c0112103_22214460.jpg


先日、菊六落語会で聞いた「あくび指南」にも出てきたが、ここ数日聞いている「船徳」にも出てくるのが、船遊び。この二席、すなわち、夏の出し物ということなんだね。CDで落語を聞くときって、季節を意識せずに演目を選ぶことがあるが、それはやっぱり邪道だよなと思うようになった。春には春の、夏には夏の演目を聞くべし、と。

さて、その「船徳」なんだけど、ここ数日、あらためて文楽、馬生、志ん朝、小三治で聞いてみた。この噺、もともとは「お初徳兵衛」という長尺の人情噺だったらしいのだが、明治期にその発端部が切り取られて滑稽噺となり、あらたに「船徳」という出し物になって定番化したそうな。それを、いま高座で聞く形にしたのが、文楽すなわち黒門町とか。だから基本的には、文楽が作った流れのなかで口演されていることになる。

元の人情噺の雰囲気を残しているのだろうなあと思われるのが、馬生。きっと親父の志ん生ゆずりなんだろうな。文楽はもちろん、志ん朝も、小三治も、シンプルな滑稽噺としてやっている。私は長らく志ん朝で聞いてきたのだが、久しぶりに聞いて、この噺にしては、少しテンポが早いかもなあという気がしてきた。ちょっと青い感じ。まだ若い時の録音だから致し方ないかも知れない。そして、今回初めて小三治のを聞いた。2年前に録音されたもので、もう押しも押されもせぬ名人の味わい。登場人物ひとりひとりを、ここまで丁寧に彫り上げた「船徳」は、これまで聞いたことがない。テンポも、暑い夏にふさわしく、じつにのんびりしたもの。そこが、また、いいのだ。落語って、俳句と一緒で、季節感の演出が大事なんだね。この場合は、ゆったりしたリズムが必須ということだね。

これから船徳を聞くなら、小三治で決まりだね。

あらすじを知りたい向きは、こちら(「落語のあらすじ 千字寄席」)へどうぞ。どなたか知らないが、じつに懇切丁寧に、さまざまな演目のあらすじをまとめていらっしゃいます。ほんと、頭が下がります。

ちなみに、この船徳の舞台は、四万六千日(しまんろくせんにち)の柳橋から浅草。時節は、7月9日、10日、つまり浅草寺の縁日、ほおづき市のある両日。浅草寺近辺は人で溢れるのだろうな。今年あたり覗いてみるか。

by naomemo | 2009-06-04 07:00 | 音楽から落語まで