えてきたこと。ひとつは、今朝の新聞にも出ていたけど、発電と送電を分離して、送電に関しては国民と産業にとって重要なライフラインであるから100%国の管理にすることが重要だということ。それで発電事業への参入障壁が取り去られる。もうひとつは、現在の火力発電は原料に天然ガスを使うタイプのもので、環境負荷がとても低いことが分かった。原発を全廃しても電力量は不足しないみたいだ。もういい加減に電力会社をめぐる巨大利権を解体して、新しいステージに向かってほしい。そのために、送電を発電から分離することは不可欠かも知れない。

ところで、昨日twitterで、こんな発言を拾った。「あの、福島の野菜や魚をみんなで食べましょう!的なムーブメントなんですが、自分には全く理解ができません。どうして今危険な可能性のある食材を食べないといけないの?何かの罰ゲーム?農家の方々を助けたいのは分かりますが、だったら東電がしっかりと農家の方にお金を支払うようなムーブメントを」。その通りだと思った。赤信号は、一人で渡っても、みんなで渡っても、危ないことに変わりはないのだ。東電には、きちんと補償させた上で、いったん日本航空みたいに破綻処理して、生まれ変わらせた方がいいかもね。

by naomemo | 2011-05-19 09:15