いま観たい映画5+1


「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」


「リトルダンサー」「めぐりあう時間たち」「愛を読むひと」。スティーブン・ダルドリー監督作品にはハズレがない。その緻密な演出力は素晴らしい。必見!と思っていたのに、あらま、ロードショウは終わってしまってるようだ。名画座に廻るのを待って、これは必ず観る。


「別離」


ベルリン映画祭で金熊賞を受賞したイラン映画。今年の米国アカデミー賞外国語映画賞も受賞した。米国ともイスラエルとも犬猿の仲であるイランの映画をよくハリウッドが選んだものだ。一人で製作、脚本、監督の三役をこなしているのが、アスガー・ファルハディ。先日その存在を知って、前作「彼女が消えた浜辺」を観て来た。きっと「別離」も切ない物語だろうなあ。でも、観る。だからこそ、観る。米国アカデミー賞にあまり重きは置いていないけれど、外国語映画賞だけは例外。いい、これは。ちなみに、この作品、イスラエルでヒットしているらしい。


「裏切りのサーカス」


ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン、スパイ。なにしろジョン・ル・カレの傑作スパイ小説の映画化なのである。しかも、あろうことか、あのゲイリー・オールドマンが主人公スマイリー役なのだ。コリン・ファースも出演している。観ないわけに行かないだろう。


「ルート・アイリッシュ」


必ず観ることにしているケン・ローチの最新作である。脚本はいつもの通りポール・ラヴァティ。それにしても、この作品は、これまでの彼らの作品と比べて、ずいぶん異色である。「真のイラク戦争終結は、すべての戦争請負業者たちが、あの地から去ってはじめてなされると我々は信じている」。


「ドライブ」


なんだろう、これ。あちこちの映画館で何度か予告編を観てから、妙に気になっている。カンヌ映画祭で監督賞を受賞しているようだけど、この手のクライム・サスペンスがカンヌで受賞するのも珍しい。そうでもないか、タケシが受賞してるもんね。主演のライアン・コズリングがクールだ。そして「17歳の肖像」「わたしを離さないで」のキャリー・マリガン、ずいぶん大人になった感じ。監督ニコラス・ウィンディング・レフンは1970年デンマーク生まれだそうだけど、全く知らなかった。楽しみだ。


「アーティスト」


今年の米国アカデミー賞で主要部門をほぼ独占して話題になった、モノクロのサイレント作品。フランス人監督ミシェル・アザナヴィシウスは、古き良き米国のサイレント映画を観まくったらしい。彼は、授賞スピーチで、「最後に三人にお礼を言いたい。ビリー・ワイルダー、ビリー・ワイルダー、ビリー・ワイルダー」と叫んだ。それで、よし観よう、と思ったのだった。


まだまだあるけど、今日のところは、ここまで。

by naomemo | 2012-03-31 12:25 | シネマパラダイス

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今週の隙間シネマは、渋谷ルシネマで「フラメンコ、フラメンコ」。全編、最初から最後まで、徹頭徹尾フラメンコ、フラメンコ、フラメンコの踊りと歌と演奏一色。こういうの、じつに珍しい。とても贅沢な時間だった。フラメンコが好きじゃない人には、苦痛かも知れないけど。

そして、ひと口にフラメンコと言っても、オーソドックスなの、モダンなの、激しいの、穏やかなの、エロティックなのと、じつにバラエティに富んでいるんだなあと、この作品を通じて教えてもらった感じ。

踊りは基本的に女性の役割、男たちはギターやボンゴのような打楽器を担当。ついでに言うと、フラメンコでは、人間の身体そのものを打楽器として使う。これはもう見事なくらい。

なにより驚いたのは、歌詞。哲学的ともいえる深い物語が歌われているんだよね。いくつもいくつも聴いていて思ったのは、スペインでは、フラメンコの歌を媒介にして、人生が語られ続けられているんだなあということだった。

それにしても、脳化した現代の日本で、実際にフラメンコがブームになってるようだけど、じつに面白い現象だね。身体性への回帰なのかな。アタマはときどき平気で嘘をつくけど、カラダは嘘をつかないからね。




by naomemo | 2012-03-29 19:09 | シネマパラダイス

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人間は嘘をつく生きものである。いや、動物だって、植物だって、擬態という立派な嘘をつくから、生きとし生きるもの、すべて嘘をつく、と言っても良さそうだ。何のために嘘をつくのか?もちろん、生きるために。

生きる目的以外に嘘をつくのは、おそらく人間だけではないだろうか。人間は悪意に満ちた嘘もつけば我が身を守るための嘘もつく。あるいは相手を籠絡するための嘘もつけば人間関係を壊さないための嘘もつく。

人間がつく嘘は、じつにバラエティ豊かである。嘘の役割は果てしなく広いのだ。そして、嘘が嘘のままにきちんと機能しているうちは、おそらく平和が保たれることになるのだろう。逆にいえば、ひとたび嘘が破綻すると、たちどころに大きな波紋がひろがることになる。

イラン映画「彼女が消えた浜辺」は、そうした「嘘の破綻」をテーマにした作品だった。

ほんとうなら幸福な結果を約束してくれるはずだったセピデー(ゴルシフテ・ファラハニ)の小さな嘘が、友人家族たちとヴァカンスにやってきた避暑地の浜辺で、唐突に破綻してしまう。その途端、友人たちは自己保身に走る。私もそうじゃないかと思ってたのよ、と。

セピデーの友人エリが浜辺で消えたことを巡って、セピデーは次第に自分を追い詰めて行くことになる。夫からも友人たちからも追い詰められて行くことになる。詳しいことは書けないけれど、とてもとても切ない物語なのだった。切ない気分でいっぱいになって、渋谷ルシネマを後にした。

それにしてもこの作品に登場する女たちの、なんと魅力的なことか。じつに美しい。それだけでも一見の価値あり。

ちなみに監督アスガー・ファルハディは本作でベルリン映画祭銀熊賞を受賞。来月公開される次回作の「別離」では、ベルリン映画祭金熊賞、今年の米アカデミー賞外国語映画賞を受賞している。注目の監督だね。




by naomemo | 2012-03-23 17:56 | シネマパラダイス

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「はじめてピナの舞台を観た時、私は感情を解き放ち、とめどなく泣いた。人生初の経験だった」。監督ヴィム・ヴェンダースの言葉だ。衝撃的な出会いだったんだね。すぐに映画化を思い立ったようだが、実際にこうして「ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」として結実するまでに20年の歳月を要している。

方法論を思いつかなかったからだというのだけれど、しかしこれはいかにもヴェンダーズが得意とするインタビュー多用型ドキュメンタリーの方法論で撮られており、それ以上でもそれ以下でもないと思う。すでにこの世にいないピナを描くのに、そしてピナが追い求めていたダンスを描くのに、これほど相応しい手法はないと思う。だから20年の歳月が流れたのは、おそらく別のところに理由があるだろうと勝手に思っている。

ピナはダンサーに向かって言う。「もっとクレイジーになりなさい」「ずっと探し続けなさい」と。それはダンサー自身が「自己を解き放つ」ことであると同時に「魂の深みへダイブする」行為を促す言葉であるに違いない。

そうした行為は、脳化が進んだ現代において身体性を恢復する作業ともなるはずだけど、同時に大きな危険を伴う行為でもあると思う。ピナという導師がいて、たぶん可能なことだったに違いない。そんなことを、このヴェンダースの映像作品から強く感じた。ピナも凄いけど、ヴェンダースもスゴかね。




by naomemo | 2012-03-19 18:40 | シネマパラダイス

宝塚歌劇、初体験

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知人からチケットを貰い、先日、宝塚歌劇の舞台を初体験してきた。場所は日本青年館。演し物は「天使の階段」。どんな作品なのかと思っていたら、英国作家ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を素材にした舞台だった。

数年前、ジョー・ライト監督、キーラ・ナイトレイ主演で映画化されたものを観ていたのでストーリーが蘇ってきた。ジュディ・デンチが凄い存在感を発散していたっけな。筋立てはどうってことない(と、日本人の私には思える)。けれど、いまだに階級制度が残っている英国では、この手の階級を超えた恋愛物語は好まれるのだろう。

舞台の方に話を戻す。初めて体験した宝塚歌劇の印象をひと言で表すと、「ステージに上がった少女漫画」という感じかな。なかなかユーモラスだったし、アクター、アクトレスたちは、さすが芸達者だった。舞台上では女役より男役の方がかっこいいし。

貴重な一夜ではありました。

by naomemo | 2012-03-18 15:55

塩麹の素を買ってみた

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後輩が新高円寺でオーガニックワイン専門の「マヴィ高円寺」という店をやっている。このところちょっとご無沙汰だったので、久しぶりに顔を出してきた。

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以前はオーガニックワインばかりだったのだけど、右奥の雰囲気がなんとなく違っていた。

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見れば、一角だけなんだけど、自然食の棚が新設されているではないか。さらに見れば、そこに話題の「塩麹の素」があるではないか。

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作り方はいたって簡単、と。写真のように、タッパウエアに塩麹の素を入れ、水を足して一週間から十日ほど熟成させるだけでOK。しかも、麹は強いので、冷蔵庫に入れておけば夏場でも腐らないそうで。そんなやり取りをしていたら、試しにどうぞ、と、少し胡瓜を切ってくれて、塩麹をかけて出してくれた。ふむふむ、なかなか美味いぞ。

というわけで、今日はワインじゃなく、試しに「塩麹の素」(有機白米の方)を買ってみた。ここのワインはじつに美味いので、次回はやっぱりワインを買わなくちゃね。

by naomemo | 2012-03-06 18:40

原田芳雄、初受賞!

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原田芳雄が、自ら長年企画を温めていた「大鹿村騒動記」で、日本アカデミー賞主演男優賞を初受賞。良かった、良かった。とにかく良かった。

この作品、じつは昨年のロードショウで見逃した。ようやく観ることが出来たのは先月12日だった。めちゃんこ面白かった。映画館のなかで、何度も何度も笑いが巻き起こった。

江戸時代から300年に渡って連綿と受け継がれ上演され続けて来た大鹿歌舞伎を、その上演に関わる村人たちの人生模様を描いたものだが、なかでも、風祭貴子(大楠道代)をめぐって繰り広げられる、夫・風祭善(原田芳雄)と、善の友人で間男でもある能村治(岸部一徳)のかけあいが、なんとも可笑しく、哀しく、じつに味わい深かった。

大鹿歌舞伎に演芸の原点を見ていた原田にとって、今回の受賞については、天国で喜んでいるに違いない。あらためて、合掌。




by naomemo | 2012-03-02 23:30 | シネマパラダイス