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はじめての金読本、移植第9弾です。2010年02月22日に公開した原稿に手を入れたものです。今回も初心者向けの内容となります。

前回、金価格には「ふたつの局面」があると紹介しました。それは「国際的に取引される局面」と「国内で取引される局面」であり、両者の間には「為替」という変数が介在しているということでした。

さて、国内の店舗で実際に取引される価格も、別の意味で二本建てになっています。ひとつは「金小売価格」であり、もうひとつは「金買取価格」です。

金小売価格とは、一般の人が店頭で金を買う際の価格で、たとえば5000円/gというように、1グラムあたりの円建て価格で表示されています。そして一方の金買取価格は、一般の人が店頭で保有金を売る際の価格で、4915円/gというように、やはり1グラムあたりの円建て価格で表示されています。店頭においては、どちらも消費税込みの価格になっています。(※)

この金小売価格と金買取価格との間には、スプレッドと呼ばれる価格差があります。その価格差は取扱業者によって若干異なるものの、おおむね80〜90円/gの幅で設定されています。

したがって、金小売価格が上がれば、それに応じて金買取価格も引き上がります。もちろん、その反対に小売価格が下がれば、金買取価格も同時に下がります。金取引では、小売価格と買取価格が一対になっていることが、恣意的な価格設定を抑制する役割を果たしていると言うこともできます。

ただし、この価格差は常に必ず一定というわけではありません。取引時間中に国際金価格やドル円為替相場が大きく変動した場合に、価格が変更になることがありますが、時にその変動を吸収するべく価格差も広がる場合もあります。この点は頭に入れておくとよいでしょう。


イラスト:三井孝弘さん


(※)
ちなみに、商品の販売価格の表示に関して、2004年に「総額表示」(消費税額を含んだ価格での表示)が法律で義務づけられました。そのため、金やプラチナなど貴金属の小売価格、買取価格も、現在は総額表示となっています。しかし、2014年4月に消費税は5%から8%へ引き上げられました。近い将来、10%への引上げも実施されます。そうした背景から「総額表示」の法律も改正され、流通業界では現在、「本体価格+税」という表示を採用するところが増えていますから、そのうちに価格表示も変わるかも知れません。



by naomemo | 2015-03-18 05:16 | →はじめての金読本

国際金価格と国内金価格


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はじめての金読本、移植第8弾です。2010年02月05日、02月12日に公開した原稿に手を入れたものです。

金は、太陽の動きを追いかけるかのように、世界のどこかの市場で取引が行われています。シドニー、東京、香港、チューリッヒ、ロンドン、ニューヨークという具合に、時差を追って取引は受け継がれていきます。さらに、インターネット上の取引が主流になった現在、「NYグローベックス」という電子取引システムがほぼ24時間稼働しており、金価格は、休日を除いて、ほとんど眠ることなく動いています。

ところで、一般に金価格と云う場合、ふたつの側面で捉えておく必要があります。ひとつは国際的に取引される際の金価格(国際金価格)であり、もうひとつは特定の国や地域で取引される際の金価格(国内金価格)です。それぞれ、グローバル金価格、ローカル金価格と呼んでも良いかも知れません。

国際金価格の方は、基軸通貨である米ドル建てで表示されます。この場合の重量単位はヤード・ポンド法のトロイオンスtoz(略してオンスoz)で、具体的には1,200ドル/ozというように表示されることになります。(※)

一方、国内金価格の方は、ドル建ての国際金価格を各ローカル通貨建てに換算して表示されます。英国であればポンド建て、ユーロ圏であればユーロ建て、中国であれば人民元建て。そして日本の場合は円建てで表示され、重量単位はメートル法のグラムとなります。

つまり日本における国内金価格とは、国際金価格をドル円為替レートに基づいて円建てに換算し、同時に重量単位をトロイオンスからグラムに変換して、グラムあたりの円建て金価格で表示されるわけです。その結果、5,000円/gというように表示されます。

こうした仕組みから分かるように、円建ての国内金価格は、米ドル建ての国際金価格に連動して動く一方で、ドル円為替相場によっても動きます。したがって、国際金価格が下がっても、為替がドル高円安に動けば、国内金価格はあまり動かない、というようなことも起きるわけです。国際金価格が上がり、なおかつ為替がドル高円安に動けば、国内金価格は大きく上がります。もちろん、その反対のケースもあります。

もう一歩だけ踏み込んでみましょうか。ここまで見てきた通り、国際的に取引される金の価格は米ドル建てです。これを日本人の立場から見ると、つまり、金にはドル建ての外貨資産の側面があるということです。この点はとても大切なので、別の機会に詳しく紹介します。

ここでは国内金価格は為替にも大きく左右されると覚えておいてください。


イラスト:三井孝弘さん


(※)
トロイオンスとは、貴金属の計量に用いられている特殊な単位で、別名を金衡オンス(きんこうオンス)ともいいます。グラム換算では、1toz=31.1034768gとなります。



by naomemo | 2015-03-13 07:00 | →はじめての金読本


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はじめての金読本、移植第7弾です。2010年01月25日に公開した原稿に手を入れたものです。

さて、この「はじめての金読本」の移植も、第2段階に入りました。これから、とびとびで3回にわたって、初心者向けの金価格の基本について紹介します。

まず、金には「定価」のようなものがありません、という辺りから始めましょうか。金の価格は、まるで生き物のように、つねに上がったり下がったりしています。(※)

なぜ価格が動いているのかといえば、それは株式などと同じで、買う人もいれば売る人もいるからです。買いが入れば上がり、売りが入れば下がり、さらに売りが入ればまた下がり、買い戻されればこんどは上がり、ということが延々と続いているためです。

身近な例で分かりやすく説明しましょう。ご近所の、たとえば食品スーパーで売られている野菜や魚介類の値段は、毎日同じというワケではありませんね。わずかのことかも知れませんが、毎日違うはずです。収穫量が多かったり、漁獲量が多ければ、つまり品が豊富にあれば、おおむね値段は下がります。その反対に、天候悪化などで品が薄くなれば、どうしたって値段は上がりますね。

金もそれと同じことで、金価格は金市場における売り買いのバランスで決まっています。基本的には、買い(需要)が勝れば価格は上がり、売り(供給)が勝れば価格は下がります。

金価格については、まずはこの点をしっかり覚えておいてください。

百聞は一見に如かず。下のチャートが、2015年3月5日AM7時半(日本時間)に見たドル建て金価格の直近3日間の動きです。金は、時差を追って一日24時間、世界のどこかで取引されていますから、時々刻々、上がったり下がったりしていることが分かります。(チャートをクリックすると、kitocoのライブチャートにジャンプします。)

(※)
ドル建て金価格は時々刻々と動いているのですが、日本国内での現物の円建て金価格は、朝9時半に発表されてから変更になることは稀です。それは、店頭での取引の便宜上、些細な変動は小売価格と買取価格の値幅のなかで、各社が吸収しているためです。ただし、ドル建て価格あるいは為替(ドル円)が大きく動いた場合には、変更になります。




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チャート画像出典:
http://www.kitco.com/charts/livegold.html


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-03-05 07:52 | →はじめての金読本