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ユーロ売りの流れ


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ギリシャのユーロ離脱懸念からユーロが売られている。その反対に安全通貨とされるスイスフランが買われている。米国債、円も買われている。さらにドル金利引上げ時期がやや遠のきつつあるとの予想も出てきて、ドル円は年初120円から115円の水準へ。

ドル円のことはさておき、ユーロ売りの背景として、ギリシャ懸念が取り上げられている。けれど、移民排斥ムーブメントに対する懸念も大きいのではないかと思う。シャルリエブド襲撃事件後の各国要人たちのデモ画像などを見て、異様な感覚を抱かない方がむしろ不思議だと私は思う。

画像出典:
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H6Y_S5A110C1FF8000/

by naomemo | 2015-01-16 14:53 | いまを読むノート

戒厳令下のフランス


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今回のシャルリエブド襲撃とその後のフランスの反応を見ていて、少し歴史を紐解く必要があると感じている。

欧州は「法の下の平等」「人種の壁の超越」を旗印にアフリカ系、イスラム系の移民を受け入れて来た。ただ建前はどうであれ、多くは「安価な労働力」が欲しいという経済界の要請を受けたものだったのかも知れない。その反対には「豊かになりたい」という移民側の要請もあっただろう。そこまでは相互のニーズがマッチしていたと言えそうだ。

しかしその幸運な流れはリーマンショックという金融恐慌によって一変した。欧州域内の景気が急激に悪化し失業率が急上昇。その憤懣の矛先が自分たちに向かうのを怖れる政権側は、当然のごとく移民への締め付け強化に動く。市民レベルでも移民排斥の機運が高まっていく。

後付けでしかないが、考えてみれば、もともと市民たちが快く移民を受け入れて来たかどうか定かではない。忌まわしい過去(ユダヤ狩り)を打ち消したいという深層心理の働きがなかったとは言い切れないだろう。下世話な話だが、日本で言うところの3K的な仕事を忌避したい機運もあったかも知れない。

シャルリエブド襲撃はこうした大きな流れの中で起きた事件だろうと思う。

移民は単なる「経済的な労働力」とは片付けられない。特有の言語があり、文化があり、慣習があり、宗教がある。その違いも余裕があるうちは受け入れられても、失業で背に腹は代えられなくなれば、受け入れ続けることは難しくなるだろう。時の政権にとっても、対応を間違えれば死活問題となる。今回フランス国内で兵士が1万人も動員されたのは、表向きシャルリエブド襲撃の共犯探しとなっているが、移民(とくにイスラム系、ユダヤ系)に対する市民の暴発的行為の抑制の役割が大きいのではないかと感じている。

自由化から規制強化へ。これは時代の流れなのだ。

画像出典:
http://www.afpbb.com/articles/-/3036303

by naomemo | 2015-01-13 11:21 | いまを読むノート

移民狩りが増幅する気配


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以前からフランスではラマやイスラムに対する差別が表面化し、国外への排斥の動きが高まりを見せていたが、今回のシャルリエブド襲撃事件をきっかけにフランス国内ばかりか欧州域内全域で移民狩りが猛威を振るうことになるかも知れない。

海外報道を追っていると、リスキーシフトが起きつつあると感じる。

同国内のユダヤ系が恐怖におののき出国を望んでいるとも言う。第二次大戦時のナチによるユダヤ狩りはよく知られているけれど、じつは当時フランス国内でも強烈なユダヤ狩りが行われていたのだった。その痛ましい記憶が彼らの脳裏に生々しく蘇っているのだろう。

1929年に始まった世界恐慌のあと、景気が悪化し、失業者が溢れ、やがてユダヤ狩りにつながったが、2007年に起きた世界金融恐慌後の現在も、同じような状況にあるのかも知れない。

デモの先頭でオランドとメルケルが抱き合っている光景、そのちかくにイスラエルのネタニエフがいる光景などを見ると、背筋に冷たいものを感じる。

by naomemo | 2015-01-12 11:19 | いまを読むノート

誰のための自由なのか


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テレビ画面に、JE SUIS CHARLIE=私もシャルリ、と書かれたプラカード群の映像が登場するたびに、血が滾るのではなく、反対に脱力感に襲われる。

表現の自由が暴力によって犯されたことへの抗議は分かる。しかしそもそもシャルリエブドの表現が、なにを目指したものなのかが分からない。

彼らの表現が、意識的か無意識的か知らないが、相手の苛立ちを呼び寄せ、怒りの感情を増幅させ、反撃を唆したことは間違いない。その彼らの表現は自由の名に値するものなのだろうか。

デモの映像がたくさん流れることで、おそらくオランド大統領によるイスラム圏への攻撃はより容易になるだろう。国内のアラブ排斥運動も高まるだろう。

自由とか平等という言葉の近くには、ときに硬直した正義の姿が隠れていたりするものだ。濫用される「表現の自由」に、安易に与することなど出来ない。

by naomemo | 2015-01-10 07:31 | いまを読むノート

テロにも理由はある


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かたやサイバーテロ、かたや武器によるテロ。受けた攻撃の形は異なるのだけれど、ソニーピクチャーズとシャルリエブドには共通点があると思う。それがなにかと言えば、想像力とリスク感覚の欠如。他国の「神格」を嘲笑したりすれば、大きな襲撃も生じうるだらうということ。そこに思い至らない鈍感さがいったい何に起因するのか、気になって仕方ない。

画像出典:http://www.sankei.com/photo/story/news/150108/sty1501080002-n1.html

by naomemo | 2015-01-09 17:09 | いまを読むノート


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どうにも理解し難いことがある。ゴールドマンサックスが米国証券取引委員会に詐欺容疑で提訴されているのだけど、報道から得られる事実から見ると、ゴールドマンサックスとポールソン&カンパニーの共同謀議としか思えないんだけどね。どうしてポールソンは提訴されないの?

両者が合成CDOとやらを使った行為を比喩的に表現すれば、こんなところだろうか。わざわざ中身はガラクタ、外見はピカピカの車を作って、1000万円で販売した、と。そのかたわらで、両者はその車がすぐに故障して二束三文になることが分かっているので、故障したら儲かる仕組みの保険をかけていた、と。そして実際に途方も無い利益を上げた、と。

法的に問題があるかどうかという議論があるようだけど、それ以前の問題じゃないのかな。すぐにダメになる車を意図的に作って販売すること自体が異常だけど、挙げ句の果てに保険をかけてるなんて、常軌を逸しているね。儲かるなら何やってもいいの?異常な時代、異常な環境下では、異常な行為が正常に見えるってことだね。おそろしいことだ。

それにつけても、強欲ウィルスの旺盛な生命力には感心しちゃうね。


画像出典:ウィキペディア「ウィルス」

by naomemo | 2010-04-21 09:14 | いまを読むノート

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たかがTVドラマの内容が原因で、比較的友好な関係にあったトルコとイスラエル両国が喧嘩するなんて、まるで子供みたいだなあと思いながら、朝のBSニュースを見ていた。でも、子供の喧嘩とは、やはり違うんだね。

たまたま一昨日から読み始めた「『渋滞』の先頭は何をしているのか?」という本に、「メタ安定の崩壊」という言葉が出てきた。その箇所を読んでいて、あ、そーか、トルコとイスラエルはすでに「メタ安定の状態」にあって、それが崩壊したということんだなあ、と思ったわけ。

説明が必要だね。メタ安定とは、「例えば時速100kmぐらいで車間距離が30m程度で走っているような」状態で、「運転手にとって高い緊張が続いている」状態。別の言い方をすれば、いつ渋滞になってもおかしくない密度まで「車間距離を詰めて高速で走っている」状態のこと。この状態では、たった一台がちょっとブレーキを踏むだけで、自然渋滞に発展しうるということだ。あるいは、このメタ安定の状態で、傾斜が1度とか2度といった運転手も気づかない程度の上り坂に差し掛かっただけで、容易に自然渋滞になるのだという。

つまり、トルコとイスラエル両国間には、すでにそれだけ過緊張の状態にあったということになる。ニュースによれば、昨年からのイスラエルによるガザ地区爆撃あたりから、関係は悪化していたということだ。でも、どうも、それだけでもないような気もするんだなあ。

トルコは、以前からEU加盟を希望している国として知られている。社会の体制もイスラム圏のなかでは自由化が進んだ国でもある。ところが911テロが発生して以来、EU内で嫌イスラム気分が高まり、トルコ移民がきわめて多いドイツでは排斥運動にまで高まりそう。つまり、トルコはEUからも距離を置かれ、さりとてイスラム圏に容易に回帰するわけにも行かないってことで、国全体に、相当な欲求不満というかストレスが溜まっていても不思議じゃない。そういう面でもトルコ自身「メタ安定の状態」にあったのかも。そんな感想を持ちました。

昨年見逃した映画に、「そして私たちは愛に帰る」というトルコ映画があるんだけど、そのあたりのことも取り上げられているらしい。先日wowow録画したので、週末にでも観てみようと思っている。

by naomemo | 2010-01-15 08:45 | いまを読むノート

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今朝のTVニュースで知ったんだけど、マジャール人の国家ハンガリー共和国で、古代文字がブームになっているとか。

古代文字といっても、それは「ロヴァーシュ文字」というもので、紀元1000年以前にマジャール人が用いていたアルファベットなんだとか。EU統合が進むに連れて、公立の小学校でも選択授業の科目に入ってきたという。時代の変遷とともに薄れかけていた自分たちの固有の文化やルーツに対する意識が、EU統合後になって蘇って来るっていうのは、いかにもありそうで面白い。

マジャール人は、ハンガリーだけでなく、ハンガリー周辺諸国のルーマニア、クロアチア、セルビアなどにも少数民族として暮らしているようだけど、人種的にはアジア系とみられる。言語的にも、ハンガリー語(マジャール語)はウラル語族だから、ヨーロッパの大半の国がインド・ヨーロッパ語族であるのとは根本的な違いがある。そもそもハンガリーは、EU内では異質なところがあったわけだから、こういうブームが起きるのは自然の成行きかも知れないね。

マジャールつながりでもうひとつ。ヨハン・シュトラウスの作品に「マジャール(ハンガリー)万歳」という曲があり、ニューイヤー・コンサートでもよく演奏される。ウィーンはハンガリーに隣接するような位置にあるので、昔からつながりは深いのだろう。ハンガリーで生涯の大半を過ごしたハイドンの音楽にはマジャール人の音楽が色濃く反映しているだろうし、シューベルトやらブラームスやらハンガリーやルーマニアの舞曲をこよなく愛した音楽家も多い。

日本でもウィーンやハンガリーの音楽は人気が高いけれど、マジャール人たちの音楽のメロディやリズムに、おなじアジア系の日本人の魂が深いところで共振しているのかも知れない。

今日はずいぶんヘンな話になってしまったが、ま、いいか。


画像出典:ウィキペディア「ロヴァーシュ文字」

by naomemo | 2010-01-12 09:05 | いまを読むノート

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エジプト考古最高評議会のザヒ・ハウス事務局長が、ベルリンの博物館に対して、収蔵品である「古代エジプトのネフェルティティ王妃の胸像を返還せよ」と要求しているそうだ。

ザヒ・ハウス事務局長には、以前、ルーブル美術館から古代エジプトの「王の石柱」の返還に成功した実績があることから、今度も奪還するのではないかと見られて注目されているわけだ。

美術品返還要求の声を上げているのは、エジプトだけではない。ギリシャ、ナイジェリア、そして最近は中国なども美術品返還要求の動きを強めているようだ。これから声を上げ始める国も出てくるだろう。

大英博物館、ルーブル美術館、ペルガモン博物館、エルミタージュ美術館、メトロポリタン美術館などの所蔵品には、帝国主義時代に略奪してきたものが相当数含まれているから、どう応えていくのだろうか。これから要求はさらに拡大していくことは間違いないから、アタマが痛いだろうな。

それにしても、強欲なマネー資本主義が破綻し、これまで世界をリードしてきた欧米先進国の地位が相対的に低くなるなかで、こうした動きが出てくるのは象徴的だね。気候変動の枠組みが議論されたCOP15の報道を見てても感じたけど、欧米主要各国だけで世界を動かす時代は終わったってことだね。

世界の重心は、ただいま西から東へ移動中。そしてさらに、北から南へも移動中。混沌はまだまだ続く。しっかりとリバランスするのに、さて、どれくらいの年月がかかるのだろうか。


画像出典:ウィキペディア「ネフェルティティの胸像」

by naomemo | 2009-12-22 09:05 | いまを読むノート