金とプラチナの違い_5つの視点


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純金積立とプラチナ積立をおやりになっている読者から、以前、こんな質問をいただいた。「金とプラチナは同じスタンスで買っていて良いものかどうか」と。なかなかクールな質問です。

両者はおなじ貴金属でありながら、さまざまな違いがあります。そうした違いを知っておくことで、たしかにスタンスは変わるでしょう。今回は、両者の違いを5つの視点で整理してみます。

第一の視点:通貨としての顔
金は装飾品として7000年の歴史を有しています。通貨としても2500年の歴史があります。金はそれだけ長い過酷な時の風雪に堪え、いまなお装飾品として資産として価値を認められています。それに対してプラチナはどうなのか。貴金属として一般に認知されてから、残念ながら250年の歴史しか有していません。発見や認知が遅れた要因は、産出地域がごく限られていること、融点が高く(金が 摂氏1064.4度、プラチナが摂氏1770度)、加工が容易ではなかったことが関係しているのではないかと思われます。いずれにしてもこの浅い歴史ゆえにプラチナは「通貨になり損ねた貴金属」、と云うことができるかも知れません。通貨としての顔を持つ金、通貨としての顔を持たないプラチナ、ここがまず第一の違いでしょう。

第二の視点:市場規模の違い
金もプラチナも希少な貴金属として知られています。が、希少性という観点で見ると、プラチナは貴金属の王様とも云うべき存在です。市場規模で言うとプラチナは金の1/20、希少価値では断然プラチナに軍配が上がります。したがって、平時であれば、金よりプラチナの価格の方が高いのが普通です。ただ、当然のことながら、金に比べてプラチナの流動性は低いわけで、プラチナの市場価格は時に大きく変動しがちです。

第三の視点:産出地域の違い
金は希少な貴金属と云いつつも、北米、中南米、アジア、アフリカ、オセアニア、ISなど、世界各地域であまねく産出されています。ところが一方のプラチナは、その産出量の7割を南アフリカ共和国に依存しています。したがってプラチナの供給は、同国の政治および経済状況の影響を強くに受ける傾向があります。とくに鉱山労働者の賃金上昇圧力と電力インフラの脆弱さが、同国の鉱山経営にとって二大リスク要因になっています。

第四の視点:需要構造の違い
金需要は、宝飾品と工業品で6割、残りは公的部門の購入および個人投資用という構成になっています。商品と通貨の二つの顔を持つゆえに、金需要は景気動向に左右される反面、金融情勢にも大きく左右される傾向があります。一方で、プラチナ需要はディーゼルエンジン自動車の排ガス触媒と宝飾品で8割近くを占めています。残りもほとんどが工業用の需要です。プラチナは産業用の貴金属であるため、需要動向は景気に大きく左右されます。

第五の視点:主要な需要地域
金の最大需要地は、いまさら云うまでもありませんが、インドと中国です。両国の需要を合わせると、世界の現物需要の4割程度となります。一方、プラチナの需要地は、欧州と中国です。欧州の主要な需要はディーゼルエンジン自動車の排ガス触媒、中国の主要な需要は宝飾品、この二つだけで世界需要の4割に達します。とくにプラチナ需要の動向を見る上で、この点は重要です。

このように金とプラチナはおなじ貴金属でありながら、投資媒体としては、かなり違いがあることが分かります。いろいろな考え方があるだろうとは思いますが、まとめれば中長期の資産として保有するのであれば金、中短期の投資を楽しむのであればプラチナ、と位置づけて付き合って行くのが良いのではないでしょうか。


イラスト:三井孝弘さん



by naomemo | 2015-07-24 11:19 | →はじめての金読本