カテゴリ:いまを読むノート( 29 )


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関口知宏「ヨーロッパ鉄道の旅」はお気に入りの番組で、よく観ている。いつもは各15分の日めくり版を観ているのだけれど、先日、そのイギリス編を90分✕2部構成で放映していた。ブレグジット後の街の声が聞けるかもと思い録画しておいた。しばらく放置してしまっていたのだが、ようやくまとめて観ることができた。

イギリス編では、イングランドから、スコットランド、北アイルランド、ウェールズ、そしてイングランドに帰ってくる道程。なかでもとくに印象に残った場面がいくつかあり、メモとしていくつか残して置こうと思う。

今回はイングランド北東部の港町ボストンで関口知宏が拾った話。

ボストンは、2016年のEU 残留か離脱かを問う国民投票で、他の都市に比べて最も離脱支持者の割合が最も多かったことで注目を浴びた都市。理由として一般に挙げられているのが、東ヨーロッパからの移民の急増。確かにそれも一理あるけれど、それだけではなさそうだ。ポーランド出身女性を婚約者に持つ息子の父親(離脱を支持)の言葉が心に留まった。彼は、離脱を支持した理由について、こう語っていた。

「移民問題は一端に過ぎない。独立国の一員として民主主義の立場から離脱に投票した。イギリスがEUのほかの国から遠隔的に干渉されるのが嫌なんだ」

イギリスのEU離脱は、移民問題の解決策でもあるけれど、自由あるいは自立の問題でもあるわけだ。ここはけっこう重要なポイントだなと感じた。

画像出典:ヨーロッパ鉄道の旅「イギリス編_第1回


by naomemo | 2017-03-16 17:59 | いまを読むノート

CO2とNOX


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VW排ガス不正についての空想の続きです。

先日なにげなくTVチャンネルをザッピングしていたら、自動車関連の評論家らしき人たちがコメンテーターとして出演している姿が目に止まった。

ふむふむ、これは、VWの排ガス不正問題がテーマになるなと思い、そのまましばらく見ていたら、案の定。しかも、先日ここで取り上げた清水和夫氏も出演していた。

彼が今回のVW排ガス不正問題にからめて面白いことを云っていたので、忘れないうちにメモを残しておこうと思う。

「日本から米国をみると環境規制のとくべつ厳しい西海岸が輸出上の玄関になる。ところが欧州から米国をみると環境規制の緩い東海岸が玄関になる」。なるほど、欧州の自動車メーカーには、もともと米国の環境規制を甘くみてた背景があったわけね。それにしても、これは卓見だね。

「欧州はCO2(二酸化炭素)コンシャス、米国はNOX(窒素酸化物群)コンシャスなんです」。欧州では、温暖化対策という面から、排ガスに関してCO2削減に対する意識が高い。ところが米国では、生体への影響が大きいNOX削減への意識が強いということか。欧州のディーゼル車が米国市場開拓で苦戦してきた理由はここにあるわけね。

「世界各地域でバランスよく市場占拠率を高めてきたトヨタ、中国での販売台数拡大に依存し米国が手薄だったVW」。この自動車大国、米国市場での不首尾が、今回のVWグループ内の人事抗争の土壌になってたわけね。郷に入れば郷に従うという発想がドイツ民族には薄いのかも知れない。

「BMWは高級車なので排ガス対策にコストがかけられる。でもVWは大衆向け小型車がメインなので排ガス対策にコストがかけにくい」。なるほど。クリーンディーゼルとは云っても、コスト面では厳しいところがあったわけだ。

「創業家であるピエヒ家とポルシェ家の権力抗争」。ドイツには一族支配、家族経営の企業が多いとされるが、VWの今回の不祥事では、もっとも悪い面が出たということかも知れない。しかも、強欲と奢りに彩られている。

そしてもうひとつ。VW排ガス不正関連で見えて来たことは、排ガス試験時は清浄化装置をフル稼働させ、しかし実走行時では清浄化装置を働かなくさせるソフトを組み込んでいたということだ。これもコスト削減の観点から、米国で求められる走行距離に堪えうるだけの排ガス触媒(プラチナ)を搭載していなかった可能性が浮上している。もしその通りだとしたら、詐欺事件と呼ばれても仕方あるまい。


画像出典:ロイター

by naomemo | 2015-10-09 09:54 | いまを読むノート

無私の精神




 自己中心的な考え方や言動が広がるなか、世の中に役立つ研究を続け、実績を上げて来られた方がサラリと云い放った。

 「私自身えらいものを考えたり、難しいことをやったりしたわけでなくて、すべて微生物がやっている仕事を勉強させて頂いたりしながら、今日まで来ているとゆう風に思います。」

 今年のノーベル生理学・医学賞を受賞された北里大学の大村智特別名誉教授の受賞コメントの一節である。この言葉が聞こえて来て、思わず耳が立ち、爽やかな気分にもなった。

 日本人には、この「無私の精神」ってやつが、とてもよく似合うと思う。


by naomemo | 2015-10-06 15:53 | いまを読むノート

VW不正についての空想


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 20世紀において、自動車メーカーは、走行性能とデザイン性能を競って乗用車を生産して来た。その筋の専門家ではないので、あくまでもザックリとした俯瞰に過ぎないが、大きく的を外してはいないだろうと思う。

 ところが21世紀に入って環境性能と燃費性能の重要度が飛躍的に高まった。その、まさに時代の変わり目に出現したのが、世界初の量産ハイブリッドカー・プリウスだった。プロトタイプの発表が1995年、初代プリウスの発売が1997年。その後ホンダのインサイトが続き、ハイブリッド・カーという名のカテゴリーは、日本の自動車メーカーの十八番となって進化を続けている。

 じつはハイブリッドカーそのものは、欧米自動車メーカーが早くから先行してこれまで何度も取り組んできたものの実現に至らなかっただけに(その歴史は1896年のフェルディナント・ポルシェにまで遡るらしい)、日本に先を越されたことへの焦りは、相当なものだったに違いない。

 その後、トヨタのハイブリッド・システムは進化を続け、今年12月に発売が予定されている第四世代のプリウスは、リッター40キロ走行を達成しているという。まさに驚くべき進化である。。。

 うっかり忘れるところだった。本日の主題はプリウスではなく、VW(フォルクスワーゲン)によるディーゼルエンジン車・排ガス規制不正だった。

 さて、話題はVWに代わるが、同社による不正の第一報に接して最初に浮かんだ疑問は、ドイツ製造業を代表する企業が、いつか露見するに違いない稚拙な不正になぜ手を染めなければならなかったのか、だった。ゴキゲン、ワーゲンなんて、楽しそうじゃんと思っていた矢先だっただけに、ちとビックリ。いろいろ記事を追っているうちにキーワードとして浮かんできたのは、権力の集中(あるいは腐敗)、株主至上主義、短期成果主義、この三つだった。東芝の不正会計でも浮かんだものだった。

 VWが行った不正を、あえて通俗的な比喩を使って表現するなら、常に親から良い成績を期待される子供が、そのプレッシャーから逃れるためにカンニングに走ったようなものだ。

 では、VWが感じていたプレッシャーとは何だったのか。おそらく冒頭のマクラで振った進化するハイブリッド車の存在だったのではないか。クリーンディーゼルと命名して、実際、排ガス抑制で目を見張る進化を遂げてきたとはいえ、20世紀型カテゴリーに属するディーゼルエンジンでは、馬力性能や耐久性能が重要なジャンルでは優位に立てても、環境性能と燃費性能で雌雄が決するジャンルでは、やや不利な戦いを強いられることは否めない。

 そこに危機感が生まれ、生産部門と販売部門へのドライブが横行し、現場は不正に手を染めざるを得なくなった。。。

 もうひとつ気づいたことがある。ニュースによれば、今回の問題でリコール対象となるのは、2009年以降のディーゼル車だという。時あたかも、リーマンショックの影響で金融と経済が疲弊した時期で、トヨタが北米で大規模なリコールと集団訴訟に晒された時期に重なる。ライバルメーカーが前のめりに突っ走る動機の一つになって不思議ではなかったのかも知れない。

 ことの真相はいつか見えてくるのだろうけれど、以上が、現段階での自由勝手気ままな空想である。

 この問題については、清水和夫というモータージャーナリストが「5分でわかるVWの排ガス規制違反問題~清水和夫が真相に迫る」というタイトルの記事を公開している。不正の背景として、米国における低品質の軽油の存在、功を焦ったVW上層部による社内への圧力の存在を指摘していて、なるほどと納得。興味のある向きは、こちらもどうぞ。

 最後にひとつ。ただ、しかし、そうは云っても、新しい時代のトレンドとマスの需要とは共存するのが常なのだと思う。しばらくは熱にうなされたかのごとく、ディーゼル悪玉論が流布されるかもしれないけれど、これでディーゼルエンジンの存在が急速に減少するとは思わない。世の中の現実は、オセロのように、黒と白が簡単に反転したりはしないのだから。

(追記)
 2009年から始まったとされるVW排ガス不正。不正に動いた背景にはさまざまな要因が透けて見えるけれど、(まだ噂の段階だが)結果としてやったことは、コスト削減のため排ガス浄化触媒のプラチナ使用量を半減し、それを隠蔽するためのソフトウエアを使ったのではないか、という説が飛び出して来た。


画像出典:ロイター


by naomemo | 2015-09-25 10:23 | いまを読むノート


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ドイツの移民受入れ推進政策の背景には、第二次大戦の荒廃から一刻も早く立ち直りたいという動機と、ナチス・ドイツ体制下の他民族への苛烈な対応への反省があるのだろうと思う。しかし、このまま従来の移民政策を続けて良いかどうか、きわめて危うい状況になって来た。

先般、英国を目指す地中海難民を英BBCが盛んに報じていると紹介したが、こんどは仏F2、独ZDFが、ドイツを目指す大勢の移民・難民を頻繁に紹介するようになった。彼らが押し寄せる姿は、あたかも民族の大移動でもあるかのように映る。

シリアの内戦から逃れるために、あるいはISの攻撃から逃れるために、ひょっとしたら貧困から逃れるために、バルカン半島を通って欧州へ流入しようとする大勢の移民・難民。彼らは、セルビアからハンガリーを経由してオーストリア、そしてドイツを目指しているという。(ドイツからの要請があるのかないのか分からないが)、移民・難民の流入を食い止めるために、ハンガリーは、セルビアとの国境に有刺鉄線を張り巡らせた。しかし、有刺鉄線などいっときの時間稼ぎにしかならず、難民たちは、いともたやすく乗り越える。

それでもハンガリーは、パスポートを持たない彼らをノーチェックで黙って通過させるわけに行かない。その結果、ブダペスト駅周辺は、膨大な数の移民、難民で溢れ返っている。その映像はNHKでも放映するまでになった。

今年になってドイツに入った移民・難民は、すでに80万人に及ぶと云う。そのうち地中海難民は30万人を占めると云う。

それにしてもなぜ移民・難民がドイツを目指すのか。

それはおそらく欧州でいちばん光り輝いている国だからだろう。第二次大戦後に積極的に移民を受入れ労働力を確保して来た歴史があるからだろうし、(建前では)民族差別が固く禁じられているからだろう。そうしたことが相まって移民・難民を自ら引き寄せてしまっているという側面もありそうだ。

しかし、現在のような数多の新規の移民・難民の流入が続けば、あっという間に許容範囲を越えることだろう。つい先日、メルケル首相も、移民・難民問題に、強い危機感を表明した。この問題は、ギリシャ問題よりも深刻と受け止めているようだ。

以前、欧州に「国境が復活する気配」と書いたけど、だんだんと現実味を帯びつつある。

欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉


画像出典:googlemaps

by naomemo | 2015-09-02 21:45 | いまを読むノート


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だいたい毎朝4時前に起床して1時間ほどウォーク&ランあるいはウォーク&トレーニング。ここから1日は始まる。しっかり汗を流しシャワーを浴びないと、アタマがはっきりしない体質というか年齢なのだ。それからだいたい1時間ほどBS海外ニュースを観ているのだが、ここ数日前から繰り返し報道されていることが気になっている。

ひとつはフランスにおける酪農家たちのデモンストレーション。隣国ドイツとの境、スペインとの境で、フランス国内に入って来るトラックを停止させて、酪農家たちが荷物検査を行っているのだ。一種の検問である。ニュースだけでは把握し切れないところがあるけれど、どうやらこんなことらしい。ドイツあるいはスペインから入ってくる安価な製品によって、同国の酪農業が半端ない痛手を被っている。さらに米国主導(欧州追随)によるプーチン・ロシアへの経済制裁の長期化によって、フランスの酪農家は上得意先を失い瀕死の状態にある。この二つが相まって、鬱憤が溜まりに溜まり、怒りのエネルギーが沸騰しているかのようだ。

もうひとつは英国の移民受け入れ拒否。フランスのカレと英国のドーバーを海底で結ぶトンネルを英仏海峡トンネルというが、(BBCはユーロトンネルと呼んでいるが)、カレー側のトンネル入口にトラックが長蛇の列をなしている。どういうことかといえば、英国に憧れてカレからドーバーを目指す大勢の移民を、英国サイドが水際で塞き止めているわけだ。ただでさえ同国は移民対策に窮しており、さらなる移民の流入はご免被りたいということだろう。テロの脅威、差別や格差などがコントロール不能になりかねず、広い意味での英国社会の安定がこれ以上損なわれることを防ごうとしているわけだ。

この二つに共通して登場しているのが、ボーダーすなわち国境である。

思い起こせば戦後の欧州は、第一次大戦、第二次大戦のような大きな戦争を二度と起こさないという強い思いを持って再出発。戦争資源(石炭や鉄鋼など)の共同管理を行ない、域内の関税を撤廃し、人の移動を自由にし、ついには通貨もひとつにして来た(英国はポンドを維持しているが)。欧州全土をひとつの共同体にまとめ上げればケンカも起こらないだろう、と考えたわけだ。そして、現在のEUがある。

ボーダー=国境は無くなり、モノもヒトも自由に行き来できるようになったわけだが、どうもここに来て雲行きが怪しくなり始めた。これまで東欧および中東からの移民が、高齢化対策、労働力確保、生産性向上といった課題解決策だった時代から、国内の格差・差別を助長し、挙げ句の果てにテロの温床にもなる時代へ移行しつつあるかに見える。

結果的には否決されたがスコットランドには英国からの独立を望む国民が多くいる。英国のキャメロン首相は同国のEU離脱を国民投票にかけるらしい。バルセロナを抱えるカタルーニャはスペインからの独立を望んでいる。そのスペインではドイツ主導のEUが押し付ける緊縮策に反対する勢力が台頭している。

ボーダーレスを求めるグローバリスムとボーダーを復活させたい愛国主義。この対立の構図が、欧州でますます際立ち始めているようだ。


欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉

by naomemo | 2015-07-29 15:06 | いまを読むノート


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今朝NHKBSを観ていたら、フランス国営放送の番組で、ギリシャの債務問題について、思わず耳が立つようなコメントがあった。発言者の名前はチェックし損ねたけれど、おそらくフランスのアナリストか学者だろうと思う。

うろ覚えなので、その発言を思い出しながら解釈するけれど、つまり、こういうことになる。

ユーロが誕生した1999年から現在まで、ユーロ経済は18%拡大している。それに対して債務問題で叩かれているギリシャはどうかと云えば、ユーロ導入当初は成長したが、リーマンショックを経て、結局プラスマイナス0%に戻ってしまった。現在抱えている債務はギリシャにとっては巨大すぎて、すでに返済能力を超えている。

これは、(ギリシャのように)経済の弱い国が、(ユーロという)強い通貨を持ったことで起きた、必然的な帰結である、ということを意味する。

ECB、IMF、ドイツは現在、ギリシャの債務問題のユーロ圏への波及を回避すべく交渉を重ねている訳だけれど、そもそもの問題がユーロの仕組みにあるのだとすれば、ユーロの仕組みに改変が加えられない限り、回避は不可能で、同様の問題が他の国へ波及せざるを得ないのかも知れない。

ギリシャが立ち直るには、債権団が自らの債権を放棄し(あるいは相当部分をカットし)、そのあとでギリシャはユーロを離脱してドラクマに戻る他なさそうだ。しかし、債権団が債権を放棄することはなく、ギリシャから取れるだけ取ることしか考えてはいないだろう。悲劇的としか云いようが無い。

どうやら通貨は、国あるいは地域の実情にあった強さであることが望ましい、ということになりそうだ。個々の国がそれぞれの実情に合わせて為替政策も打ち出せない現在のユーロシステムは、経済の強いドイツにとっては好都合であっても、(ドイツに比較して)経済の弱いギリシャ、そしてスペイン、さらにイタリアなどの国にとって、負荷が大き過ぎるということだろう。

けっきょく南欧の債務問題は、これからも長く続かざるを得ないのだろう。そしてもうひとつ、通貨発行権は経済の弱い国にとってこそ大切なのだということを、今回のギリシャの事例は教えてくれていると思う。たとえ隣の芝生は青く見えたとしても、けっして自ら手放してはならないものなのだ、と。


欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉

画像出典:CNN.co.jp

by naomemo | 2015-06-24 10:30 | いまを読むノート


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欧州の内なる移民問題、北アフリカから押し寄せる難民問題について、あれこれ読みつつ感じていることは、このまま行くと、とうの昔に消え去った国境がふたたび復活することになるかも知れないな、ということだ。少なくとも、これまでのようなEU域内における無制限の移動の自由は、いづれ制限されることになりそうな気がする。。。

以上は、すこし前にメモ帳に認めた一文である。これをもう少し掘り下げて、まとめてみようと思っていたのだけれど、そのまま放り出すことにした。その替わりに、今日は、スペインの急進左派ポデモスについて書かれた、とてもシャープな記事を紹介しておこうと思う。上の画像は、The Guardianから拝借したポデモスを率いる党首パブロ・イグレシアス。じつにかっこいい。

「彼は共産党のドクトリンに根付いたクラシックなスペインのインテリ左翼ではない。だが、現代の世界を病ませている原因を明確に指摘し、その終焉を目指す。それは緊縮政策であり、市場主義であり、グローバル資本主義だ。」

「ポデモスは政党設立からわずか4カ月後のEU選でスペインの第4勢力となり、昨年秋には支持率が与党を抜いた。今や11月に行われる総選挙でイグレシアスが首相になる可能性すら囁かれている。」

全文はこちら→ブレイディみかこ「『勝てる左派』と『勝てない左派』」

もし、ポデモスが政権を奪取すると、スペインのユーロ放棄あるいはEU脱退が視野に入って来ざるを得ないだろうね。

欧州雑感08:国境が復活する気配
欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉

画像出典:The Guardian

by naomemo | 2015-06-04 11:02 | いまを読むノート

国破れても山河は残る


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関西電力高浜原発3、4号機の再稼働に対して、福井地裁が待ったをかけた。大飯原発再稼働差し止め判決の際と同様、再稼働で人格権が侵害される危険があるという理由からである。素晴らしい判断と思う。

化石燃料というエネルギー資源を持たない日本が、原子力政策に前のめりになった過去の経緯は理解しているつもりである。

しかし、幸か不幸か日本は四つのプレートが集まる場所に位置するがゆえに、地震が多発する国である。そしてそれゆえに貴金属資源が豊富に採取された国でもあるのだが、残念ながら石油エネルギー資源に恵まれなかった。しかし石油エネルギー資源に恵まれなかったがゆえに、他民族にとって征服するだけの魅力がなかったとも云える。

そんな日本が唯一と云って良い資源を持っている。何かといえば、恵み豊かな自然である。山であり、川であり、海である。これほどの滋味を享受し続けていられる民族はあまりないのではないか。いまや世界を二分する大国、米国も中国も、早晩、深刻な水不足に襲われると予測されているが、幸い、日本は生きて行く上の必須要素である水にたいへん恵まれている。

使用済み燃料の行き場さえ決まっていない日本に、原発はいらない。国破れても山河は残る。山河が残れば民は生きて行ける。しかし原発で山河を失えば、人格権どころか、生存そのものが危ぶまれる。

画像出典:ブルームバーグ

by naomemo | 2015-04-15 11:09 | いまを読むノート

ドル買いとドル離れ


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中国主導で年内に設立される予定のアジアインフラ投資銀行。英国が手を挙げた途端に欧州勢が雪崩を打って参加を表明。米中が対峙する構図のなか、しかし背に腹は代えられず、実利を取ったというころなのだろうと見られている。

欧州勢は、いまの米国に強力に反対するだけの余力はないと見切っているのかも知れない。下世話な言い方をすれば、米国とももちろん付き合うよ、だけど中国とも付き合うよ、ということなのだろう。

米国と日本はいきなり孤立した感が否めないのだけれど、米国サイドの反応は表向き平静であるかのように見える。しかし、中国主導のアジアインフラ投資銀行創設が、米国主導の金融システムに一石を投じるものであることは明らかだけに、ここから先いろいろ紆余曲折があるような気がしないでもない。米国は、基軸通貨ドル体制を守るためなら、あらゆる手段を講じる可能性があると思われるからだ。

だからこそ欧州勢はスクラムを組むかのように参加を表明したのだろう。

ドル金利の引き上げを巡ってドルが買われる流れの一方で、静かに進むかに見えるドル離れの動き。この成行きからは、ちょっと目が離せない。


画像出典:ギズモード・ジャパン

by naomemo | 2015-04-09 11:38 | いまを読むノート