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金の店頭売買について、ひとつ注意喚起しておきたいことがあります。

金地金の「小分けサービス」なるものを打ち出している業者があります。「小分けサービス」がどのようなものかと云えば、一般個人が1キログラムの金地金を業者へ持ち込むと、例えば100グラムの金地金10本に鋳直してくれる、というサービスです。

この「小分けサービス」が意図していることは、個人の心の中に潜む「将来売却する際に譲渡税を払いたくない」という気持ちを刺激することで、他社の顧客を自社の顧客へとスイッチさせることにあるのだろうと思われます。ある意味、心憎いばかりの戦略と云えないこともありません。

ただし、この「小分けサービス」の本質は、1キログラムで売却した場合に将来発生するかも知れない譲渡税を前もって避ける方策を取っておくことにあると同時に、100グラムに小分けすることで税務当局に個人情報を握られないようにするというところにあります。すでに周知の事実とは思いますが、法律上、200万円以上の売却では、本人確認情報を含む支払調書が店頭から税務署に提出されるため、「小分けサービス」を利用しておくことで、それを避けたいということです。よく云えば節税対策ということですが、いやいやそういうものでもないでしょう。

この「小分けサービス」では、持ち込まれた1キログラムの金地金を業者側は買い取るわけでなく、一時的に預かって「鋳直し(再精錬)」して100グラムの金地金10本にするという体裁を取っているようですが、上記の通り目的が明らかであるだけに、おそらくこれはアウトだろうと思われます。

いや、もしも我が国で金が「法的通貨」としての位置づけにあれば、「小分けサービス」は、云ってみれば一万円札を両替して千円札十枚にすることと同じですから、セーフです。しかし、残念ながら、金には通貨としての側面があるとは云うものの、現在「法的通貨」ではありませんから、両替という論理は持ち込めません。

では、「小分けサービス」はまったくダメなのかと云えば、そうとも云い切れません。次のようなプロセスを取れば問題ありません。業者側が1キログラムをいったん個人から買い取り、代わりに100グラム✕10本を販売するというものです。そこで50万円以上の売却益が発生していれば、譲渡税の申告が必要になります。それなら意味ないという声も聞こえてきそうですが、こればかりは仕方ありません。

残念ながら、1キログラムと100グラム10本では、モノの性質は同じでも形状まで同じとは云えませんから、そのように対処せざるを得ないだろうと思われます。

これは、いつか税務当局の調査が入る可能性が高いと見ています。なにしろ1000兆円もの負債を抱えた我が国のこと、「小分けサービス」について、税務当局が指を加えて見ていると思うのは、あまりにリスク感覚が鈍いと云わざるを得ません。

税務当局の調査が入るとどのようなことが起きるか。あくまでも推測ですが、業者側はまず「小分けサービス」利用客の名簿提出を求められるのではないかと思われます。その際、業者側が取る対応は二つあります。一つは顧客を守るために名簿はないと拒否する。もう一つはおとなしく名簿を出す。

利用者個人に影響が及ぶのは、名簿が出された場合です。譲渡税の申告あるいは修正申告が求められるでしょう。悪質と判断された場合には追徴され、かなりの税金支払いが発生する可能性も捨て切れません。

反対に、業者側にはどのようなペナルティが生じるのか。名簿はないと強弁すれば修正申告を求められる可能性があります。現在「(鋳直し)手数料収入」として計上されている売上は否定され、金地金の一時預かりは「買い取り=仕入れ」として計上し直し、鋳直し後に渡したとされる金地金分は「販売=売上」として計上し直しになることも有り得る話です。

結果として、修正対象は、単年度の決算だけではなく、複数年の決算にまたがり、膨大な金額の納税を迫られることだって覚悟しなくてはならないかも知れません。そうなると、経営サイドは、会社に莫大な不利益を与えたことになり、責任を取らなければならなくなりそうです。

サービス提供側も、利用側も、目先の「節税?」に目を奪われたことで、大きな痛みを負うことになります。両者とも、そのあたりに早く気づいた方がよかろうと思います。一般個人の方々は、くれぐれも、木を見て森を見ないような真似はしない方が良いと思います。くれぐれもお気をつけ下さい。

by naomemo | 2017-03-24 13:12 | →はじめての金読本


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純金積立とプラチナ積立をおやりになっている読者から、以前、こんな質問をいただいた。「金とプラチナは同じスタンスで買っていて良いものかどうか」と。なかなかクールな質問です。

両者はおなじ貴金属でありながら、さまざまな違いがあります。そうした違いを知っておくことで、たしかにスタンスは変わるでしょう。今回は、両者の違いを5つの視点で整理してみます。

第一の視点:通貨としての顔
金は装飾品として7000年の歴史を有しています。通貨としても2500年の歴史があります。金はそれだけ長い過酷な時の風雪に堪え、いまなお装飾品として資産として価値を認められています。それに対してプラチナはどうなのか。貴金属として一般に認知されてから、残念ながら250年の歴史しか有していません。発見や認知が遅れた要因は、産出地域がごく限られていること、融点が高く(金が 摂氏1064.4度、プラチナが摂氏1770度)、加工が容易ではなかったことが関係しているのではないかと思われます。いずれにしてもこの浅い歴史ゆえにプラチナは「通貨になり損ねた貴金属」、と云うことができるかも知れません。通貨としての顔を持つ金、通貨としての顔を持たないプラチナ、ここがまず第一の違いでしょう。

第二の視点:市場規模の違い
金もプラチナも希少な貴金属として知られています。が、希少性という観点で見ると、プラチナは貴金属の王様とも云うべき存在です。市場規模で言うとプラチナは金の1/20、希少価値では断然プラチナに軍配が上がります。したがって、平時であれば、金よりプラチナの価格の方が高いのが普通です。ただ、当然のことながら、金に比べてプラチナの流動性は低いわけで、プラチナの市場価格は時に大きく変動しがちです。

第三の視点:産出地域の違い
金は希少な貴金属と云いつつも、北米、中南米、アジア、アフリカ、オセアニア、ISなど、世界各地域であまねく産出されています。ところが一方のプラチナは、その産出量の7割を南アフリカ共和国に依存しています。したがってプラチナの供給は、同国の政治および経済状況の影響を強くに受ける傾向があります。とくに鉱山労働者の賃金上昇圧力と電力インフラの脆弱さが、同国の鉱山経営にとって二大リスク要因になっています。

第四の視点:需要構造の違い
金需要は、宝飾品と工業品で6割、残りは公的部門の購入および個人投資用という構成になっています。商品と通貨の二つの顔を持つゆえに、金需要は景気動向に左右される反面、金融情勢にも大きく左右される傾向があります。一方で、プラチナ需要はディーゼルエンジン自動車の排ガス触媒と宝飾品で8割近くを占めています。残りもほとんどが工業用の需要です。プラチナは産業用の貴金属であるため、需要動向は景気に大きく左右されます。

第五の視点:主要な需要地域
金の最大需要地は、いまさら云うまでもありませんが、インドと中国です。両国の需要を合わせると、世界の現物需要の4割程度となります。一方、プラチナの需要地は、欧州と中国です。欧州の主要な需要はディーゼルエンジン自動車の排ガス触媒、中国の主要な需要は宝飾品、この二つだけで世界需要の4割に達します。とくにプラチナ需要の動向を見る上で、この点は重要です。

このように金とプラチナはおなじ貴金属でありながら、投資媒体としては、かなり違いがあることが分かります。いろいろな考え方があるだろうとは思いますが、まとめれば中長期の資産として保有するのであれば金、中短期の投資を楽しむのであればプラチナ、と位置づけて付き合って行くのが良いのではないでしょうか。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-07-24 11:19 | →はじめての金読本


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中国という国は、古来より度重なる王朝あるいは政権の交代で、紙幣が紙くず同様になる悪夢を幾度も経験してきたがゆえに、中国人民は政府発行の紙幣にあまり信を置いていないとされる。

それがどの程度の不信感となっているのか定かではないけれど、彼らは(その昔は通貨であった)金や銀に対して、ことさら強い欲求を持っているようだ。その証拠に、貴金属の代表ともいえる金の需要を見ると、金自由化以降、中国の世界シェアは、(2014年は減少したとはいえ)20%強まで拡大している。

では、プラチナはどうなのか。これまで中国の人民は金や銀は欲しがってもプラチナには見向きもしなかったとされる。その理由はおそらく二つ。ひとつ目の理由は、見た目は銀と大差ないのに、銀に比べてプラチナの価格は異常に高いこと。ふたつ目の理由は、金や銀と違い、プラチナには通貨としての歴史がないこと、であろう。

しかし、中国におけるプラチナ宝飾需要は、じつは飛び抜けて大きい。なにがキッカケなのかは分からないが、いまでは、「プラチナ雑感01:欧州とプラチナ」で紹介した欧州におけるディーゼルエンジン車の排ガス触媒需要を凌駕する規模にまで拡大している。

というわけで、これからプラチナ需要の動向を見る際は、欧州の景気同様、中国の景気も重要な指標となる。ただし、中国においてもプラチナは投資媒体としては認知されておらず、いまのところ宝飾品としての位置づけにある。とは云っても、アジア中東地域における貴金属の宝飾品は、欧米とは異なり半ば資産としての位置づけにあることは付け加えておきたい。

こうした観点から、中国の景気後退局面、信用リスク増大局面では、プラチナの需要が凹む可能性は高いと見ておいて間違いなさそうだ。折しも、中国は過剰な債務を抱え、上海株式市場が大きな調整局面にあるゆえ、プラチナには現在、下押しのプレッシャーが掛かっている。ニューヨーク先物市場で売り物が膨らんでいる(過去20年でほぼ最高水準まで拡大している)背景の一つとも云えるだろう。しかし、いずれそこは買い戻されることになる。それがいつのことになるかは分からないけれど。

プラチナ雑感01:欧州とプラチナ


画像出典:All About「中国の両替」

by naomemo | 2015-07-16 11:07 | →はじめての金読本


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個人的にプラチナにコツコツ買いを入れているので、ここで欧州とプラチナについてメモして置こうと思う。たまにはこんな話題もいいでしょ。

その前に、ざっくりと全体を押さえておきたい。いまは世界中に緩和マネーが溢れている。しかしその膨大なマネーの運用先となると、そうそうあるものじゃない。いまの欧州には行きにくい。経済全体として見れば最悪期は脱して、そろそろ浮上という段階だが、しかしギリシャ問題が解決せず、ことによればスペイン、イタリアへの飛び火の可能性も否定できない。

新興大国の中国は景気後退のサインが点滅中。しかも、あろうことか上海株式市場が官製バブルの崩壊で、いまは危なっかしくて近寄れない。ロシアにも政治的な理由で近づきにくい。堂々と近づけるのは中国くらいなものである。そこはさすがと感じる。

一方、リーマンショック後に市中のドル流通量を4倍まで膨張させて景気が回復基調にある米国は、緩和の出口に向かおうとしている=引締めに動こうとしていることから、ドルが新興国から米国本国へ里帰り。FRBは金利の引上げに動きたいところだけれど、しかし皮肉なことにドル高が進行したことでグローバル企業の業績が凹んでいる。欧州、中国への影響も無視できない。

緩和マネーで、この二年間で株価が大きく上昇してきた日本も、いまでは上海リスクが気になるところ。

さて、ざっくり全体を俯瞰した上でプラチナを見てみると。

まず、プラチナの市場は、ゴールドの市場の1/20程度に過ぎない。ゴールドも稀少性は高いのだが、プラチナの方が希少性では圧倒的。年間産出量だけを見ても、ゴールドの3000トンに対して、プラチナは200トンにも満たない。じつに微々たるものである。

供給面でのもう一つの特徴は、ゴールドの生産地が世界各地に分散しているのに対し、プラチナは南アがおよそ7割強を占めている。つまりプラチナの供給は、南アという国の情勢に大きく左右される面があるということ。しかも南アの鉱山は、鉱山労働者の賃金上昇圧力と電力供給不安をつねに抱えている。ここで問題が起きると、どのようなことが起きるか想像に難くないだろう。これまでも数年に一度くらいの割合で、この問題が顕在化している。

一方の需要はどうか。最大需要のディーゼルエンジン自動車の排ガス触媒が4割強を占めている。その次が宝飾品で3割強。つまりプラチナの需要は景気に大きく左右されるわけ。通貨としての顔を持つゴールドとは、この点が大きく異なる。そして、最大需要のディーゼルエンジン自動車の排ガス触媒の主要なマーケットといえば、それは欧州なのである。

冒頭に載せた過去10年のプラチナ価格の推移を見てみよう。ちょうど10年前の価格水準が800ドル台、そしてリーマンショック後に急落した際の価格がやはり800ドル台の水準。その後持ち直したものの、リーマンショックが欧州に伝染し南欧の債務不安から景気が冷え込み、ズルズル下げて現在の1000ドル水準に至っている。10年のレンジで見る限り、底値まで200ドル。ここに来て下げ足を速めているのは、ギリシャ問題が長引いているからだ。

つまり欧州から(そしてプラチナから)投機マネーが引いているというのが実情だろう。投機マネーが引いたところが、個人の出番だと思っているわけだ。

あとはEUがギリシャ問題を乗り切るかどうか。個人的には、ギリシャのデフォルト、ユーロ離脱はあり得ると思うのだけれど、EUからの離脱はないと見る。

そう思う理由は二つ。

一つは、最近の欧州には「地中海国境」という防衛安全保障の考え方があるということ。このボーダーが隔てようとしているのは、云うまでもなく欧州と北アフリカ中東地域。そこに降って湧いたのが大量の難民である。ギリシャはその最前線にある。ゆえに仮にユーロからの離脱が起きてもEUからの離脱はないと見る次第。

もう一つは、ギリシャ政府について、これ以上の支援にEUは否定的な姿勢を通しているが、ここに来てどこからともなく「人道的見地」という言葉が聞こえるようになったこと。そうでも言わないことには、ギリシャの銀行に資金を入れることに、国内世論の賛意を得られないということなのではあるまいか。スサノオのような荒くれギリシャだが、人道的見地という方便を使うことで、メルケルもギリシャに支援の手を差し伸べることが可能となる。だからギリシャの破綻、ユーロ離脱はあっても、EU離脱はないと見ているわけ。

以上は、あくまでの個人の見解。明日のことは、誰にも分からない。けれど、ゴールドもプラチナも実物の資産であって、価値が破綻することはない。いつまでも値を崩し続けるとは思いにくいからコツコツ拾っている。1000ドルを割れば800ドルまであると思うけど、その時は大きく拾えば良いだけのこと。だから、5年、10年寝かせても大丈夫な資金を投じている。そうは云っても、たいした金額ではないけれど。

最後に。安倍政権の動きにキナ臭ささ感じている個人としては、貴金属現物への投資は、将来リスクに対する、ささやなかヘッジの意味もある。


欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇
欧州雑感06:スペインが熱い
欧州雑感05:イタドリという外来種
欧州雑感04:二つのグループ
欧州雑感03:内部の宗派対立
欧州雑感02:統合か愛国か
欧州雑感01:地中海国境という言葉

チャート出典:kitco

by naomemo | 2015-07-10 11:43 | →はじめての金読本


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これから時折、金取引について実践編の話も混ぜて行こうか思います。ただ最初にひとことお断りしておきます。この「はじめての金読本」は、金をヘッジ資産(=将来の万一に備える保険的な役割をもつ資産)と考える立場に立っています。ですからここで扱うのは現物取引に限り、先物取引は扱いません。先物取引は一般個人向けではないからです。

先物市場は、将来の価格変動リスクをヘッジする(保険をかける)大切な役割を担っています。とはいえ、先物取引が、決済期限のある期間限定の取引であり、投機的な色彩が強いことも否めず、そして業者の強引ともいえる営業手法に疑問もあります。一般個人向けとしては難があります。

先物の短期売買で利鞘を稼ぐ行為は、それを生業(なりわい)とするプロたちに任せておけばよろしい。不用意に足を踏み入れると大きな損失を被りかねませんから、一般個人は敬して遠ざけておくのが賢明でしょう。

それでも、金価格は上がったり下がったりします。金といえど相場商品ですから、価格が変動するリスクと無縁ではありません。投機マネーの動きによって急騰急落する局面も見られます。そんな時に決済期限のある先物取引だと、価格が予想に反した大きな動きをした場合に、安穏としていられなくなります。そうなると本来味方となるべきはずの時間が敵に回ってしまいます。

それでは安心のための金が、不安の種になってしまいます。

それに対して、いつ買っても、いつ売っても、まったくもって自由なのが金現物です。金現物を保有している人には、「決済期限」なるものがありませんから、価格が急騰急落しても、高みの見物でやり過ごしていれば済みます。金現物は紙くずになることはありませんから、将来必要になる時まで気長に保管しておけば良いだけのことです。しかも、10年、20年保有していても、税金がかかることもありません。

一般個人にとっては、時間を味方につけることが何より大切です。金投資は、だれかと勝ち負けを競うような類いのものではありません。時間と争うものでもありません。このことは、けっして忘れないようにしてください。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-06-26 10:28 | →はじめての金読本


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はじめての金読本、移植第13弾です。2010年02月11日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第五弾です。

このところ金価格についての話が多くなっていますが、これはかならずしも本意ではありません。相場なんてものは上がったり下がったりするものです。その点については肚の中にきっちり納めた上で、ゆったり金と向き合うのが健全というものでしょう。

日々の値動きにとらわれる過ぎると、往々にして大きな流れを見落としがちになるものです。そんなときは初心に立ち返ってみるのも悪くありません。金読本も今回はそのスタイルでまとめてみましょう。

そもそも何のために金を買おうとしているのか。儲けたいからなのか、万一に備えたいからなのか、あるいは将来が不安な年金の足しにしたいからなのか、そのあたりをあらためて再確認して、自分の立ち位置を明確にしておくことは大切だろうと思います。

そして、買う時は、信念を持って買い、買ったら忘れる。金が必要になるまで忘れるくらいが丁度いいでしょう。動機や目的がフラフラするようでは、先が思いやられます。

買うタイミングがよく分からないという向き、買いたいのだけど怖いという向きは、少し手数料はかかりますが、資金を小分けにして、小さな重量サイズの地金、あるいは金貨をコツコツ買えばよろしい。

それでも買い時が分からなくて踏み出せないという向きは、純金積立で長くコツコツ買っていけばよいだけのことです。純金積立は、金価格が上がったら少しだけ買い、下がったら多く買うという仕組み。そして余裕がある時にはスポットでドンと買い足す。長期の視野で見たら、こんな重宝な買い方はありません。売却する時にも必要な分だけ売ることができますしね。

繰り返しますが、買うなら、信念を持って買う。確信が持てない人は買わない方が良い。目先の損得が気になる人も、手を出さない方が良いと思います。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-05-21 17:14 | →はじめての金読本


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はじめての金読本、移植第12弾です。2010年04月09日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第四弾です。

いまさら云うまでもありませんが、金価格は日々変動しています。価格水準が上がると、その振幅は上へ下へと大きくなりがちです。そんな大きな価格変動に遭遇しても、冷静にいられれば良いのですが、なかなか達観できるものではありません。

いま買わなくちゃと、焦って大枚を叩いたりすると、結果的に読みが勝ってOKの場合もあるでしょうが、ときに思わぬ高値をつかむことだってあります。短期の値動きに目を奪われがちな人は、いま買わなくちゃ、いま売らなくちゃ、なんて気持ちになりがちですが、なにも焦ることはありません。

できるだけ大きな流れを見るようにして、時期を細かく分散して買っていけば良いのです。そのうち自分なりのタイミングがつかめるようになります。

保有している金地金や金貨を売却する場合も同様です。金は、困らない限り、バブル化しない限り、保有し続けるのが基本ですが、必要になることもあるでしょうから覚えておいてください。

なお、金価格も、時折、まるでアクロバット飛行中のジェット機のようにグングン上昇していく局面があります。でも、急騰する相場は、早晩、急落するのが常ですから、そういう場面で金を買うことは手控えた方がいいでしょう。

金はあくまでも長期資産と考えて、焦らずゆっくり落ちついて付き合っていきましょう。世の中、焦って良いことなんて、ありませんから。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-05-01 13:28 | →はじめての金読本

金保有の目安は

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はじめての金読本、移植第12弾です。2010年03月15日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第三弾です。

金はどれくらい持つのが良いでしょうか、と聞かれることがあります。その問いについては、財産の1割、せいぜい2割が妥当と答えることにしています。とはいえ、必ずしもそこに明快な根拠があるわけではありません。あえて根拠らしきものを求めるとすれば、世界の中央銀行の外貨準備に占める金準備の割合が平均すると1割程度になる、というあたりでしょうか。

もうひとつ。金は「万一のために備える保険」のようなものですが、あまり保有比率を高めすぎるとどうしても価格動向に目が向きがちになります。しかし日々の値動きなどを気にしていては、安心の種であるはずの金保有が心配の種になってしまいかねません。これで本末転倒になってしまいます。金読本の指針としては、やはり財産の1割程度が基準になるだろうと考えています。ゆっくり時間をかけて1割へ近づけるのがいいでしょう。

ところが世の中にはもっと保有したいという向きもあります。2割くらい持ってはいけないのだろうか、などという質問を受けることもあります。しかし、そのあたりは人それぞれの考え方次第なので、ご自分で判断した方がいいと思います。ただ、これだけは云えそうです。2割持ちたいとか、3割持ちたいという人は、将来への不安がそれだけ大きいということです。将来に対する不信感が強い人は、概して多く持ちたがる傾向にあります。ですから、金の保有比率に対する処し方が、そのまま自分自身の世の中に対する不信感度を測る物差しになると云えそうです。

そもそも肝心の金の評価額のもとになる金価格からして、日々上がったり下がったりしています。金の保有比率については、あまり神経質にならない方が精神衛生上もいいのではないでしょうか。

なお、財産のなかに現在お住まいの自宅を入れてはなりません。たしかに法的には住まいも財産としてみなされますが、それはあくまでも生きて行く上での拠点であって、財産とみなすべきものではないはずだからです。目安は、自宅を除く財産の1割程度と覚えておきましょう。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-04-10 10:48 | →はじめての金読本

10年は保有するつもりで

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はじめての金読本、移植第11弾です。2010年03月07日に公開した原稿に手を入れたものです。金と付き合うための指針、第二弾です。

短期の利益を追うのか、資産の保全を考えるのか、金との付き合い方には大きな違いが生まれてきます。

あくまでも短期の利益を追いたいというのであれば、わざわざ金地金や金貨を売り買いする必要はありません。金先物=将来の金価格を売り買いすればよいことです。それなら投資資金の何倍もの取引ができますから、予想が当たれば儲けはドンと大きくなります。ただし予想が外れれば損失も一気にふくらみます。金先物は、ハイリスク・ハイリターンであることをしっかり認識しておくことが必要です。

この「はじめての金読本」はそういう立場には立っていません。金は、外見は派手でも役目は地味、という立場です。「万一に備えるための資産」と考えていますから、もし金と付き合うのであれば、少なくとも10年は保有するつもりで買うことを勧めます。

そうなれば日々の値動きに一喜一憂することもありません。10年保有を想定すれば長く寝かせて大丈夫な資金しか充てられないことにもなります。昨今、将来受給額が減少するであろう年金の足しにしたいという理由から、コツコツ金を買っている人が増えているようですが、それくらい控え目なペースが金には相応しいでしょう。

頻繁に売ったり買ったりを繰り返せば、手数料もかさみます。必要以上に譲渡税もかかります。税金のことは別の機会にお話ししますが、長期保有は税金面で優遇されるメリットもあります。

困ったことがない限り金は売らない。バブル化しないかぎり金は売らない。それが基本です。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-04-03 08:33 | →はじめての金読本

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はじめての金読本、移植第10弾です。2010年03月01日に公開した原稿に手を入れたものです。今回からこの「はじめての金読本」カテゴリーでは、しばらく断続的に「金と付き合うための指針」を展開する予定です。ゆるゆるとお付き合いください。

以前も触れましたが、金は利息を生むことがありません。配当という果実をもたらしてくれることもありません。そのため金価格は、金利が上昇する局面では、どうしても売られがちになります。

しかし、ここで思い起こしておきたいことは、リーマンショックで明らかになったように、21世紀は、良くも悪くも金融や経済が国際化して、地球の裏側で起きていることが、日本国内に思いもよらない影響を及ぼす時代であることです。また格差が拡大し社会はじつに不安定な状況にありますから、小さな行き違いが大きな摩擦に発展することもあります。

不測の事態などというものは稀にしか起きないものですが、起きるときには起きます。それも最悪の時に重なって起きたりするものです。

そうした万一のリスクへの備えとして保有するもの、それが金です。金は信用リスクと無縁の存在ですから、株式や国債などと異なり、紙くずになることがありませんし、インフレやデフレなどの経済リスクに強い性格を持つ資産でもあるからです。

金の役割は、その派手な外見と異なり、じつに地味なものです。たとえ10年保有しても、100年保有しても、ただ静かに輝いているもの、それが金地金であり金貨です。

もしも金と付き合うのであれば、価格が上がったとか下がったとかに一喜一憂することなく、金の役割は「万一に備え」にあると認識して泰然としていることです。「それは無理」と感じる人は、近づかない方が良いでしょう。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-03-27 09:15 | →はじめての金読本