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CO2とNOX


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VW排ガス不正についての空想の続きです。

先日なにげなくTVチャンネルをザッピングしていたら、自動車関連の評論家らしき人たちがコメンテーターとして出演している姿が目に止まった。

ふむふむ、これは、VWの排ガス不正問題がテーマになるなと思い、そのまましばらく見ていたら、案の定。しかも、先日ここで取り上げた清水和夫氏も出演していた。

彼が今回のVW排ガス不正問題にからめて面白いことを云っていたので、忘れないうちにメモを残しておこうと思う。

「日本から米国をみると環境規制のとくべつ厳しい西海岸が輸出上の玄関になる。ところが欧州から米国をみると環境規制の緩い東海岸が玄関になる」。なるほど、欧州の自動車メーカーには、もともと米国の環境規制を甘くみてた背景があったわけね。それにしても、これは卓見だね。

「欧州はCO2(二酸化炭素)コンシャス、米国はNOX(窒素酸化物群)コンシャスなんです」。欧州では、温暖化対策という面から、排ガスに関してCO2削減に対する意識が高い。ところが米国では、生体への影響が大きいNOX削減への意識が強いということか。欧州のディーゼル車が米国市場開拓で苦戦してきた理由はここにあるわけね。

「世界各地域でバランスよく市場占拠率を高めてきたトヨタ、中国での販売台数拡大に依存し米国が手薄だったVW」。この自動車大国、米国市場での不首尾が、今回のVWグループ内の人事抗争の土壌になってたわけね。郷に入れば郷に従うという発想がドイツ民族には薄いのかも知れない。

「BMWは高級車なので排ガス対策にコストがかけられる。でもVWは大衆向け小型車がメインなので排ガス対策にコストがかけにくい」。なるほど。クリーンディーゼルとは云っても、コスト面では厳しいところがあったわけだ。

「創業家であるピエヒ家とポルシェ家の権力抗争」。ドイツには一族支配、家族経営の企業が多いとされるが、VWの今回の不祥事では、もっとも悪い面が出たということかも知れない。しかも、強欲と奢りに彩られている。

そしてもうひとつ。VW排ガス不正関連で見えて来たことは、排ガス試験時は清浄化装置をフル稼働させ、しかし実走行時では清浄化装置を働かなくさせるソフトを組み込んでいたということだ。これもコスト削減の観点から、米国で求められる走行距離に堪えうるだけの排ガス触媒(プラチナ)を搭載していなかった可能性が浮上している。もしその通りだとしたら、詐欺事件と呼ばれても仕方あるまい。


画像出典:ロイター

by naomemo | 2015-10-09 09:54 | いまを読むノート