c0112103_16594073.jpg

週末から、このニュースに釘づけ。チュニジアで起きた政変をきっかけに、民主化を求めるデモや暴動がエジプトに波及している。暴徒の襲撃を怖れて扉を閉じている商店もあるようだ。カイロの証券取引所が取引を停止したとか、取り付け騒ぎを怖れる銀行、郵便局が窓口を閉じているとも伝えられている。エジプトは中東の要とも言われるところだけに、とくに注目度は高い。なにしろ中東地域には、独裁政権、王政の国が多い。ムバラク政権が転覆すると、民主化のうねりは勢いを得て、中東全体に拡散して液状化しかねない、ということなんだろうね。

英米の支援と軍部を背景にしたムバラク政権下のエジプトは、長期にわたる独裁政権の例にもれず、貧富の格差が拡大し、縁故主義がはびこり、民衆の間に強い不満が溜まっていたようだ。日経新聞によれば、国民の4割が1日2ドル以下で生活しているんだとか。なかでも気にかかる点は、同国の人口構造は、高齢化が進む日本と対照的に、人口7800万人のうち6割が30才未満という点だ。つまり人口構造的に若い国なので社会にエネルギーが充ち溢れている反面、こうした民主化運動にいったん火がつくと容易には抑えられない。しかも若年層の失業問題が深刻で、18~29才の失業率は22%にのぼるらしいから、なおさらである。

さらに心配なことは、仮に政権が転覆しても、独裁政権下で受け皿がきちんと育っていないため、長期間にわたって内紛が続くと予想されること。中東地域は原油や天然資源の供給基地だから、周辺に波及すると、世界経済への大きな影響も避けられなくなるかも知れない。

さて、これからどんな影響が出て来るのか。あくまでのひとつのシナリオだけど、ひょっとすると、中東全域に「反米」のノロシが上がるかも知れないね。反米、反イスラエルということなら、アラブ諸国はまとまりやすいだろうから。そして、もしそうなっても、いまの米国にその動きを抑え込む余力はないだろうから、行くところまで行く他ないってことになるんだろうな、きっと。

ちなみに上の人口ピラミッドはエジプトの現在です。じつに若い国であることが一目で分かる。画像は、米国国勢調査局のサイトから拝借しているので、他の国を見たい向きは、画像をクリックして該当サイトへワープしてください。

by naomemo | 2011-01-31 09:25

c0112103_8173333.jpg

数日前、なにげなくこのブログ「見知らぬ土地へ」のアクセス・ログを確認していたら、今月の検索ワードのトップに「ヘールシャム」があった。おや?と思い、月々のログをさかのぼって追いかけてみたら、最初に検索ワードとして登場したのは昨年の7月で、以来、すこしずつ増加してきていることが分かった。つまり、「ヘールシャム」という言葉を通じて、このブログに来られた方が大勢いらっしゃるということになる。

ヘールシャムとは、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで=Never Let Me Go」に出て来る施設の名前なんだけど、その物語が映画化され日本公開が迫っているとはいえ、なぜこの「見知らぬ土地へ」に大勢の人がアクセスして来てるのだろうか…。試しに、グーグルの検索ウィンドウに「ヘールシャム」と入れてポチッと検索してみたら、なんと、「見知らぬ土地へ」の記事「ヘールシャムってなんだろう」が検索結果の一番目にヒットしているのだった。えっ?!正直、これには驚きました。

映画は3月26日から全国一斉ロードショウなので、公開はまだ先のこと。きっと、原作を読まれた方々が、「ヘールシャム」について、誰かが何か書いてないかと思って調べているってことだね。しかし、その記事には、こうともとれるし、ああともとれるし、という具合に、曖昧なことしか書いていないのでガッカリさせたかも。

もちろん、わたしなりの解釈を持ってはいるけれど、それを押し付けるつもりは毛頭ないし、正しい答えなんて、きっと、ひとつじゃない。あれこれ想像しながら読むという行為そのものが物語を読む愉しみなのだし、物語の方も読者のイマジネーションに働きかけられることよって、はじめて生命を得て動き出すものだろうと思っている。物語って、そういうものなんだよね、たぶん。

それにしても、一時的なこと知れないけど、検索結果のトップに顔を出すってのは悪い気分じゃない。長くブログを続けていると、たまにはこういうこともある。素直にうれしい。

by naomemo | 2011-01-29 08:13


しばらく鳴りをひそめていた鳥インフルエンザが、ふたたび流行し始めたようだ。またも宮崎で、そして愛知で感染が見つかったとか。宮崎といえば、昨年、口蹄疫が猛威をふるって、牛や豚が大量に殺処分された。屠殺され、大きな穴のなかに放り込まれ、消毒されて埋められた。

あのシーンを映像で見る度に、昨年の年初に観たアンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」のワンシーンが思い出された。映画のなかでは、旧ソ連軍が、カティンの森において、ポーランド兵士たちを、一人、また一人と銃殺し、大きく掘られた穴に蹴倒し、白い粉を撒布して埋めていたんだけどね。

今回も、鳥インフルエンザ関連の映像に、白い粉を道路に撒いているシーンがよく出て来るけど、参るんだよね、あれには。こういう時は、まっすぐ正面から見直してみることが一番かもねと思い、いろいろ考えていた。

インフルエンザと口蹄疫とは、疫病の種類そのものが違うし、もちろん感染ルートも違う。けれど、わたしの眼にはなんとなく似たものとして映っている。どこが、だろうか…。インフルエンザにかかった鶏も、口蹄疫になった牛や豚も、ようするに「生産性」とか「生産効率」の観点から、狭い空間にギッシリ閉じ込められて、せっせと「生産」されている。ここにいる鶏も、牛も、豚も、つまり「生き物」じゃなく、「食糧」なんだよね。生産者は、半ばそういう眼で飼育しているし、TV画面の前で、ほんとに殺処分以外の方法はないのかな、なんてブツブツ言ってるわたしも、なかば食糧として見ている。

鶏も、牛も、豚も、狭い空間にギッシリ詰め込まれて飼育されているが、自分たちのことを、人間の食糧だとは思っていない、はずだ。かれらとて、わたしたち同様、生き物だからね。まさに人間の必要から食糧として飼育されているわけだ。でも、気ままに動きまわることはできない。そして狭い空間に長く詰め込まれていれば、当然、ストレスがかかるだろう。よく分からないけれど、じつに大きなストレスじゃないかな。そうなれば、人間とおなじように免疫力だって下がるんじゃないかな。ちょっとしたことで、簡単に病気になるんじゃないかな。

と、ここまで書いてきて思い出したんだけど、以前、世界的に狂牛病が流行していた頃、欧州のどこの地域だったか忘れたけど、牛の飼育法を、古くからの放牧に変えたところ、その地域からはぱったり狂牛病が出なくなったというニュースを見たことがある。

とはいえ、野菜もいまや工場で作るようになった時代である。昔ながらの飼育方法では、それこそ食糧が追いつかない。どういう方法があるのか、わたしには分からない。ただひとつ忘れていけないのは、わたしたちが口にしている肉は、元・生き物だってことだよね。生命を食べることで、わたしたちの生命は生きながらえているってことだ。食事に向かう際の「いただきます」と、いただいた後の「ごちそうさま」に、しっかり心を込めていきたいものだとあらためて思う。じつにつまらない結論になってしまったかなあ。

いまの流れを変える方法で思いつくのは、生産地・生産場所の分散、そして彼らのストレスをいかに緩和するか、じゃないかな。どうしたら彼らの免疫力を恢復できるか、その方法を考えることは、重要な課題のような気がしますね。

by naomemo | 2011-01-28 09:16

c0112103_9122093.jpg


鬼平犯科帳は、文庫本にして全部で二十四冊になる大長編である。冊数だけ見ると、ちょっと敬遠したくなる分量。でも、この作品、一編ずつ独立しつつ全体の物語は続いていくという「短編連作」というスタイルを採っているので、どの一編から入っても楽しめる。

一冊目から順番に読み継いでいってもいいし、テレビドラマを思い出しながらお気に入りの話から読み始めてもいいし、最後の二十四冊目の最後の一編から読み始めるというヘソ曲がりがいてもいい。入り方は人それぞれで、それでも十分に楽しめるという懐の深さが、鬼平にはある。ただ、私は一冊目から、つまり池波正太郎が書いた順番に読んでいる。ときどき以前の物語がエピソードとして紹介されることもあるので、それが順当だとは思う。

一昨日読み終えた二冊目の物語は、この七編。
蛇の眼
谷中・いろは茶屋
女掏摸お富
妖盗葵小僧
密偵
お雪の乳房
埋蔵金千両

ほとんどの場合、物語に登場する人物の生い立ちがエピソードとして語られる場面が用意されている。しかも、「犯科帳」という名前でありながら、勧善懲悪にはなっていない。黒かならずしも黒ならず。白からずしも白ならず。そんな人間社会に対する作者の認識が心地いいんだよね。

さて、昨日のアジア杯の日韓戦はじつに燃えた。苦しいほど楽しんだ。前半は日本、後半は韓国。ザックジャパンは確実に進化しているけど、後半は手も足も出なくなった。なんだったんだろう。そして延長戦。早々に1点ゲットしたのはいいが、わずか1点であまりにも守り過ぎだろう。挙げ句、同点に。最後は川島の神業的なセーブで勝てたから良かったものの。ま、そんなスリルが代表戦の面白さでもあるけど。それにしても、長友、いい。素晴らしい。

by naomemo | 2011-01-26 09:19

なくした手袋

c0112103_12213445.jpg

さきおとといの朝、通勤途上で愛用の手袋をなくした。地下鉄の駅を出て、コンビニに立ち寄ってミネラル・ウォーターを買い、仕事場へ向かって歩き始めたところで、あれ、手袋がない、と気づいたのだ。さあて、どこでなくしたものか。朝一の仕事を片付けて、仕事場のデスクの前でゆっくり時計の針を戻しながら思い出していくと…、電車のなかで手袋を膝の上において「鬼平犯科帳」を読んでいる自分の姿が浮かんで来た。乗換駅で乗り過ごしそうになって慌てて降りたことも思い出した。なんてこった。慌てるとロクなことはない。

営団地下鉄の忘れ物総合取扱所をはじめ、あちこちに連絡を取ってみるも、それらしいものは出ていない。最近の東京都内の地下鉄は、営団と私鉄が相互に乗り入れしているので、ややこしい。翌日もあちこち連絡してみたが成果なし。夕刻になって、神田方面へ打ち合わせに出かけたついでに、思い切って上野駅の忘れ物総合取扱所に出向いてみた。営団地下鉄で拾得されたものは、いったん日比谷線の上野駅に集約されるのだ。現地で、担当者に紛失した日時や状況、そして手袋の特徴を伝えると、実際に見てもらった方がいいねえと、いったん奥へ入っていって家庭用のゴミ収集袋ほどの大きな袋を抱えて来た。え、こんなにあるの、そうなんですよ、営団地下鉄だけで一日でこれだけの手袋が出て来るんですよ。すごいなあ、と言いながら見て行くも、目当ての手袋はなく。

肩を落として帰ろうとする際、担当者が、ためしに東急電鉄にも連絡してみたらどうですか、と言い出した。田園都市線渋谷駅で乗り換え時に落とした場合は、営団じゃなく東急扱いになりますからね、というのだ。さっそく電話してみた。ずいぶん待たされた。いくらなんでも遅いなあと思い出したところで、お待たせしました、それらしい特徴の手袋が出ています、との回答。仕事帰りに渋谷駅の忘れ物取扱所に寄って確認したところ、ビンゴ!なくした手袋!うれしかったねえ。無駄足になるかも知れないと思いつつ動いてみたが、正解だった。

と、ずいぶん大袈裟に書いているけど、この手袋、じつは連れ合いが5年ほど前、誕生日のお祝いにプレゼントしてくれたものなのだ。ずいぶんくたびれて来ているけれど、バックスキンの手袋って使うほどに手に馴染んで愛着が湧いて来るものなんだよね。ほんと出て来て良かった。それにしても、すべての発端は「鬼平犯科帳」にある。この世界はじつにヤバイ。面白すぎる。

by naomemo | 2011-01-22 12:25


一昨日、J-waveを聴いていて知ったんだけど、東宝系映画館が新作映画鑑賞料金の値下げに踏み切るんだとか。昨朝、同じ情報をTVニュースでも取り上げていたけれど、取材された担当者の口から出た二つの言葉が気になった。「デフレに対応」と「やってみようということになった」。

まず、デフレ対応が決断理由というのなら、もっと早く対応すべきだったと思うけどね。大きなグループゆえ大きな決断には時間がかかるのかも知れないけれど。それにしても東宝系映画館のスクリーン数は、国内の全スクリーン数の2割を占めているらしいから、少なからず業界全体に影響を与えることになるだろうという気はする。映画は大衆娯楽の要素が強いから、1000円くらいまで安くしてもらいたい気はするけどね。

もうひとつ。「やってみようということになった」という表現に、なにやら煮え切らないものを感じたのは、おそらく私だけじゃないと思う。ネットで調べてみたところ、大人を1500円に、18才未満を1000円に統一。そして現行1000円のシニア料金を廃止するか年齢を引き上げることを検討中という。今春3月から一部地域で試験的に実施し、来春をメドに全国で実施の予定とか。でも、この新料金体系は必ずしも値下げばかりとは言い切れないし、どういう効果をもたらすか不明。流動的な気がするので、しばし成行きに注目かな。

最大の問題は、1800円を1500円にしたくらいで集客につながるかどうかは微妙ってことだよね。と、ここで、映画配給会社にいる友人に訊いてみたところ、「一部の館で試験的に一年間やってみて、良ければ来春から東宝全70館で実施する予定」と、東宝から説明を受けているそうだ。この言葉は、良くなければ変更する、とも読める。そしてこれまで他社との競争上やむなく実施していた各種割引制度を全廃するんだとか。売上げ全体は変わらないと踏んでいるようだけど、さて、映画ファンがどう感じるか、だよね。

by naomemo | 2011-01-21 12:56 | シネマパラダイス

鬼平ファンの末席に

c0112103_9134574.jpg


以前から、そろそろ読もうかなあと思っていたシリーズのひとつに、池波正太郎の「鬼平犯科帳」がある。そろそろと口にして文春文庫の一冊目を買って本棚に突っ込んでから、どれくらになるだろうか。奥付を見ると手元の文庫本は2007年1月15日・新装版・第16刷となっているから、2、3年は寝かせてたことになるかな。ワインじゃないんだから寝かせたって味わい深くなるわけないけど、きっと自分にとって読み始めた今が飲み頃ってことなんでしょう。

動き出すキッカケになったのは、昨年秋にケーブルTVの時代劇チャンネルで二代目中村吉右衛門が演ずる鬼平犯科帳を数本まとめて見たこと。吉右衛門、なんともかっこいい。そしてエンディングに流れるテーマ曲「インスピレーション」が入ったジプシー・キングスのアルバムをアマゾンで買ってときどき聴いていたことくらい、かな。昨年暮れにシリーズ二冊目を買い置きし、ようやく先週から一冊目を読み始めた。

まだまだとても感想など書く段階じゃないんだけど、面白い。ほんと面白い。ただ、これまで一冊=八編読んだかぎりでは、TVドラマと違って原作では必ずしも鬼平が主人公とは言い難い雰囲気。たしかにシリーズ全体の主人公は鬼平なんだろうけど…。そう、一編、一編に登場する独特な異名を持つ盗人こそが、各編の主人公といっても差し支えなさそう。だからこそ盗人たちの生い立ちがときどき語られもするし、それがまたほどよいスパイスとなって物語に深みを与えていたりもするわけだ。じつにお洒落で、古き佳きフランス映画をたっぷり観ることで培われた感覚なのかも知れない。

読み始めて一週間足らずだけれど、通勤電車に乗って文庫本を開くたび、盗人たちが跋扈し鬼平たちが活躍する江戸時代にたちまちワープできる。まるでタイムトンネルだよね、これは。これから一日一編くらいのゆっくりペースで愉しもうと思う。ただ、ひとつ難点がある。ときどき乗換駅で乗り過ごしそうになるんだよなあ。今朝など、ふっと入り込んで手袋を電車の中に忘れてきてしまった。ただいま捜索中で、まだ出て来てない。困ったね。

ま、それは余談だけど、世には熱烈な鬼平ファンがわんさといるので、とても大きな顔などできない。初心者らしく、静かにその末席に連ならせていただこうと思っています。

これまでに読んだ話は一冊目に入ってる八編。
唖の十蔵
本所・桜屋敷
血頭の丹兵衛
浅草・御厩河岸
老盗の夢
暗剣白梅香
座頭と猿
むかしの女

by naomemo | 2011-01-19 22:37


昨晩もザック・ジャパンの試合を見たけど、着実に攻撃的なサッカーへ変身中だし、選手層もしっかり厚くなってきてるね。開始早々トントン拍子に点が入って、中盤すこし弛みがちだったけど、後半に追加点を入れて、しっかり締めてくれた。粘っこくなってきた。それと、岡崎、彼の点取り屋の臭覚は独特のものがあるねえ。先発メンバー入りが近いかもね。

次のカタールも撃破して、ぜひ決勝に駒を進めてもらいたい。しかし、どうしたんだ、サウジ。サッカー協会の会長も、代表監督も交替したそうだけど、きっちり復活してもらいたい。いくら日本が進化したからって、得点0、失点5というのは情けない。もっと白熱した試合が見たい。なんて、余裕の贅沢をかましたくなった。

それにしても、もうひとつのブログ「はじめての金読本」の時間帯別アクセス状況を見ると、夜の9時台までぐんぐん伸びていたのに、代表戦が始まった10時にぱったりと止まった。どれくらいの視聴率だったんだろうねえ。凄いもんだ。

さて、ブログの更新が一月ほど空いてしまいましたが、今日から復帰します。週3回更新をめどに。では。

by naomemo | 2011-01-18 09:20