10年は保有するつもりで

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はじめての金読本、移植第11弾です。2010年03月07日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第二弾です。

短期の利益を追うのか、資産の保全を考えるのか、金との付き合い方には大きな違いが生まれてきます。

あくまでも短期の利益を追いたいというのであれば、わざわざ金地金や金貨を売り買いする必要はありません。金先物=将来の金価格を売り買いすればよいことです。それなら投資資金の何倍もの取引ができますから、予想が当たれば儲けはドンと大きくなります。ただし予想が外れれば損失も一気にふくらみます。金先物は、ハイリスク・ハイリターンであることをしっかり認識しておくことが必要です。

この「はじめての金読本」はそういう立場には立っていません。金は、外見は派手でも役目は地味、という立場です。「万一に備えるための資産」と考えていますから、もし金と付き合うのであれば、少なくとも10年は保有するつもりで買うことを勧めます。

そうなれば日々の値動きに一喜一憂することもありません。10年保有を想定すれば長く寝かせて大丈夫な資金しか充てられないことにもなります。昨今、将来受給額が減少するであろう年金の足しにしたいという理由から、コツコツ金を買っている人が増えているようですが、それくらい控え目なペースが金には相応しいでしょう。

頻繁に売ったり買ったりを繰り返せば、手数料もかさみます。必要以上に譲渡税もかかります。税金のことは別の機会にお話ししますが、長期保有は税金面で優遇されるメリットもあります。

困ったことがない限り金は売らない。バブル化しないかぎり金は売らない。それが基本です。


イラスト:三井孝弘さん



# by naomemo | 2015-04-03 08:33 | →はじめての金読本

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はじめての金読本、移植第10弾です。2010年03月01日に公開した原稿に手を入れたものです。今回からこの「はじめての金読本」カテゴリーでは、しばらく断続的に「金と付き合うための指針」を展開する予定です。ゆるゆるとお付き合いください。

以前も触れましたが、金は利息を生むことがありません。配当という果実をもたらしてくれることもありません。そのため金価格は、金利が上昇する局面では、どうしても売られがちになります。

しかし、ここで思い起こしておきたいことは、リーマンショックで明らかになったように、21世紀は、良くも悪くも金融や経済が国際化して、地球の裏側で起きていることが、日本国内に思いもよらない影響を及ぼす時代であることです。また格差が拡大し社会はじつに不安定な状況にありますから、小さな行き違いが大きな摩擦に発展することもあります。

不測の事態などというものは稀にしか起きないものですが、起きるときには起きます。それも最悪の時に重なって起きたりするものです。

そうした万一のリスクへの備えとして保有するもの、それが金です。金は信用リスクと無縁の存在ですから、株式や国債などと異なり、紙くずになることがありませんし、インフレやデフレなどの経済リスクに強い性格を持つ資産でもあるからです。

金の役割は、その派手な外見と異なり、じつに地味なものです。たとえ10年保有しても、100年保有しても、ただ静かに輝いているもの、それが金地金であり金貨です。

もしも金と付き合うのであれば、価格が上がったとか下がったとかに一喜一憂することなく、金の役割は「万一に備え」にあると認識して泰然としていることです。「それは無理」と感じる人は、近づかない方が良いでしょう。


イラスト:三井孝弘さん



# by naomemo | 2015-03-27 09:15 | →はじめての金読本


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先月、海洋火山学者で熊本大学准教授の横瀬先生を取材すべく熊本へ。火山と鉱床の深い関係について、くわしいお話を伺うことが出来ました。じつに貴重な二時間でした。

あらかた取材が終わってから、貴金属業界で静かに流布する都市伝説について尋ねてみました。ところで先生、プラチナって、隕石に乗って宇宙からやって来たという説があるのですが、どう思われますか?

即座に、簡潔明瞭な回答が返って来ました。

それにしても、地質について、鉱床について、海洋について、これほど広く深く複眼的に捉えられる研究者はいないのではなかろうか。前向きだし、元気だし、ほんとによく笑う人です。

先生、ひとたらしですね、と云ったら、うれしそうに笑っておられました。仕事をする上で、ひとたらしであることは、とても大切なこと。

さて、その都市伝説についてのココロとは?5月30日に開催されるゴールドフェスタで明らかになる!?興味のある向きは下記サイトにて参加申し込みを。

→ゴールドフェスティバル2015のサイトはこちら

# by naomemo | 2015-03-20 07:01 | →はじめての金読本

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はじめての金読本、移植第9弾です。2010年02月22日に公開した原稿に手を入れたものです。今回も初心者向けの内容となります。

前回、金価格には「ふたつの局面」があると紹介しました。それは「国際的に取引される局面」と「国内で取引される局面」であり、両者の間には「為替」という変数が介在しているということでした。

さて、国内の店舗で実際に取引される価格も、別の意味で二本建てになっています。ひとつは「金小売価格」であり、もうひとつは「金買取価格」です。

金小売価格とは、一般の人が店頭で金を買う際の価格で、たとえば5000円/gというように、1グラムあたりの円建て価格で表示されています。そして一方の金買取価格は、一般の人が店頭で保有金を売る際の価格で、4915円/gというように、やはり1グラムあたりの円建て価格で表示されています。店頭においては、どちらも消費税込みの価格になっています。(※)

この金小売価格と金買取価格との間には、スプレッドと呼ばれる価格差があります。その価格差は取扱業者によって若干異なるものの、おおむね80〜90円/gの幅で設定されています。

したがって、金小売価格が上がれば、それに応じて金買取価格も引き上がります。もちろん、その反対に小売価格が下がれば、金買取価格も同時に下がります。金取引では、小売価格と買取価格が一対になっていることが、恣意的な価格設定を抑制する役割を果たしていると言うこともできます。

ただし、この価格差は常に必ず一定というわけではありません。取引時間中に国際金価格やドル円為替相場が大きく変動した場合に、価格が変更になることがありますが、時にその変動を吸収するべく価格差も広がる場合もあります。この点は頭に入れておくとよいでしょう。


イラスト:三井孝弘さん


(※)
ちなみに、商品の販売価格の表示に関して、2004年に「総額表示」(消費税額を含んだ価格での表示)が法律で義務づけられました。そのため、金やプラチナなど貴金属の小売価格、買取価格も、現在は総額表示となっています。しかし、2014年4月に消費税は5%から8%へ引き上げられました。近い将来、10%への引上げも実施されます。そうした背景から「総額表示」の法律も改正され、流通業界では現在、「本体価格+税」という表示を採用するところが増えていますから、そのうちに価格表示も変わるかも知れません。



# by naomemo | 2015-03-18 05:16 | →はじめての金読本

国際金価格と国内金価格


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はじめての金読本、移植第8弾です。2010年02月05日、02月12日に公開した原稿に手を入れたものです。

金は、太陽の動きを追いかけるかのように、世界のどこかの市場で取引が行われています。シドニー、東京、香港、チューリッヒ、ロンドン、ニューヨークという具合に、時差を追って取引は受け継がれていきます。さらに、インターネット上の取引が主流になった現在、「NYグローベックス」という電子取引システムがほぼ24時間稼働しており、金価格は、休日を除いて、ほとんど眠ることなく動いています。

ところで、一般に金価格と云う場合、ふたつの側面で捉えておく必要があります。ひとつは国際的に取引される際の金価格(国際金価格)であり、もうひとつは特定の国や地域で取引される際の金価格(国内金価格)です。それぞれ、グローバル金価格、ローカル金価格と呼んでも良いかも知れません。

国際金価格の方は、基軸通貨である米ドル建てで表示されます。この場合の重量単位はヤード・ポンド法のトロイオンスtoz(略してオンスoz)で、具体的には1,200ドル/ozというように表示されることになります。(※)

一方、国内金価格の方は、ドル建ての国際金価格を各ローカル通貨建てに換算して表示されます。英国であればポンド建て、ユーロ圏であればユーロ建て、中国であれば人民元建て。そして日本の場合は円建てで表示され、重量単位はメートル法のグラムとなります。

つまり日本における国内金価格とは、国際金価格をドル円為替レートに基づいて円建てに換算し、同時に重量単位をトロイオンスからグラムに変換して、グラムあたりの円建て金価格で表示されるわけです。その結果、5,000円/gというように表示されます。

こうした仕組みから分かるように、円建ての国内金価格は、米ドル建ての国際金価格に連動して動く一方で、ドル円為替相場によっても動きます。したがって、国際金価格が下がっても、為替がドル高円安に動けば、国内金価格はあまり動かない、というようなことも起きるわけです。国際金価格が上がり、なおかつ為替がドル高円安に動けば、国内金価格は大きく上がります。もちろん、その反対のケースもあります。

もう一歩だけ踏み込んでみましょうか。ここまで見てきた通り、国際的に取引される金の価格は米ドル建てです。これを日本人の立場から見ると、つまり、金にはドル建ての外貨資産の側面があるということです。この点はとても大切なので、別の機会に詳しく紹介します。

ここでは国内金価格は為替にも大きく左右されると覚えておいてください。


イラスト:三井孝弘さん


(※)
トロイオンスとは、貴金属の計量に用いられている特殊な単位で、別名を金衡オンス(きんこうオンス)ともいいます。グラム換算では、1toz=31.1034768gとなります。



# by naomemo | 2015-03-13 07:00 | →はじめての金読本