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なんとなく気になって、映画館に足を運んで観ようと思っているうちに、うっかり忘れてしまった。自慢じゃないけれど、生来モノグサゆえ、そんなことがよくある。ヤン・ヨンヒ監督・脚本の「かぞくのくに」がそのひとつ。

けれど、先日ようやくwowowの放映で観ることができた。

戦後、北朝鮮と日本との間で国交正常化のきっかけに在日朝鮮人の帰還事業が行われたことは、歴史の知識として知っていた。けれど、それはあくまでも知識というか情報以上のものではなかった。こうしてドキュメンタリー的な映画として観て、はじめて悲しい現実として把握することができた気がする。身体で知ることができた、というか。

じつは、最初に観たいと思った理由は、気になっている女優・安藤サクラが出演していると知ったから。いいね、彼女、とても存在感があって。あと、名作「息もできない」で監督・脚本・主演をこなしたヤク・ユンチュク。鉛のように重く複雑な感情を抱えた男を見事に演じていたな。

ヤン・ヨンヒ監督、気に入りました。




by naomemo | 2013-09-27 13:13 | シネマパラダイス

いま観たい映画3+1本


「屋根裏のマリアたち」


フランス上流婦人のあいだで語られる。「フランス人のメイドなんて、古いわよ。いまや主流はスペイン人ね」と。時代設定は1960年代ということになっているが、なんでもかんでもマーケットという現代への風刺がピリリと効いた作品なのではあるまいか。ラテンのノリがじつに愉しそうだし。てなわけで、ぜひ観てみたいな、と。


「少年と自転車」


ベルギーのダルデンヌ兄弟の作品。公開時に見逃したのだが、来週一週間、ルシネマでアンコール上映されるんだとか。こんどは観るぞ。昨年のカンヌ・グランプリを取った作品だし。それにしてもルシネマ、昨年改装して、気持ちも一新した感じ。アンコール上映やら監督特集やら、ちゃんと客とキャッチボールできてる感じがしていいと思うな。


「ブラック・ブレッド」


この作品のことはよく知らない。けれど何度も映画館で予告編を観た。ダークなミステリーという印象。昨年度の米国アカデミー外国語映画賞スペイン代表作品なんだとか。そう言われれば気になるじゃんね。


「スパイダーマン」


ハリウッド作品は好んで観ることは、あまりない。とはいえ例外もある。スパイダーマンの新作に、アンドリュー・ガーフィールドが起用されたと聞けば、これは観るっきゃない。彼の出演作を観るのは、「大いなる陰謀」「BOY A」「わたしを離さないで」に続いて4本目となる。ちなみに配給元にいる友人に聞いたら、試写でみんな泣いてるよ、だって。脚本がしっかりしてるらしい。

他にもありそうだけど、とりあえず4本。

by naomemo | 2012-06-20 15:17 | シネマパラダイス

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米国アカデミー賞に外国語映画賞という賞がある。2008年に「おくりびと」が受賞して日本でも俄然注目されるようになった賞である。その翌年にはアルゼンチンの「瞳の奥の秘密」が受賞。この作品はじつに質の高いエンターテイメントで、ひどく気に入り、もういちど大きなスクリーンで観てみたいなあと思っているほどだ。オープニングの揺らぎがなんとも美しい。

そして昨年2011年に受賞したのがイランの「別離」。アカデミー賞の授賞式ダイジェストをテレビで観ていて、思わず「おっ」と声が出た。なにしろハリウッドといえば、ユダヤ系の領分である。そこでユダヤからすれば天敵のイラン映画が大賞を受賞することになるとは想像もしていなかったからだ。

しばらくして渋谷ルシネマが同監督・脚本ファルファディの前作「浜辺で消えた彼女」を取り上げたので、さっそく観た。感想は以前書いたとおり。

そして今週おなじ渋谷ルシネマで「別離」を観て来た。前作を一回りも二回りも凌ぐ傑作で、緊張の2時間だった。テーマは、ファルファディお得意の「嘘と秘密」。

登場する大人たちが、それぞれ周囲への配慮から善かれと思って隠した秘密、善かれと思ってついた嘘が、やがて事態を悪くしてしまう。そんな人生の皮肉と悲しみの物語が、老人の介護、夫婦の不和、信仰心、裕福と貧困といった、いつかどこかで誰もが向かい合うモチーフを折り込みながら展開していく。

恐るべし、ファルファディ。

ついでに言うと、この「別離」、ベルリン映画祭で金熊賞を受賞しているが、男性キャスト全員が男優賞、女性キャスト全員が女優賞を受賞している。こんなこと、映画史上初めての快挙じゃないかな。しかも、この作品、イランとは天敵の国イスラエルで大ヒットしたんだってさ。国境も、宗教も、民族も超えた作品ってことでもあるね。

良かったです。最後、泣いたなあ。。。




by naomemo | 2012-05-24 16:07 | シネマパラダイス

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昼はハリウッドのスタントドライバー。そして夜は強盗の逃走を請け負うドライバー。昼と夜が「ドライブ」という行為でリンクしている。どちらにも感情が入る余地はないように見える。

そのクールで孤独な男を演じているのは、ライアン・ゴズリングというカナダ出身の俳優。カッコいいのだ、こいつが。

けれど、なぜかいつも口に楊枝をくわえている。どういう暗示だろう?と思いつつスクリーンを見つめていて浮かんだイメージは、「木枯し紋次郎」。「あっしには関わりのねえこって」などとは言わないけれど、そんな雰囲気を醸し出しつつ、やはり関わって行くんだよ。ひょっとしたら監督が熱烈な紋次郎ファンなのかも知れない。

つまり、クールで孤独な魂が、あることをきっかけに変貌することになるわけだ。ライアン・ゴズリング演じるドライバーの場合、それは同じアパートに済む母子との出会いだった。

クールで孤独な魂は少しづつ発熱していく。

孤独な魂が孤独であるうちは保たれていたバランスが、その出会いを契機にゆっくり崩れ始める。いつのまにか口の楊枝も消える。そして昼の重力が増すごとに、夜の重力も増して来る。深いね。脚本のチカラを感じる。

やがて彼女の夫が刑務所から出所してくる。その夫の背後には、大きな闇が広がっている。闇は次第に成長し、孤独なドライバーを飲み込んで行く。

激しい暴力のシーンがある。たっぷりと血が流れる。

若く美しい母親役を演じているのはキャリー・マリガン。「17歳の肖像」から観ているけれど、だんだんチャーミングになって行くね、彼女は。あ、違うな、「プライドと偏見」にも出演してたようなので、その時から観てることになる。

監督はデンマーク生まれのニコラス・ウィンディング・レフン。ライアン・ゴズリングとキャリー・マリガンがお気に入りになったようで、それぞれを起用した新作の準備に取りかかっているらしい。楽しみだ。

ドライヴの予告編はこちら。




by naomemo | 2012-04-10 17:19 | シネマパラダイス

いま観たい映画5+1


「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」


「リトルダンサー」「めぐりあう時間たち」「愛を読むひと」。スティーブン・ダルドリー監督作品にはハズレがない。その緻密な演出力は素晴らしい。必見!と思っていたのに、あらま、ロードショウは終わってしまってるようだ。名画座に廻るのを待って、これは必ず観る。


「別離」


ベルリン映画祭で金熊賞を受賞したイラン映画。今年の米国アカデミー賞外国語映画賞も受賞した。米国ともイスラエルとも犬猿の仲であるイランの映画をよくハリウッドが選んだものだ。一人で製作、脚本、監督の三役をこなしているのが、アスガー・ファルハディ。先日その存在を知って、前作「彼女が消えた浜辺」を観て来た。きっと「別離」も切ない物語だろうなあ。でも、観る。だからこそ、観る。米国アカデミー賞にあまり重きは置いていないけれど、外国語映画賞だけは例外。いい、これは。ちなみに、この作品、イスラエルでヒットしているらしい。


「裏切りのサーカス」


ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン、スパイ。なにしろジョン・ル・カレの傑作スパイ小説の映画化なのである。しかも、あろうことか、あのゲイリー・オールドマンが主人公スマイリー役なのだ。コリン・ファースも出演している。観ないわけに行かないだろう。


「ルート・アイリッシュ」


必ず観ることにしているケン・ローチの最新作である。脚本はいつもの通りポール・ラヴァティ。それにしても、この作品は、これまでの彼らの作品と比べて、ずいぶん異色である。「真のイラク戦争終結は、すべての戦争請負業者たちが、あの地から去ってはじめてなされると我々は信じている」。


「ドライブ」


なんだろう、これ。あちこちの映画館で何度か予告編を観てから、妙に気になっている。カンヌ映画祭で監督賞を受賞しているようだけど、この手のクライム・サスペンスがカンヌで受賞するのも珍しい。そうでもないか、タケシが受賞してるもんね。主演のライアン・コズリングがクールだ。そして「17歳の肖像」「わたしを離さないで」のキャリー・マリガン、ずいぶん大人になった感じ。監督ニコラス・ウィンディング・レフンは1970年デンマーク生まれだそうだけど、全く知らなかった。楽しみだ。


「アーティスト」


今年の米国アカデミー賞で主要部門をほぼ独占して話題になった、モノクロのサイレント作品。フランス人監督ミシェル・アザナヴィシウスは、古き良き米国のサイレント映画を観まくったらしい。彼は、授賞スピーチで、「最後に三人にお礼を言いたい。ビリー・ワイルダー、ビリー・ワイルダー、ビリー・ワイルダー」と叫んだ。それで、よし観よう、と思ったのだった。


まだまだあるけど、今日のところは、ここまで。

by naomemo | 2012-03-31 12:25 | シネマパラダイス

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今週の隙間シネマは、渋谷ルシネマで「フラメンコ、フラメンコ」。全編、最初から最後まで、徹頭徹尾フラメンコ、フラメンコ、フラメンコの踊りと歌と演奏一色。こういうの、じつに珍しい。とても贅沢な時間だった。フラメンコが好きじゃない人には、苦痛かも知れないけど。

そして、ひと口にフラメンコと言っても、オーソドックスなの、モダンなの、激しいの、穏やかなの、エロティックなのと、じつにバラエティに富んでいるんだなあと、この作品を通じて教えてもらった感じ。

踊りは基本的に女性の役割、男たちはギターやボンゴのような打楽器を担当。ついでに言うと、フラメンコでは、人間の身体そのものを打楽器として使う。これはもう見事なくらい。

なにより驚いたのは、歌詞。哲学的ともいえる深い物語が歌われているんだよね。いくつもいくつも聴いていて思ったのは、スペインでは、フラメンコの歌を媒介にして、人生が語られ続けられているんだなあということだった。

それにしても、脳化した現代の日本で、実際にフラメンコがブームになってるようだけど、じつに面白い現象だね。身体性への回帰なのかな。アタマはときどき平気で嘘をつくけど、カラダは嘘をつかないからね。




by naomemo | 2012-03-29 19:09 | シネマパラダイス

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人間は嘘をつく生きものである。いや、動物だって、植物だって、擬態という立派な嘘をつくから、生きとし生きるもの、すべて嘘をつく、と言っても良さそうだ。何のために嘘をつくのか?もちろん、生きるために。

生きる目的以外に嘘をつくのは、おそらく人間だけではないだろうか。人間は悪意に満ちた嘘もつけば我が身を守るための嘘もつく。あるいは相手を籠絡するための嘘もつけば人間関係を壊さないための嘘もつく。

人間がつく嘘は、じつにバラエティ豊かである。嘘の役割は果てしなく広いのだ。そして、嘘が嘘のままにきちんと機能しているうちは、おそらく平和が保たれることになるのだろう。逆にいえば、ひとたび嘘が破綻すると、たちどころに大きな波紋がひろがることになる。

イラン映画「彼女が消えた浜辺」は、そうした「嘘の破綻」をテーマにした作品だった。

ほんとうなら幸福な結果を約束してくれるはずだったセピデー(ゴルシフテ・ファラハニ)の小さな嘘が、友人家族たちとヴァカンスにやってきた避暑地の浜辺で、唐突に破綻してしまう。その途端、友人たちは自己保身に走る。私もそうじゃないかと思ってたのよ、と。

セピデーの友人エリが浜辺で消えたことを巡って、セピデーは次第に自分を追い詰めて行くことになる。夫からも友人たちからも追い詰められて行くことになる。詳しいことは書けないけれど、とてもとても切ない物語なのだった。切ない気分でいっぱいになって、渋谷ルシネマを後にした。

それにしてもこの作品に登場する女たちの、なんと魅力的なことか。じつに美しい。それだけでも一見の価値あり。

ちなみに監督アスガー・ファルハディは本作でベルリン映画祭銀熊賞を受賞。来月公開される次回作の「別離」では、ベルリン映画祭金熊賞、今年の米アカデミー賞外国語映画賞を受賞している。注目の監督だね。




by naomemo | 2012-03-23 17:56 | シネマパラダイス

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「はじめてピナの舞台を観た時、私は感情を解き放ち、とめどなく泣いた。人生初の経験だった」。監督ヴィム・ヴェンダースの言葉だ。衝撃的な出会いだったんだね。すぐに映画化を思い立ったようだが、実際にこうして「ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」として結実するまでに20年の歳月を要している。

方法論を思いつかなかったからだというのだけれど、しかしこれはいかにもヴェンダーズが得意とするインタビュー多用型ドキュメンタリーの方法論で撮られており、それ以上でもそれ以下でもないと思う。すでにこの世にいないピナを描くのに、そしてピナが追い求めていたダンスを描くのに、これほど相応しい手法はないと思う。だから20年の歳月が流れたのは、おそらく別のところに理由があるだろうと勝手に思っている。

ピナはダンサーに向かって言う。「もっとクレイジーになりなさい」「ずっと探し続けなさい」と。それはダンサー自身が「自己を解き放つ」ことであると同時に「魂の深みへダイブする」行為を促す言葉であるに違いない。

そうした行為は、脳化が進んだ現代において身体性を恢復する作業ともなるはずだけど、同時に大きな危険を伴う行為でもあると思う。ピナという導師がいて、たぶん可能なことだったに違いない。そんなことを、このヴェンダースの映像作品から強く感じた。ピナも凄いけど、ヴェンダースもスゴかね。




by naomemo | 2012-03-19 18:40 | シネマパラダイス

原田芳雄、初受賞!

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原田芳雄が、自ら長年企画を温めていた「大鹿村騒動記」で、日本アカデミー賞主演男優賞を初受賞。良かった、良かった。とにかく良かった。

この作品、じつは昨年のロードショウで見逃した。ようやく観ることが出来たのは先月12日だった。めちゃんこ面白かった。映画館のなかで、何度も何度も笑いが巻き起こった。

江戸時代から300年に渡って連綿と受け継がれ上演され続けて来た大鹿歌舞伎を、その上演に関わる村人たちの人生模様を描いたものだが、なかでも、風祭貴子(大楠道代)をめぐって繰り広げられる、夫・風祭善(原田芳雄)と、善の友人で間男でもある能村治(岸部一徳)のかけあいが、なんとも可笑しく、哀しく、じつに味わい深かった。

大鹿歌舞伎に演芸の原点を見ていた原田にとって、今回の受賞については、天国で喜んでいるに違いない。あらためて、合掌。




by naomemo | 2012-03-02 23:30 | シネマパラダイス

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昨晩、仕事から帰宅して晩ご飯を食べながら、2012年の米アカデミー賞授賞式ダイジェストをwowowで観た。今年のアカデミー賞は、世界の今がまだらに垣間見えて面白かった。

監督賞、作品賞、主演男優賞といった主要部門をほぼ独占したのは、なんとフランス人が作った無声映画「アーチスト」。その向こうを張るかと見られていた3D映画「ヒューゴの不思議な発明」は、視覚効果賞、録音賞、音響編集賞、美術賞、撮影賞。ありていに言えば周辺の賞に留まった。

結果として、ハリウッドが今後に期待をかけている3D作品が、古き良きスタイルの後塵を拝した形となったわけだ。

その流れで気になったのが、脚色賞をとった「ファミリー・ツリー」。どうやら米国はますます、古き良き時代を、先祖帰りを望むようになってるなあと感じる。米国が内向きモードに入った(ように見える)ことは重要だと思う。

そして、メルリストリープが主演女優賞を受賞した「マーガレット・サッチャー」。「規制緩和、自由化」を旗印に、黄昏の英国を不死鳥のように蘇らせたサッチャーが映画になるというのも、今だね。とにもかくにも、サッチャーが進めた新自由主義の負の遺産がリーマンショックなんだから。

もうひとつ驚いたのは外国語映画賞がイラン映画の「別離」に決まったこと。イラン映画にはクオリティの高い作品がとても多いけれど、まさかユダヤ資本のハリウッドが、米国ともイスラエルとも犬猿の仲であるイランの映画にアカデミーを賞を与えるとは。よほどの傑作なのか、なんらかの政治的な意図があるのか。映画というのは時代を映す鏡だね。

最終的に、ぜひ観てみようと思った作品は以下の4本。
◎「アーチスト」(これはいうまでもなく)
◎「マーガレット・サッチャー」(どう描いているのか)
◎「裏切りのスパイ」(ゲイリーオールドマンを観たい)
◎「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(久々のダルドリー作品)

by naomemo | 2012-02-28 23:50 | シネマパラダイス