国破れても山河は残る


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関西電力高浜原発3、4号機の再稼働に対して、福井地裁が待ったをかけた。大飯原発再稼働差し止め判決の際と同様、再稼働で人格権が侵害される危険があるという理由からである。素晴らしい判断と思う。

化石燃料というエネルギー資源を持たない日本が、原子力政策に前のめりになった過去の経緯は理解しているつもりである。

しかし、幸か不幸か日本は四つのプレートが集まる場所に位置するがゆえに、地震が多発する国である。そしてそれゆえに貴金属資源が豊富に採取された国でもあるのだが、残念ながら石油エネルギー資源に恵まれなかった。しかし石油エネルギー資源に恵まれなかったがゆえに、他民族にとって征服するだけの魅力がなかったとも云える。

そんな日本が唯一と云って良い資源を持っている。何かといえば、恵み豊かな自然である。山であり、川であり、海である。これほどの滋味を享受し続けていられる民族はあまりないのではないか。いまや世界を二分する大国、米国も中国も、早晩、深刻な水不足に襲われると予測されているが、幸い、日本は生きて行く上の必須要素である水にたいへん恵まれている。

使用済み燃料の行き場さえ決まっていない日本に、原発はいらない。国破れても山河は残る。山河が残れば民は生きて行ける。しかし原発で山河を失えば、人格権どころか、生存そのものが危ぶまれる。

画像出典:ブルームバーグ

by naomemo | 2015-04-15 11:09 | いまを読むノート

金保有の目安は

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はじめての金読本、移植第12弾です。2010年03月15日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第三弾です。

金はどれくらい持つのが良いでしょうか、と聞かれることがあります。その問いについては、財産の1割、せいぜい2割が妥当と答えることにしています。とはいえ、必ずしもそこに明快な根拠があるわけではありません。あえて根拠らしきものを求めるとすれば、世界の中央銀行の外貨準備に占める金準備の割合が平均すると1割程度になる、というあたりでしょうか。

もうひとつ。金は「万一のために備える保険」のようなものですが、あまり保有比率を高めすぎるとどうしても価格動向に目が向きがちになります。しかし日々の値動きなどを気にしていては、安心の種であるはずの金保有が心配の種になってしまいかねません。これで本末転倒になってしまいます。金読本の指針としては、やはり財産の1割程度が基準になるだろうと考えています。ゆっくり時間をかけて1割へ近づけるのがいいでしょう。

ところが世の中にはもっと保有したいという向きもあります。2割くらい持ってはいけないのだろうか、などという質問を受けることもあります。しかし、そのあたりは人それぞれの考え方次第なので、ご自分で判断した方がいいと思います。ただ、これだけは云えそうです。2割持ちたいとか、3割持ちたいという人は、将来への不安がそれだけ大きいということです。将来に対する不信感が強い人は、概して多く持ちたがる傾向にあります。ですから、金の保有比率に対する処し方が、そのまま自分自身の世の中に対する不信感度を測る物差しになると云えそうです。

そもそも肝心の金の評価額のもとになる金価格からして、日々上がったり下がったりしています。金の保有比率については、あまり神経質にならない方が精神衛生上もいいのではないでしょうか。

なお、財産のなかに現在お住まいの自宅を入れてはなりません。たしかに法的には住まいも財産としてみなされますが、それはあくまでも生きて行く上での拠点であって、財産とみなすべきものではないはずだからです。目安は、自宅を除く財産の1割程度と覚えておきましょう。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-04-10 10:48 | →はじめての金読本

ドル買いとドル離れ


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中国主導で年内に設立される予定のアジアインフラ投資銀行。英国が手を挙げた途端に欧州勢が雪崩を打って参加を表明。米中が対峙する構図のなか、しかし背に腹は代えられず、実利を取ったというころなのだろうと見られている。

欧州勢は、いまの米国に強力に反対するだけの余力はないと見切っているのかも知れない。下世話な言い方をすれば、米国とももちろん付き合うよ、だけど中国とも付き合うよ、ということなのだろう。

米国と日本はいきなり孤立した感が否めないのだけれど、米国サイドの反応は表向き平静であるかのように見える。しかし、中国主導のアジアインフラ投資銀行創設が、米国主導の金融システムに一石を投じるものであることは明らかだけに、ここから先いろいろ紆余曲折があるような気がしないでもない。米国は、基軸通貨ドル体制を守るためなら、あらゆる手段を講じる可能性があると思われるからだ。

だからこそ欧州勢はスクラムを組むかのように参加を表明したのだろう。

ドル金利の引き上げを巡ってドルが買われる流れの一方で、静かに進むかに見えるドル離れの動き。この成行きからは、ちょっと目が離せない。


画像出典:ギズモード・ジャパン

by naomemo | 2015-04-09 11:38 | いまを読むノート

10年は保有するつもりで

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はじめての金読本、移植第11弾です。2010年03月07日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第二弾です。

短期の利益を追うのか、資産の保全を考えるのか、金との付き合い方には大きな違いが生まれてきます。

あくまでも短期の利益を追いたいというのであれば、わざわざ金地金や金貨を売り買いする必要はありません。金先物=将来の金価格を売り買いすればよいことです。それなら投資資金の何倍もの取引ができますから、予想が当たれば儲けはドンと大きくなります。ただし予想が外れれば損失も一気にふくらみます。金先物は、ハイリスク・ハイリターンであることをしっかり認識しておくことが必要です。

この「はじめての金読本」はそういう立場には立っていません。金は、外見は派手でも役目は地味、という立場です。「万一に備えるための資産」と考えていますから、もし金と付き合うのであれば、少なくとも10年は保有するつもりで買うことを勧めます。

そうなれば日々の値動きに一喜一憂することもありません。10年保有を想定すれば長く寝かせて大丈夫な資金しか充てられないことにもなります。昨今、将来受給額が減少するであろう年金の足しにしたいという理由から、コツコツ金を買っている人が増えているようですが、それくらい控え目なペースが金には相応しいでしょう。

頻繁に売ったり買ったりを繰り返せば、手数料もかさみます。必要以上に譲渡税もかかります。税金のことは別の機会にお話ししますが、長期保有は税金面で優遇されるメリットもあります。

困ったことがない限り金は売らない。バブル化しないかぎり金は売らない。それが基本です。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-04-03 08:33 | →はじめての金読本