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ようやくカズオ・イシグロの「わたしを離さないで(Never Let Me Go)」を読み終えた。公園のベンチで、主人公キャシーによって語られる話にじっくり耳を傾けていたような気分だった。たかだか一冊の小説を読むのに、これほどの時間がかかるとは。

くわしいことは書きにくい内容なので、ごく簡単に。舞台はヘールシャム。英国の寄宿舎を彷彿させるような施設。中心的な登場人物は、キャシー、ルース、そしてトミーの三人。現在三十一歳になり、介護人の仕事をすでに十一年以上続けているキャシーが、ヘールシャムでの思い出を、ゆっくりゆっくり語り始める。

キャシー、ルース、トミー、この三人だけの関係を聞いていると、いかにもありそうな少年少女の生態のように思える。そして実際その通りなのだけれど、なにかが気にかかる。登場してくる大人といえば、寄宿舎ヘールシャムの先生というか保護官たちだけ。子供たちの親は一切登場しない。ヘールシャムは、外界からまったく遮断された、子供たちのために特別に拵えられた、繭のような空間なのだ。何だろう、これは、と思いながら耳を傾けていく。

今朝走っている時も、「ヘールシャムって何を意味してるんだろう」という疑問が浮かんでは消えた。「クローン」というモチーフは何を暗示しているのだろう。英国の寄宿舎生活の特異性を表現したかったのだろうか。現実から隔離された子供時代の比喩として描いているのだろうか。あるいはキブツのような存在を念頭においているのだろうか。

ちなみに、「わたしを離さないで」は映画化の真っ最中である。トミー役に扮しているのは、「BoyーA」で素晴らしい存在感を示していたアンドリュー・ガーフィールド。この作品、個人的に期待値上昇中である。

by naomemo | 2010-06-21 08:01 | 音楽から落語まで

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カズオ・イシグロ原作の「私を離さないで(Never Let Me Go)」が、映画化されているという。ちょっとググってみたが、どうも情報が錯綜していて、いまどのような段階にあるのか掴み難い。けれど、キーラ・ナイトレイ主演で撮影が進んでいることは確かだ。監督はマーク・ロマネスク。初めて目にする名前だ。私としては、「つぐない」のジョー・ライトでやって欲しかったけど、ま、こればかりは仕方ない。

ときどきお昼をいただいている遊山亭のご主人の話によると、主題曲になるであろう"Never Let Me Go"を誰が歌うのか、ファンの間で話題になっているんだとか。彼の見立てでは、Stacey Kentが最右翼だという。そんな話を聞きながら、先日、食事中に、彼女のNever Let Me Goを聴かせてもらった。初めて聴いたのだけど、とても不思議な声の持ち主だ。

というわけで、アマゾンで同名曲が入ったアルバム"Breakfast on the morning tram"をポチ。昨日届いたので、いま、これを書きながら聴いている。当然、通勤電車の中で「私を離さないで」を読んでいる。ゆっくり、ゆっくり、主人公キャシーの寄宿学校時代の思い出を、横に座って静かに聞いているような感じ。物語は、すこーし微熱を帯び始めたかな。読み終えたら何か書くかも。

by naomemo | 2010-06-03 08:29 | 音楽から落語まで