禁煙36日目 比喩としてのナイルパーチ


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禁煙もついに36日目に突入。咳も減ったし、咳払いもほとんど出なくなった。よくぞここまでアルコールの場でも我慢してきたものだと思う。何度も自分を誉めてあげようと思う。

さて、一昨日から「強欲資本主義 ウォール街の自爆」(文春新書)を読み始めたのだが、なにやらモヤモヤするものがあった。強欲資本主義って何かに似てるなあ…、なんだろうなあ…。あー、そうか、ナイルパーチか、と思い当たった。「ダーウィンの悪夢」というドキュメンタリーフィルムの記憶が泡立っていたのだった。

舞台はアフリカ中東部にあるヴィクトリア湖とその周辺。この湖は、琵琶湖の100倍の広さを有しているそうだが、その昔、「ダーウィンの箱庭」と呼ばれたほど、多様性の宝庫であったらしい。

ところが半世紀ほど前に、ちょっとした悪戯なのか実験なのか食用目的なのか知らないけれど、そのヴィクトリア湖に全長2メートルを越すナイルパーチという肉食魚が放たれた。平和な湖に、悪食の異分子が放り込まれたわけだ。ナイルパーチは繁殖力が強く、つぎつぎと他の魚たちを喰い散らかしていった。その結果、生命循環の糸が断たれ、いまや多様性が瀕死の状態となっているという。いうまでもなく湖の環境汚染も歯止めなく進んでいる。つまり「ダーウィンの知らない悪夢」が展開しているというわけだ。

このナイルパーチは、スズキに似た白身の魚で、EUや日本での需要が多いらしい。巨額の資本が湖畔に投下され、周辺の人口密度は急激に膨張し、空港が作られ、魚の加工工場は繁盛する。空港周辺には、パイロット目当ての売春婦も登場する。フィルム映像で観る彼女たちの汚れた姿は、じつに痛々しい。

文明というか経済の発展プロセスをすっとばして、いきなり工場が出来て、さまざまな仕事がそこここに発生する。加工工場から出る廃棄物(魚の頭や骨や尾など)で、土地も汚されていく。それでも昔よりマシという現地の人々の言葉は印象的だ。

ちなみに、ファミレスなどでメニューに「白身のムニエル」などと表示されている白身の魚は、このナイルパーチだという説もある。ひょっとすると、コンビニのお弁当などに使われている白身には、この類いが混じっていないとも限らない。映像で観るかぎり、加工工場の処理現場や周辺は、お世辞にもけっして衛生的とは言い難いのだが…。

悪食の肉食魚ナイルパーチと金融資本主義の強欲ウィルス。偶然なんだけど、じつによく似ていると思うね。

by naomemo | 2008-12-16 07:30