今日は、久しぶりに、タバコが臭い立つ。もちろんこれは幻のニオイ。さて、唐突なのだが、どうしても腑に落ちない事件のことをメモしておく。

その容疑者は逮捕され、犯行を自白している。それでもやっぱり納得できないのが、元厚生事務次官殺傷事件である。

犯人と目される人物は、幼い頃に飼っていた犬が保健所に始末されたことを根に持っての犯行と供述しているらしい。しかし、そんな話、どうやったら信じられるというのだろう。

そもそも、その飼い犬を保健所に連れて行ったのは、その犯人の父親ではなかったか?たしか、逮捕直後、どこかのテレビ局が父親にインタビューを試みた時、父親本人の口からその事実が出たと記憶している。だから、もし犯人が恨むとするなら、保健所ではなく、父親ではないだろうか。それとも、その事実は、これまで本人に知らされて来なかったということなのだろうか。

いやいや、ちょっと待てよ。だいたい飼い犬のことで、10年も20年も恨みを抱き続けられるものだろうか。その怨念だけで元厚生省事務次官宅を襲撃したりするものだろうか。それも今頃になっての犯行というのが納得できない。なにか他の動機はないのだろうか。あるいは、どこかに襲撃を指示した存在はないのだろうか。

逮捕直後、年金テロではないと供述したとの話も伝わっていた。が、そんなことを言われれば、なおさら大きな疑問符が浮かぶだろう。どこまでが本音で、どこまでが作り話なのか。ひょっとしたら本人にも、その境が分からなくなっているのか。世間の思いが憑依しやすい体質の持ち主なんだろうか。それとも誰かの指図なのか。事件の真相は、いまだに薮の中。いまだに、どうにも不可解で腑に落ちない。

# by naomemo | 2008-12-09 21:30

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日々、禁煙が楽になってくる。いやいや、ほんと。あー、タ、タ、タバコ、なんて気持ちに襲われたのも先週末の2日間だけ。もうほとんど大丈夫みたい。とはいえ、まだ1ヶ月も経っていない。気を抜かないようにしないとね。

朝、混雑した電車に乗ってからイヤホンを耳に入れ、手探りで胸ポケットのiPodの電源を入れ、志ん朝の出囃子を探り当てる。あれれ、志ん朝が風邪の話なんかしてるよ、マクラでウィルスがどうのこうのって、志ん朝らしくないよなあ、そういえば以前もそんな感じを、この噺なんだったけかなあ、じれったいよなあ、あー、そうか、「羽織の遊び」だったかと思い当たった。 

それにしても、ほんと、じれったいんだよなあ、この噺。端っから、どっかの若旦那をたらしこんでナカ(吉原)へ繰り出そうって話になってるのに、そしてもちろん手頃な獲物まで登場させてナシ付けてるってえのに、ちっともナカへ向かえないのだ。行きたくて、行きたくて、行きたくて仕方ないのに、若旦那から言われた「羽織」が手に入らないおかげで、ちっとも行けないという物語なのだ。気持ちは前のめりになってるのに、身体が前に進んでいかないとでもいえばいいのだろうか。

今回久しぶりに聞き直して、やっぱり、じれったい。そう思いながら聞いていたが、聞き終えてから、でも、あー、うーん、そーね、このじれったさ、悪くねえかも、って思えてきた。ほんとかな?もう一回、聞き直してみた。この若いの、ほんと、じれったい。ニブイんだよなあ。だから、じつにじれったい。でも、志ん朝も、そのじれったいのを楽しんでるように聞こえて来る。だから聞く方も楽しんじゃえばいいんだよな。

# by naomemo | 2008-12-05 07:45 | 音楽から落語まで

禁煙23日目 三軒長屋

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喫煙している頃にはあまり感じなかったが、電車のなかって化粧品のニオイがけっこう充満しているんだよねえ。とくに朝だね。これまで気にならなかったのは、やっぱり臭覚が鈍くなっていたってことだね。禁煙するだけで、思わぬ発見があるもんだ。

今朝は、電車のなかで、志ん朝の「三軒長屋」を聞きながら仕事場に向かう。質屋(金貸し)の主人を、鳶頭の政五郎がちょいと智恵を働かせてやりこめるという、お馴染みの痛快噺。噺というより、お芝居。志ん朝の声を聞きながら目を瞑ると、もうそこは江戸時代の賑やかな三軒長屋。あっというまに時空を飛び越えてワープできてしまうのは、志ん朝の芸というほかないね。

# by naomemo | 2008-12-03 13:00 | 音楽から落語まで


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一昨日、昨日と、ひさびさに「タ、タ、タバコ、吸いたい」という気分に襲われた。なにかキッカケがあったのかなあ…、思い当たることと言えば、金曜日に観た映画(「その土曜日、7時58分」)くらいである。表現にチカラがあった分だけ、暗澹たる物語が堪えてしまった。それでストーンと落ちた休日の2日間、ジムやテニスコートでたっぷり汗を流して、なんとかやり過ごし、ようやく浮上してきた感じ。

本来なら今はまだニコパッチを貼っているはずの時期だから、「お、おぬし、き、きたなあ」と感じたら、無理せずに貼れば楽になるのは分かっていたのだが、ここはあえて我慢してみたのだ。休日だったから、なおさらだね。でも、終わりよければ、すべてよし。禁煙、じつに21日目に突入したのであった。とにかく1本吸うだけで中毒症状が復活してしまうらしいので、このまま行くのだ。

そんなこともあってか、昨日あたりから志ん朝の落語が聞きたくなり、音源をiPodに移す。まずは「百川(ももかわ)」。田舎出の百兵衛さんと江戸の魚河岸の兄さんたちとの掛け合い、というか擦れ違いは、なんど聞いても笑っちゃうねえ。

今朝は電車の中で「今戸の狐」。この噺、いろいろなバージョンがあるらしいが、他にどんなのがあるんだろう。志ん朝バージョンでは、マクラでさんざん符丁のことが紹介された上で噺が展開する。どうってこともない噺のようではあるが、きっと志ん朝好みなんだろうな。とにかくカタチがきれい。前座が主人公というのも珍しい。

ところで、この噺のなかに、狐の彩色の内職を手伝いたいと頼んで来る、近所で働き者と評判の女性が登場する。コツ(千住)出身の女郎上がりだという。今戸の狐って、江戸時代の庶民の間で招き猫のような縁起物として人気があったのかもな。

# by naomemo | 2008-12-01 13:30 | 音楽から落語まで


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今晩は連れ合いと恵比寿ガーデンシネマでシドニー・ルメットの新作を観る。その前にパパスで、フレッシュトマト、バジリコのスパで腹ごしらえ。これが意外に旨かった。

さて、ルメットの「その土曜日、7時58分」(邦題)は、緊迫感のある現代的な作品だった。最近流行の過去と現在を往復する時間の使い方を少しひねってあるところも面白かった。 

父親と長男が背負う確執。光と影を互いに持つ兄と弟という宿命的な関係。この永遠のテーマを横糸に、悲劇的なストーリーが展開していく。その悲劇は、偶然の出来事から生み出されたものなのだろうが、必然として捉えられているようにも思えてくる。力作だと思う。が、正直、気が滅入ってしまった。ブラックなんてもんじゃなく、力作であるがため、余計、堪えた。911以降のアメリカ映画には、「救い」のようなものがまったくない暗澹たる結末が多くなったなあ。

ちなみに原題は、"BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD."アイルランドの慣用句から取られたものだという。"May you be in heaven half an hour before the devil knows you're dead."=お前が死んだことに悪魔が気づかぬうちに、なんとか天国に着けますように。けっこう日常的に使われる慣用句のようにも思えるが、映画を見終わった後では、あたかも「父親の贖罪」の言葉のように響いてくる。

脚本ケリー・マスターソン。監督シドニー・ルメット。ルメットは84歳だという。いやはや凄いエネルギーだね。役者も粒揃いだった。兄アンディ役をフィリップ・シーモア・ホフマン、弟ハンク役をイーサン・ホーク、アンディの妻ジーナ役をマリサ・トメイ、兄弟の父チャールズ役をアルバート・フィニー、母ナネット役をローズマリー・ハリス。



# by naomemo | 2008-11-28 23:45