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はじめての金読本、移植第10弾です。2010年03月01日に公開した原稿に手を入れたものです。今回からこの「はじめての金読本」カテゴリーでは、しばらく断続的に「金と付き合うための指針」を展開する予定です。ゆるゆるとお付き合いください。

以前も触れましたが、金は利息を生むことがありません。配当という果実をもたらしてくれることもありません。そのため金価格は、金利が上昇する局面では、どうしても売られがちになります。

しかし、ここで思い起こしておきたいことは、リーマンショックで明らかになったように、21世紀は、良くも悪くも金融や経済が国際化して、地球の裏側で起きていることが、日本国内に思いもよらない影響を及ぼす時代であることです。また格差が拡大し社会はじつに不安定な状況にありますから、小さな行き違いが大きな摩擦に発展することもあります。

不測の事態などというものは稀にしか起きないものですが、起きるときには起きます。それも最悪の時に重なって起きたりするものです。

そうした万一のリスクへの備えとして保有するもの、それが金です。金は信用リスクと無縁の存在ですから、株式や国債などと異なり、紙くずになることがありませんし、インフレやデフレなどの経済リスクに強い性格を持つ資産でもあるからです。

金の役割は、その派手な外見と異なり、じつに地味なものです。たとえ10年保有しても、100年保有しても、ただ静かに輝いているもの、それが金地金であり金貨です。

もしも金と付き合うのであれば、価格が上がったとか下がったとかに一喜一憂することなく、金の役割は「万一に備え」にあると認識して泰然としていることです。「それは無理」と感じる人は、近づかない方が良いでしょう。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-03-27 09:15 | →はじめての金読本


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先月、海洋火山学者で熊本大学准教授の横瀬先生を取材すべく熊本へ。火山と鉱床の深い関係について、くわしいお話を伺うことが出来ました。じつに貴重な二時間でした。

あらかた取材が終わってから、貴金属業界で静かに流布する都市伝説について尋ねてみました。ところで先生、プラチナって、隕石に乗って宇宙からやって来たという説があるのですが、どう思われますか?

即座に、簡潔明瞭な回答が返って来ました。

それにしても、地質について、鉱床について、海洋について、これほど広く深く複眼的に捉えられる研究者はいないのではなかろうか。前向きだし、元気だし、ほんとによく笑う人です。

先生、ひとたらしですね、と云ったら、うれしそうに笑っておられました。仕事をする上で、ひとたらしであることは、とても大切なこと。

さて、その都市伝説についてのココロとは?5月30日に開催されるゴールドフェスタで明らかになる!?興味のある向きは下記サイトにて参加申し込みを。

→ゴールドフェスティバル2015のサイトはこちら

by naomemo | 2015-03-20 07:01 | →はじめての金読本

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はじめての金読本、移植第9弾です。2010年02月22日に公開した原稿に手を入れたものです。今回も初心者向けの内容となります。

前回、金価格には「ふたつの局面」があると紹介しました。それは「国際的に取引される局面」と「国内で取引される局面」であり、両者の間には「為替」という変数が介在しているということでした。

さて、国内の店舗で実際に取引される価格も、別の意味で二本建てになっています。ひとつは「金小売価格」であり、もうひとつは「金買取価格」です。

金小売価格とは、一般の人が店頭で金を買う際の価格で、たとえば5000円/gというように、1グラムあたりの円建て価格で表示されています。そして一方の金買取価格は、一般の人が店頭で保有金を売る際の価格で、4915円/gというように、やはり1グラムあたりの円建て価格で表示されています。店頭においては、どちらも消費税込みの価格になっています。(※)

この金小売価格と金買取価格との間には、スプレッドと呼ばれる価格差があります。その価格差は取扱業者によって若干異なるものの、おおむね80〜90円/gの幅で設定されています。

したがって、金小売価格が上がれば、それに応じて金買取価格も引き上がります。もちろん、その反対に小売価格が下がれば、金買取価格も同時に下がります。金取引では、小売価格と買取価格が一対になっていることが、恣意的な価格設定を抑制する役割を果たしていると言うこともできます。

ただし、この価格差は常に必ず一定というわけではありません。取引時間中に国際金価格やドル円為替相場が大きく変動した場合に、価格が変更になることがありますが、時にその変動を吸収するべく価格差も広がる場合もあります。この点は頭に入れておくとよいでしょう。


イラスト:三井孝弘さん


(※)
ちなみに、商品の販売価格の表示に関して、2004年に「総額表示」(消費税額を含んだ価格での表示)が法律で義務づけられました。そのため、金やプラチナなど貴金属の小売価格、買取価格も、現在は総額表示となっています。しかし、2014年4月に消費税は5%から8%へ引き上げられました。近い将来、10%への引上げも実施されます。そうした背景から「総額表示」の法律も改正され、流通業界では現在、「本体価格+税」という表示を採用するところが増えていますから、そのうちに価格表示も変わるかも知れません。



by naomemo | 2015-03-18 05:16 | →はじめての金読本

国際金価格と国内金価格


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はじめての金読本、移植第8弾です。2010年02月05日、02月12日に公開した原稿に手を入れたものです。

金は、太陽の動きを追いかけるかのように、世界のどこかの市場で取引が行われています。シドニー、東京、香港、チューリッヒ、ロンドン、ニューヨークという具合に、時差を追って取引は受け継がれていきます。さらに、インターネット上の取引が主流になった現在、「NYグローベックス」という電子取引システムがほぼ24時間稼働しており、金価格は、休日を除いて、ほとんど眠ることなく動いています。

ところで、一般に金価格と云う場合、ふたつの側面で捉えておく必要があります。ひとつは国際的に取引される際の金価格(国際金価格)であり、もうひとつは特定の国や地域で取引される際の金価格(国内金価格)です。それぞれ、グローバル金価格、ローカル金価格と呼んでも良いかも知れません。

国際金価格の方は、基軸通貨である米ドル建てで表示されます。この場合の重量単位はヤード・ポンド法のトロイオンスtoz(略してオンスoz)で、具体的には1,200ドル/ozというように表示されることになります。(※)

一方、国内金価格の方は、ドル建ての国際金価格を各ローカル通貨建てに換算して表示されます。英国であればポンド建て、ユーロ圏であればユーロ建て、中国であれば人民元建て。そして日本の場合は円建てで表示され、重量単位はメートル法のグラムとなります。

つまり日本における国内金価格とは、国際金価格をドル円為替レートに基づいて円建てに換算し、同時に重量単位をトロイオンスからグラムに変換して、グラムあたりの円建て金価格で表示されるわけです。その結果、5,000円/gというように表示されます。

こうした仕組みから分かるように、円建ての国内金価格は、米ドル建ての国際金価格に連動して動く一方で、ドル円為替相場によっても動きます。したがって、国際金価格が下がっても、為替がドル高円安に動けば、国内金価格はあまり動かない、というようなことも起きるわけです。国際金価格が上がり、なおかつ為替がドル高円安に動けば、国内金価格は大きく上がります。もちろん、その反対のケースもあります。

もう一歩だけ踏み込んでみましょうか。ここまで見てきた通り、国際的に取引される金の価格は米ドル建てです。これを日本人の立場から見ると、つまり、金にはドル建ての外貨資産の側面があるということです。この点はとても大切なので、別の機会に詳しく紹介します。

ここでは国内金価格は為替にも大きく左右されると覚えておいてください。


イラスト:三井孝弘さん


(※)
トロイオンスとは、貴金属の計量に用いられている特殊な単位で、別名を金衡オンス(きんこうオンス)ともいいます。グラム換算では、1toz=31.1034768gとなります。



by naomemo | 2015-03-13 07:00 | →はじめての金読本

311から丸4年


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2011年3月11日14時46分。突如、激しく長い揺れに襲われた。収まったかと思うと揺れ、収まったかと思うと揺れた。建物が崩壊する悪夢のようなイメージに捕われながら、オフィスの書棚を支えていたことを思い出す。どれくらいの時間が経過しただろうか、やや落ち着きを取り戻した途端、とても激しい渇きを覚えた。

コンビニに向かった。食品が消えていた。かろうじて残されていたミネラルウォーターを二本買ってオフィスに戻った。インターネットは生きていたが、電話は繋がらなかった。公共交通機関は機能不全となっていた。皇居を中心に放射線状に広がる東京の道路は、職場を離れ自宅へ徒歩で移動する人々で埋め尽くされていた。まるで蟻の大群がゆっくり移動しているかのようだった。

自宅にたどり着いたのは真夜中だった。テレビ画面に映し出された津波の映像を見て愕然した。翌朝、福島原発がメルトダウンしたという報道が流れた。

内部被曝や除染に関わる専門家、東京大学先端技術研究センターシステム生物医学教授の児玉龍彦氏によれば、福島原発事故で漏出した放射線量は、熱量換算で広島の原爆の30倍、ウラン換算で20倍とのことだった。その影響が本格化するのは、おそらくこれからである。

東京電力と政府の対応の杜撰さ、想像力の欠如については、もはや云うまでもないだろう。しかし、我が身を振り返って、同様の症状にまったく陥っていなかったかどうか。そう思ったらなんだか落ち着かなくなった。

そして、自分自身を再生する試みが始まった。どれほどの成果が上がっているか、まったくもって定かではないが、その時の気持ちを風化させないために、5年目の311に記しておこうと思う。

最後にひとこと。東京オリンピックの成功より、まずは福島の再生を。

by naomemo | 2015-03-11 07:09 | ノン・カテゴリー


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今回は過去から現在への移植です。

いまからちょうど5年前、NHK BS「おはよう世界」を見ていたら、英国で被害を拡大させているイタドリという外来種植物が紹介された。

イタドリの繁殖力はきわめて旺盛で、「在来種の植生を脅かす外来種となり、コンクリートやアスファルトを突き破る」(ウィキペディア)などの被害が多発していたと云います。往時なら、薬剤を撒布して生育を止めるなどの対策が取られたのでしょうが、環境への配慮が重視される現在ではそれもできず、別の方法が模索された。

そして白羽の矢が立ったのが、もともとイタドリと同じ環境にいたイタドリの天敵。イタドリ・マダラ・キジラミ。あれ、なにそれ、日本語じゃないの?と思うでしょ。そう、英国から見た外来種イタドリとは、もともと日本から持ち込まれたものらしい。それが大繁殖して生態系を狂わせていたので、同じ環境出身のイタドリの天敵で繁殖を止めようと計画されたわけ。ふむふむ。(※)

その後、英国におけるイタドリ対策はそこそこうまく行っているらしいのですが、いやいやまだ分かりませんよ。生態系の異変は、アハ体験のごとく緩慢に進んでいって、気がついた時には取り返しがつかなくなっていたりするものです。それかあらぬか、スコットランドは外来種を持ち込む対策には反対の立場を取っていると云います。

生態系は一度狂うと、なかなか元に戻れない。

そこで思うのが、植物や昆虫に生態系というものがあるのなら、人間だって同じ土俵の上にいるはずだよねということ。社会のあり方、文化のあり方、宗教のあり方、経済のあり方、金融のあり方まで、すべてに渡って同じことが云えると考えてみたらどうだろう、と。

たとえば移民問題。欧州域内では、経済効率の観点から移民受入れ促進政策を続けてきたけれど、ちょうど英国でイタドリが問題になり始めた頃から、移民排斥の機運が高まっていたわけね。こうした同時性には驚くほかない。

そして、今がある。だから、イタドリのその後はとても気になっている。

(※)
当時の番組キャスター高橋弘行氏は、このイタドリのニュースにこんなコメントを追加した。以前、南米で同環境の生物を利用した生態系維持対策を打ったところ、こんどは対策に使った生物が大繁殖して別の被害が拡大した例もあると。この味付けで、ニュースにぐっと深みと広がりが増したものだ。彼のコメントがじつに面白くて毎朝のNHKBS海外ニュースを楽しんでいたのですが、なぜかその後に降板となって久しい。ぜひ戻ってきて貰いたいものだ。



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欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉


画像出典:イタドリ(写真上)イタドリ・マダラ・キジラミ(写真下)

by naomemo | 2015-03-06 08:51 | いまを読むノート


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はじめての金読本、移植第7弾です。2010年01月25日に公開した原稿に手を入れたものです。

さて、この「はじめての金読本」の移植も、第2段階に入りました。これから、とびとびで3回にわたって、初心者向けの金価格の基本について紹介します。

まず、金には「定価」のようなものがありません、という辺りから始めましょうか。金の価格は、まるで生き物のように、つねに上がったり下がったりしています。(※)

なぜ価格が動いているのかといえば、それは株式などと同じで、買う人もいれば売る人もいるからです。買いが入れば上がり、売りが入れば下がり、さらに売りが入ればまた下がり、買い戻されればこんどは上がり、ということが延々と続いているためです。

身近な例で分かりやすく説明しましょう。ご近所の、たとえば食品スーパーで売られている野菜や魚介類の値段は、毎日同じというワケではありませんね。わずかのことかも知れませんが、毎日違うはずです。収穫量が多かったり、漁獲量が多ければ、つまり品が豊富にあれば、おおむね値段は下がります。その反対に、天候悪化などで品が薄くなれば、どうしたって値段は上がりますね。

金もそれと同じことで、金価格は金市場における売り買いのバランスで決まっています。基本的には、買い(需要)が勝れば価格は上がり、売り(供給)が勝れば価格は下がります。

金価格については、まずはこの点をしっかり覚えておいてください。

百聞は一見に如かず。下のチャートが、2015年3月5日AM7時半(日本時間)に見たドル建て金価格の直近3日間の動きです。金は、時差を追って一日24時間、世界のどこかで取引されていますから、時々刻々、上がったり下がったりしていることが分かります。(チャートをクリックすると、kitocoのライブチャートにジャンプします。)

(※)
ドル建て金価格は時々刻々と動いているのですが、日本国内での現物の円建て金価格は、朝9時半に発表されてから変更になることは稀です。それは、店頭での取引の便宜上、些細な変動は小売価格と買取価格の値幅のなかで、各社が吸収しているためです。ただし、ドル建て価格あるいは為替(ドル円)が大きく動いた場合には、変更になります。




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チャート画像出典:
http://www.kitco.com/charts/livegold.html


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-03-05 07:52 | →はじめての金読本

緩やかな変化こそ


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先日ひさしぶりに脳科学者の茂木健一郎氏の姿をテレビで見た。番組でいつもの(写真の一部が緩やかに変化する)「アハ体験」を紹介していたのだが、出演者もテレビで見てる私も、どこが変化したのかほとんど分からなかった。

あとで種明かしとして、変化する前と変化した後を一度に見せられて、えっ!こんなに変化してるのに、どうして気づかないの、と、ガックリ。

我ながら情けないよねえ、観察力が弱いのかなあと思いつつも、生来の負けず嫌いゆえか、なぜ見つけられないのだろうと、あとになって気になってきた。

と、こんなことをメモしているうちに、ふと、ひらめいた。ひょっとしたら観察力の問題じゃないのかも知れないな、なんてね。

ふつう、人の認知力は、おおむね緩慢な変化には対応できるけど、素早い変化にはなかなか対応できない、と思われている。けれど、実際にはその反対で、人の認知力は、素早い変化には対応できるけれど、緩慢な変化には対応し難いという特性を持っているのではあるまいか。この冒頭で紹介した茂木健一郎氏の「アハ体験」が、なによりの証拠ではあるまいか。

そう思って見渡すと、たしかに認知できるのは素早く変化したものであることが多いような気がする。同時に、いま目の前で確実に進んでいるであろう変化も、それが緩慢であればあるほど気づかれていない可能性は高い。

しかも、おそらく緩慢な変化の方が、素早い変化よりも重大であったりするから、困ったものだ。緩慢に変化しているものはなにか。ゆっくり、じっくり、寄り道しながら、楽しみながら、見つめていきますか。

本日は、なんともまとまりのない話になりましたが、これにてお仕舞いです。


画像出典:
https://www.flickr.com/photos/alaind20sn/392968590/in/set-72157594540660171/


by naomemo | 2015-03-04 07:39 | いまを読むノート