カテゴリ:いまを読むノート( 29 )


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今回は過去から現在への移植です。

いまからちょうど5年前、NHK BS「おはよう世界」を見ていたら、英国で被害を拡大させているイタドリという外来種植物が紹介された。

イタドリの繁殖力はきわめて旺盛で、「在来種の植生を脅かす外来種となり、コンクリートやアスファルトを突き破る」(ウィキペディア)などの被害が多発していたと云います。往時なら、薬剤を撒布して生育を止めるなどの対策が取られたのでしょうが、環境への配慮が重視される現在ではそれもできず、別の方法が模索された。

そして白羽の矢が立ったのが、もともとイタドリと同じ環境にいたイタドリの天敵。イタドリ・マダラ・キジラミ。あれ、なにそれ、日本語じゃないの?と思うでしょ。そう、英国から見た外来種イタドリとは、もともと日本から持ち込まれたものらしい。それが大繁殖して生態系を狂わせていたので、同じ環境出身のイタドリの天敵で繁殖を止めようと計画されたわけ。ふむふむ。(※)

その後、英国におけるイタドリ対策はそこそこうまく行っているらしいのですが、いやいやまだ分かりませんよ。生態系の異変は、アハ体験のごとく緩慢に進んでいって、気がついた時には取り返しがつかなくなっていたりするものです。それかあらぬか、スコットランドは外来種を持ち込む対策には反対の立場を取っていると云います。

生態系は一度狂うと、なかなか元に戻れない。

そこで思うのが、植物や昆虫に生態系というものがあるのなら、人間だって同じ土俵の上にいるはずだよねということ。社会のあり方、文化のあり方、宗教のあり方、経済のあり方、金融のあり方まで、すべてに渡って同じことが云えると考えてみたらどうだろう、と。

たとえば移民問題。欧州域内では、経済効率の観点から移民受入れ促進政策を続けてきたけれど、ちょうど英国でイタドリが問題になり始めた頃から、移民排斥の機運が高まっていたわけね。こうした同時性には驚くほかない。

そして、今がある。だから、イタドリのその後はとても気になっている。

(※)
当時の番組キャスター高橋弘行氏は、このイタドリのニュースにこんなコメントを追加した。以前、南米で同環境の生物を利用した生態系維持対策を打ったところ、こんどは対策に使った生物が大繁殖して別の被害が拡大した例もあると。この味付けで、ニュースにぐっと深みと広がりが増したものだ。彼のコメントがじつに面白くて毎朝のNHKBS海外ニュースを楽しんでいたのですが、なぜかその後に降板となって久しい。ぜひ戻ってきて貰いたいものだ。



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欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉


画像出典:イタドリ(写真上)イタドリ・マダラ・キジラミ(写真下)

by naomemo | 2015-03-06 08:51 | いまを読むノート

緩やかな変化こそ


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先日ひさしぶりに脳科学者の茂木健一郎氏の姿をテレビで見た。番組でいつもの(写真の一部が緩やかに変化する)「アハ体験」を紹介していたのだが、出演者もテレビで見てる私も、どこが変化したのかほとんど分からなかった。

あとで種明かしとして、変化する前と変化した後を一度に見せられて、えっ!こんなに変化してるのに、どうして気づかないの、と、ガックリ。

我ながら情けないよねえ、観察力が弱いのかなあと思いつつも、生来の負けず嫌いゆえか、なぜ見つけられないのだろうと、あとになって気になってきた。

と、こんなことをメモしているうちに、ふと、ひらめいた。ひょっとしたら観察力の問題じゃないのかも知れないな、なんてね。

ふつう、人の認知力は、おおむね緩慢な変化には対応できるけど、素早い変化にはなかなか対応できない、と思われている。けれど、実際にはその反対で、人の認知力は、素早い変化には対応できるけれど、緩慢な変化には対応し難いという特性を持っているのではあるまいか。この冒頭で紹介した茂木健一郎氏の「アハ体験」が、なによりの証拠ではあるまいか。

そう思って見渡すと、たしかに認知できるのは素早く変化したものであることが多いような気がする。同時に、いま目の前で確実に進んでいるであろう変化も、それが緩慢であればあるほど気づかれていない可能性は高い。

しかも、おそらく緩慢な変化の方が、素早い変化よりも重大であったりするから、困ったものだ。緩慢に変化しているものはなにか。ゆっくり、じっくり、寄り道しながら、楽しみながら、見つめていきますか。

本日は、なんともまとまりのない話になりましたが、これにてお仕舞いです。


画像出典:
https://www.flickr.com/photos/alaind20sn/392968590/in/set-72157594540660171/


by naomemo | 2015-03-04 07:39 | いまを読むノート


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欧州ではEU内の国々を二つに分けて論じることがあるようだ。すなわち、アングロサクソン・グループとラテン・グループと。ゲルマンも前者のアングロサクソン・グループに入れているのだろうか。いずれにしても、このふたつグループの溝はとても深いという認識があるようだ。

ふむふむと思いつつも、極東の島国から眺めていると、これは民族間の溝であると同時に宗派間の溝であるように感じられないこともない。〈欧州雑感03:内部の宗派対立〉でも触れたけれど、欧州には東方正教会派のほかに、カトリック教会派とプロテスタント諸派が混在しており、そもそも一枚岩にはなりにくい歴史的背景がある。

そして歴史の綾ともいうべきかどうか、アングロサクソン・グループの国は、カトリックの総本山から地理的に遠いところに存在している。コントロールの薄い地域で宗教革命は起きた。ここのところで民族的な資質と地理的な要因がクロスしたわけだよね。

リーマンショックに起因する世界金融恐慌とそれに続く景気後退で、金融・財政部門の改善が自力では達成できない可能性のある国として名前が挙がった国はどこだったか。ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン、これにアイルランドを加えた5カ国です。ギリシャを除くとすべてカトリックの国です。

こういう表現が適切かどうか分からないけれど、教会の大きな屋根の下で神の慈愛に包まれるカトリックに対し、聖書を片手に航海に出て神の声を直接聞くプロテスタント、このふたつは生き方が大きく違うのではないかと感じます。

第二次大戦後、経済軍事大国化する米国に対抗して欧州は経済連携を深め通貨も統一して来たわけだけれど、リーマン・ショックをきっかけに歯車が狂い始め、理想と現実の違いが次々とあらわになりつつある。いちど狂った歯車はなかなか元には戻らない。英国がユーロに与しなかったのは、思えば当然のことで、なにしろ清教徒革命が吹き荒れた国なのだから、カトリックと同一の通貨にはなり切れない歴史があるわけね。

こうした民族、宗教、文化の大きな違いまで考えると、ユーロはまさに正念場という感じがする。ギリシャの扱いを過つと、亀裂からマグマが吹き出す可能性があるのでは、と。将来も地域通貨なるものが存続するとすれば、ユーロはふたつに分断したらどうなのだろう、などと妄想したくもなる。そんな単純な問題じゃないことは重々承知しつつ、興味は果てしなく広がっていく。


欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉

画像出典:ウィキペディア「カトリック教会(サン・ピエトロ大聖堂〉」


by naomemo | 2015-02-27 09:23 | いまを読むノート

爬虫類目のクルマ


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街を歩いていて、ときおりハッと感じることがある。爬虫類が街を駆け抜けている!まさか、そんなことある訳ないし、幻影を見ている訳でもない。ジュラシックパークの話がしたい訳でもありません。

いつの頃からか定かではないんだけど、なぜこうも新しく出てくるクルマの顔が怖いのか。気になるのが人間で云えば目に相当するフロントライトのデザイン。ほとんど爬虫類の目である。凶暴な爬虫類がいまにも食ってかからんばかりに睨みつけているように見えるのだ。

フロント部分の空力特性をとことん追求したらこうなった、と云うことなのだろうか。いやいや、そういうものでもあるまい。いまの険しい時代の空気が、あたかもクルマのデザインに乗り移ったかのようである。

そう考えて見渡してみると、街ゆく人の顔も、やっぱり同じように険しくなってるような気がしないでもない。満員電車のなかも、ときおり険しい雰囲気になることがある。けっして安穏とは云い難い。穏やかな気分でいたいものだ。

今回は考えていることがまとまらず、落とし話でお茶濁し。じゃんじゃん。


爬虫類の画像出典:
http://farm9.staticflickr.com/8016/7102606065_e64108e8a3_b.jpg

by naomemo | 2015-02-25 06:56 | いまを読むノート


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先日、WOWOWでケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」と「エリザベス:ゴールデン・エイジ」を連続で観なおす機会があった。ケイト・ブランシェットのエリザベスもなかなかのものだったけれど、ジェフリー・ラッシュ演じるフランシス・ウォルシンガムが目を引いた。

この作品がどこまで史実に基づいているのか不明なのだけれど、エリザベス政権を確実なものにするべくフランシス・ウォルシンガムによって国内外に張り巡らされた諜報・監視網が、世界に冠たる英国諜報組織の礎になったのかも知れないな、などと妄想を逞しくしてみたりもした。

映画の中では、まるで「ゴッドファーザー」における敵対勢力の謀殺を彷彿とさせるようなシーンがあった。ちょっとやり過ぎじゃないの?と思いつつも、あらためて英国の16世紀は血塗られた時代だったんだなと感じたし、宗教がからむ軋轢あるいは宗教の衣をかぶった対立が表面化すると、じつに厄介になるものだな、とも感じた。その意味で、面白い作品ではあった。英国はそれから半世紀後に清教徒革命の嵐が吹き荒れる訳だけれど、繋がっているわけね。

さて、ロシアのことである。

プーチン大統領は、旧ソヴィエト連邦時代に宗教が厳しく弾圧されたのとは対照的で、ロシア正教会を手厚く保護していることで知られる。根っ子に個人的な宗教心もあるのかも知れないけれど、やはり政権の求心力強化のためにロシア正教会を利用して愛国心を温めてきた、と見るのが正解だろう。結果、愛国心の体温は、すでに適温を越えて沸騰しかけていると見られている。その最右翼がウクライナの親ロシア派であろう。ウクライナは東部地域を失うと経済が破綻するとの見方がある一方、その東部地域はロシア語地域であり首都モスクワの喉元に位置することから、双方の歩み寄りは容易ではないわけだ。

宗教の文脈で欧州を見渡すとロシアと共通の宗派に属する国がいくつかある。なかでも目を引くのが、いままさにEUにとって頭痛の種となっているギリシャである。それぞれロシア正教会、ギリシャ正教会と呼ばれてはいるが、これは東方正教会のロシア版、ギリシャ版であって、別物ではない。プーチン大統領がロシア正教会を保護してきた深慮遠謀は、こんなところにも感じられる。

欧州の「東の果て」と「南の果て」には、欧州と宗派が異なる国がある。

では、東方正教会を除けば、欧州内部は一体かといえば、そうでもなく別の宗派対立の芽もある。これはまだ地下深くに眠っているのだけれど、EUが経済財政問題だけでギリシャの扱いを誤ると、目を覚ますような気がする。

(※)
エリザベスの画像をクリックするとAmazonの関連ページにジャンプします。このブログには、ところどころに隠しリンクを埋め込んであります、じつは。


欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉

by naomemo | 2015-02-19 08:35 | いまを読むノート


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理屈では右へ行くのが正しいと分かっているのに、結果として左へ向かってしまうなんてことがある。なんとも理解しがたく歯がゆいことではあるけれど、夫婦のあいだでも、親子のあいだでも、会社組織においても、はては国と国の関係でも起こりうることだ、これは。

欧州のことが気になっている。ウクライナ問題、ギリシャ問題、「イスラーム国」問題、内なる移民の問題、そして域内の景気後退と、問題山積である。これからどうなるのだろう。

欧州が第二次大戦後に歩んできた道筋にヒントがあるかも知れない。

第一次大戦、第二次大戦のような大きな戦争を二度と起こさない。戦後の欧州はそんな強い思いから再出発したようだ。そして戦争資源(石炭や鉄鋼など)の共同管理を行ない、域内の関税を撤廃し、人の移動を自由にし、ついには通貨もひとつにして来た。欧州全土をひとつの共同体にまとめ上げればケンカも起こらないだろう、と考えたわけだ。たぶん。

二度に渡る大きな戦争で欧州全域が戦場となり、数え切れない人が亡くなったわけだから、誰よりも平和と安全を強く願う気持ちは理解できる(つもりである)。けれど、幸か不幸か、人間という生き物はなかなか理想どおりには動かないようだ。いがみ合いも起きるし、ケンカも起きる。

人は自分が育った国を簡単には離れられない。生まれた時から使って来た母国語を捨て去ることなどできるわけもない。そもそも身体のなかを流れる血は入れ替えがきかない。欧州連合という共同体の大きな傘が出来て一時はうまく行くかに思われたのだけれど、それが、リーマンショックに始まる金融危機でいかにも脆いものだったことが露呈したわけだ。寄り合い所帯だから、金融対策・経済対策ひとつまとめるのに、とても時間がかかる。

挙げ句に浮かび上がって来たことは、それぞれの国で生まれ、育ち、学び、働き、愛し合い、憎しみあい、涙し、笑い、生活する人々の姿だった。共同体の理想の目の前に、突然のごとく「愛国心」という名のゴジラが出現してきたわけだ。これは新聞やテレビの報道からも感じていたが、欧州の数々の映画を観てきた率直な感想である。映画は世相を映す鏡の役割を果たしてくれるのだ。

いまウクライナで起きている問題も、ギリシャ離脱を巡る問題も、欧州の立ち位置から突き詰めれば統合と愛国のせめぎ合いと云って良いのだろう。もしもドイツがギリシャを共同体から離脱させるようなことになれば、そもそもの共同体の理想あるいは初期目的に亀裂が生じることになる。結果、愛国主義がさらに広がり勢いを持つことになりそうな気がする。そこを見切った積もりになってギリシャは横着をしているのだろうが、さてどうなるだろう。


欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉

by naomemo | 2015-02-10 14:14 | いまを読むノート

廃墟ブーム




昨日NHKの「新日本風土記」を見ていたら、その回はたまたま「廃墟」の特集だった。出かける支度をしながらのチラ見だったのだけれど、長崎の軍艦島、ダムに沈んだ川原湯温泉街、化女沼レジャーランドなどが映し出されていた。ナレーションも聞くともなく聞いていた。

日本では二十年ほど前から廃墟ブームがゆるやかに続いているのだ。バブルが崩壊してからなのだろう、たぶん。どういうことなんだろう。youtubeに上がっている上の映像を見ながらあれこれ思い巡らせてみた。

かつて栄えた地の廃墟を巡る人たちは、そこに何を見ているのだろう。

唐突に、ひょっとしたら「日本の過去」ではなく「日本の未来」を見ているのではないか、という思いが押し寄せて来た。とうに峠を越えたという現実を見つめているのかも知れない。

それにしても、化女沼レジャーランドの社長が、まだ倒産はしていない、往時の栄華をもう一度と思っている姿は、少し悲しい気分で見つめる他なかった。なぜか「バグダットカフェ」がもう一度見たくなったので、youtubeから字幕版のタイトルバックをシェア。Calling Youが胸に沁みる。



by naomemo | 2015-02-05 13:53 | いまを読むノート


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今朝朝食をとりながらNHKBS1を観てて、「地中海国境」という言葉に思わず耳が立った。聞けば、最近、欧州で強く意識されるようになった防衛安全保障の考え方だという。このボーダーラインが隔てようとしているものは、いうまでもなく欧州と中東地域である。解説をされていたのは秋元千明氏。どこかで観たことがあるなあと思っていたら、元NHKの解説委員。現在は、英国王立防衛安全保障研究所アジア本部所長という要職にある。

ここから先は妄想の類いかも知れないけれどメモして置こうと思う。

なぜ耳が立ったのか。腑に落ちるものがあったからだ。先のイスラーム国によるシャルリエブド襲撃後、欧州要人たちまでデモに参加している光景に異様なものを感じていたが、その深層が垣間見えたような気がしたからだ。知る限りでは海外の報道でもこれまで「表現の自由への冒涜」に対するデモとされていたけれど、(もちろんそういう意味合いもあるのだろうが)、むしろ「イスラーム国によるフランスへの宣戦布告」に対して欧州はスクラムを組んで戦うというデモだったのかも知れないな、と。

そう考えると、スクラムの中にイスラエルのネタニエフ首相が加わっていたことにも合点が行く。いま起きている事態が、テロではなく、欧州VSイスラーム国の戦争という様相を帯びているとなると、間違いなく欧州域内のユダヤ民族が巻き込まれるだろう、という強い危惧が生じたのかも知れない。

そしてその欧州は、一方でロシアとも鋭く対立している。外にある敵の存在で内部がまとまるというのは歴史の教えるところ。そこで感じるのは、これまで欧州の量的緩和に強く反対してきたドイツがここに来て止むなしとした背景には、こうした事情もあったのかも知れないということだ。なにしろギリシャは地中海国境の最前線にある国なのだから、いま離脱させる訳には行かないというコンセンサスが生まれても不思議ではないだろう。

最後にひとつオマケ。下に貼ったリンクはYouTubeに上がっているハイドンの交響曲103番「太鼓連打」である。ロンドン初演時、イントロの太鼓連打に卒倒する観客が大勢出たという。その昔、オスマントルコが欧州に侵攻した際、太鼓を鳴らして来たという怖い言い伝えがあり、それゆえ太鼓の連打で民族の記憶が蘇って卒倒する観客が出たというわけね。真偽のほどは定かではないけれど、音楽にまつわる逸話もあながち捨てたもんじゃない。




イラスト:三井孝弘さん


欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉

by naomemo | 2015-01-29 11:43 | いまを読むノート

身代金から見えること


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今回のイスラム国による日本人二人の身代金2億ドル要求について、中東の専門家の発言を追っていて見えて来たことをメモしておこうと思う。

まずひとつは、イスラーム国の政体を支えているのは旧イラク・フセイン政権下のテクノクラートであるらしいということ。米国ブッシュ政権がイスラーム国の生みの親でもあるという見方が、ここで再び確認されたことになる。

もうひとつは、原油安がイスラーム国の収入減につながり、結果、身代金ビジネスにドライブが掛かっているらしいということ。もしそうだとすれば、原油安が思わぬ結果をもたらしていることになる。

原油安について、マーケットでは今年後半には底打ちして持ち直すのではないかという見方があるが、ここに「イスラム国への制裁」というワードを持ち込むと、原油安は意外に長期化するのかも知れないという見方も浮かんで来る。

ロシアなど資源国の行方が気になるけれど、それはさておき資源を巡る戦争の質が変わりつつあるのかなという印象も受ける。すなわち原油を奪い合う戦争から、原油マーケットを使った戦争へ。これも米国のシェール革命の負の副産物なのかも知れない。

by naomemo | 2015-01-23 10:46 | いまを読むノート

スイス中銀の反乱?


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ケガ人が多数でているスイスフランの件。突然のストッパー外しについて、中銀インナーサークルは事前に知っていたと考えるのが順当だけど、もしもホントに知らされてなかったとしたら、スイス中銀側にインナーサークルへの不満が溜まっていたことになる。人間社会のことなので、不満や歪みはいつか必ず解消される。

これまで歪みのエネルギーはスイス中銀によって人為的に抑えられていたわけだから、ストッパーが外されれば津波になるのは必定。口約束を100%信じてはいけないってことだね。いずれにしても、しばらく逃避通貨リストからスイスフランが外れるのかな?その結果、円高圧力がかかりやすくなるのかな?などと感じたりもする。

こんなことをtwitterで呟いているうち、先進国の中銀が行っている、あるいは行おうとしている人為的なインフレ創造による債務圧縮というのも、まだ目には見えないけど、大きな歪みを溜め込んでいる可能性はきわめて高いと思うに至った。その巨大な歪みもいつか必ず解消されるのだとしたら、その時の津波は今回のフイスフランのストッパー外しどころの騒ぎじゃないだろう。

画像出典:
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LLULQY0UQVI901.html

by naomemo | 2015-01-17 17:56 | いまを読むノート