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これから時折、金取引について実践編の話も混ぜて行こうか思います。ただ最初にひとことお断りしておきます。この「はじめての金読本」は、金をヘッジ資産(=将来の万一に備える保険的な役割をもつ資産)と考える立場に立っています。ですからここで扱うのは現物取引に限り、先物取引は扱いません。先物取引は一般個人向けではないからです。

先物市場は、将来の価格変動リスクをヘッジする(保険をかける)大切な役割を担っています。とはいえ、先物取引が、決済期限のある期間限定の取引であり、投機的な色彩が強いことも否めず、そして業者の強引ともいえる営業手法に疑問もあります。一般個人向けとしては難があります。

先物の短期売買で利鞘を稼ぐ行為は、それを生業(なりわい)とするプロたちに任せておけばよろしい。不用意に足を踏み入れると大きな損失を被りかねませんから、一般個人は敬して遠ざけておくのが賢明でしょう。

それでも、金価格は上がったり下がったりします。金といえど相場商品ですから、価格が変動するリスクと無縁ではありません。投機マネーの動きによって急騰急落する局面も見られます。そんな時に決済期限のある先物取引だと、価格が予想に反した大きな動きをした場合に、安穏としていられなくなります。そうなると本来味方となるべきはずの時間が敵に回ってしまいます。

それでは安心のための金が、不安の種になってしまいます。

それに対して、いつ買っても、いつ売っても、まったくもって自由なのが金現物です。金現物を保有している人には、「決済期限」なるものがありませんから、価格が急騰急落しても、高みの見物でやり過ごしていれば済みます。金現物は紙くずになることはありませんから、将来必要になる時まで気長に保管しておけば良いだけのことです。しかも、10年、20年保有していても、税金がかかることもありません。

一般個人にとっては、時間を味方につけることが何より大切です。金投資は、だれかと勝ち負けを競うような類いのものではありません。時間と争うものでもありません。このことは、けっして忘れないようにしてください。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-06-26 10:28 | →はじめての金読本


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はじめての金読本、移植第13弾です。2010年02月11日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第五弾です。

このところ金価格についての話が多くなっていますが、これはかならずしも本意ではありません。相場なんてものは上がったり下がったりするものです。その点については肚の中にきっちり納めた上で、ゆったり金と向き合うのが健全というものでしょう。

日々の値動きにとらわれる過ぎると、往々にして大きな流れを見落としがちになるものです。そんなときは初心に立ち返ってみるのも悪くありません。金読本も今回はそのスタイルでまとめてみましょう。

そもそも何のために金を買おうとしているのか。儲けたいからなのか、万一に備えたいからなのか、あるいは将来が不安な年金の足しにしたいからなのか、そのあたりをあらためて再確認して、自分の立ち位置を明確にしておくことは大切だろうと思います。

そして、買う時は、信念を持って買い、買ったら忘れる。金が必要になるまで忘れるくらいが丁度いいでしょう。動機や目的がフラフラするようでは、先が思いやられます。

買うタイミングがよく分からないという向き、買いたいのだけど怖いという向きは、少し手数料はかかりますが、資金を小分けにして、小さな重量サイズの地金、あるいは金貨をコツコツ買えばよろしい。

それでも買い時が分からなくて踏み出せないという向きは、純金積立で長くコツコツ買っていけばよいだけのことです。純金積立は、金価格が上がったら少しだけ買い、下がったら多く買うという仕組み。そして余裕がある時にはスポットでドンと買い足す。長期の視野で見たら、こんな重宝な買い方はありません。売却する時にも必要な分だけ売ることができますしね。

繰り返しますが、買うなら、信念を持って買う。確信が持てない人は買わない方が良い。目先の損得が気になる人も、手を出さない方が良いと思います。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-05-21 17:14 | →はじめての金読本


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はじめての金読本、移植第12弾です。2010年04月09日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第四弾です。

いまさら云うまでもありませんが、金価格は日々変動しています。価格水準が上がると、その振幅は上へ下へと大きくなりがちです。そんな大きな価格変動に遭遇しても、冷静にいられれば良いのですが、なかなか達観できるものではありません。

いま買わなくちゃと、焦って大枚を叩いたりすると、結果的に読みが勝ってOKの場合もあるでしょうが、ときに思わぬ高値をつかむことだってあります。短期の値動きに目を奪われがちな人は、いま買わなくちゃ、いま売らなくちゃ、なんて気持ちになりがちですが、なにも焦ることはありません。

できるだけ大きな流れを見るようにして、時期を細かく分散して買っていけば良いのです。そのうち自分なりのタイミングがつかめるようになります。

保有している金地金や金貨を売却する場合も同様です。金は、困らない限り、バブル化しない限り、保有し続けるのが基本ですが、必要になることもあるでしょうから覚えておいてください。

なお、金価格も、時折、まるでアクロバット飛行中のジェット機のようにグングン上昇していく局面があります。でも、急騰する相場は、早晩、急落するのが常ですから、そういう場面で金を買うことは手控えた方がいいでしょう。

金はあくまでも長期資産と考えて、焦らずゆっくり落ちついて付き合っていきましょう。世の中、焦って良いことなんて、ありませんから。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-05-01 13:28 | →はじめての金読本

金保有の目安は

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はじめての金読本、移植第12弾です。2010年03月15日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第三弾です。

金はどれくらい持つのが良いでしょうか、と聞かれることがあります。その問いについては、財産の1割、せいぜい2割が妥当と答えることにしています。とはいえ、必ずしもそこに明快な根拠があるわけではありません。あえて根拠らしきものを求めるとすれば、世界の中央銀行の外貨準備に占める金準備の割合が平均すると1割程度になる、というあたりでしょうか。

もうひとつ。金は「万一のために備える保険」のようなものですが、あまり保有比率を高めすぎるとどうしても価格動向に目が向きがちになります。しかし日々の値動きなどを気にしていては、安心の種であるはずの金保有が心配の種になってしまいかねません。これで本末転倒になってしまいます。金読本の指針としては、やはり財産の1割程度が基準になるだろうと考えています。ゆっくり時間をかけて1割へ近づけるのがいいでしょう。

ところが世の中にはもっと保有したいという向きもあります。2割くらい持ってはいけないのだろうか、などという質問を受けることもあります。しかし、そのあたりは人それぞれの考え方次第なので、ご自分で判断した方がいいと思います。ただ、これだけは云えそうです。2割持ちたいとか、3割持ちたいという人は、将来への不安がそれだけ大きいということです。将来に対する不信感が強い人は、概して多く持ちたがる傾向にあります。ですから、金の保有比率に対する処し方が、そのまま自分自身の世の中に対する不信感度を測る物差しになると云えそうです。

そもそも肝心の金の評価額のもとになる金価格からして、日々上がったり下がったりしています。金の保有比率については、あまり神経質にならない方が精神衛生上もいいのではないでしょうか。

なお、財産のなかに現在お住まいの自宅を入れてはなりません。たしかに法的には住まいも財産としてみなされますが、それはあくまでも生きて行く上での拠点であって、財産とみなすべきものではないはずだからです。目安は、自宅を除く財産の1割程度と覚えておきましょう。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-04-10 10:48 | →はじめての金読本

10年は保有するつもりで

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はじめての金読本、移植第11弾です。2010年03月07日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第二弾です。

短期の利益を追うのか、資産の保全を考えるのか、金との付き合い方には大きな違いが生まれてきます。

あくまでも短期の利益を追いたいというのであれば、わざわざ金地金や金貨を売り買いする必要はありません。金先物=将来の金価格を売り買いすればよいことです。それなら投資資金の何倍もの取引ができますから、予想が当たれば儲けはドンと大きくなります。ただし予想が外れれば損失も一気にふくらみます。金先物は、ハイリスク・ハイリターンであることをしっかり認識しておくことが必要です。

この「はじめての金読本」はそういう立場には立っていません。金は、外見は派手でも役目は地味、という立場です。「万一に備えるための資産」と考えていますから、もし金と付き合うのであれば、少なくとも10年は保有するつもりで買うことを勧めます。

そうなれば日々の値動きに一喜一憂することもありません。10年保有を想定すれば長く寝かせて大丈夫な資金しか充てられないことにもなります。昨今、将来受給額が減少するであろう年金の足しにしたいという理由から、コツコツ金を買っている人が増えているようですが、それくらい控え目なペースが金には相応しいでしょう。

頻繁に売ったり買ったりを繰り返せば、手数料もかさみます。必要以上に譲渡税もかかります。税金のことは別の機会にお話ししますが、長期保有は税金面で優遇されるメリットもあります。

困ったことがない限り金は売らない。バブル化しないかぎり金は売らない。それが基本です。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-04-03 08:33 | →はじめての金読本

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はじめての金読本、移植第10弾です。2010年03月01日に公開した原稿に手を入れたものです。今回からこの「はじめての金読本」カテゴリーでは、しばらく断続的に「金と付き合うための指針」を展開する予定です。ゆるゆるとお付き合いください。

以前も触れましたが、金は利息を生むことがありません。配当という果実をもたらしてくれることもありません。そのため金価格は、金利が上昇する局面では、どうしても売られがちになります。

しかし、ここで思い起こしておきたいことは、リーマンショックで明らかになったように、21世紀は、良くも悪くも金融や経済が国際化して、地球の裏側で起きていることが、日本国内に思いもよらない影響を及ぼす時代であることです。また格差が拡大し社会はじつに不安定な状況にありますから、小さな行き違いが大きな摩擦に発展することもあります。

不測の事態などというものは稀にしか起きないものですが、起きるときには起きます。それも最悪の時に重なって起きたりするものです。

そうした万一のリスクへの備えとして保有するもの、それが金です。金は信用リスクと無縁の存在ですから、株式や国債などと異なり、紙くずになることがありませんし、インフレやデフレなどの経済リスクに強い性格を持つ資産でもあるからです。

金の役割は、その派手な外見と異なり、じつに地味なものです。たとえ10年保有しても、100年保有しても、ただ静かに輝いているもの、それが金地金であり金貨です。

もしも金と付き合うのであれば、価格が上がったとか下がったとかに一喜一憂することなく、金の役割は「万一に備え」にあると認識して泰然としていることです。「それは無理」と感じる人は、近づかない方が良いでしょう。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-03-27 09:15 | →はじめての金読本