プラチナ雑感01:欧州とプラチナ


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個人的にプラチナにコツコツ買いを入れているので、ここで欧州とプラチナについてメモして置こうと思う。たまにはこんな話題もいいでしょ。

その前に、ざっくりと全体を押さえておきたい。いまは世界中に緩和マネーが溢れている。しかしその膨大なマネーの運用先となると、そうそうあるものじゃない。いまの欧州には行きにくい。経済全体として見れば最悪期は脱して、そろそろ浮上という段階だが、しかしギリシャ問題が解決せず、ことによればスペイン、イタリアへの飛び火の可能性も否定できない。

新興大国の中国は景気後退のサインが点滅中。しかも、あろうことか上海株式市場が官製バブルの崩壊で、いまは危なっかしくて近寄れない。ロシアにも政治的な理由で近づきにくい。堂々と近づけるのは中国くらいなものである。そこはさすがと感じる。

一方、リーマンショック後に市中のドル流通量を4倍まで膨張させて景気が回復基調にある米国は、緩和の出口に向かおうとしている=引締めに動こうとしていることから、ドルが新興国から米国本国へ里帰り。FRBは金利の引上げに動きたいところだけれど、しかし皮肉なことにドル高が進行したことでグローバル企業の業績が凹んでいる。欧州、中国への影響も無視できない。

緩和マネーで、この二年間で株価が大きく上昇してきた日本も、いまでは上海リスクが気になるところ。

さて、ざっくり全体を俯瞰した上でプラチナを見てみると。

まず、プラチナの市場は、ゴールドの市場の1/20程度に過ぎない。ゴールドも稀少性は高いのだが、プラチナの方が希少性では圧倒的。年間産出量だけを見ても、ゴールドの3000トンに対して、プラチナは200トンにも満たない。じつに微々たるものである。

供給面でのもう一つの特徴は、ゴールドの生産地が世界各地に分散しているのに対し、プラチナは南アがおよそ7割強を占めている。つまりプラチナの供給は、南アという国の情勢に大きく左右される面があるということ。しかも南アの鉱山は、鉱山労働者の賃金上昇圧力と電力供給不安をつねに抱えている。ここで問題が起きると、どのようなことが起きるか想像に難くないだろう。これまでも数年に一度くらいの割合で、この問題が顕在化している。

一方の需要はどうか。最大需要のディーゼルエンジン自動車の排ガス触媒が4割強を占めている。その次が宝飾品で3割強。つまりプラチナの需要は景気に大きく左右されるわけ。通貨としての顔を持つゴールドとは、この点が大きく異なる。そして、最大需要のディーゼルエンジン自動車の排ガス触媒の主要なマーケットといえば、それは欧州なのである。

冒頭に載せた過去10年のプラチナ価格の推移を見てみよう。ちょうど10年前の価格水準が800ドル台、そしてリーマンショック後に急落した際の価格がやはり800ドル台の水準。その後持ち直したものの、リーマンショックが欧州に伝染し南欧の債務不安から景気が冷え込み、ズルズル下げて現在の1000ドル水準に至っている。10年のレンジで見る限り、底値まで200ドル。ここに来て下げ足を速めているのは、ギリシャ問題が長引いているからだ。

つまり欧州から(そしてプラチナから)投機マネーが引いているというのが実情だろう。投機マネーが引いたところが、個人の出番だと思っているわけだ。

あとはEUがギリシャ問題を乗り切るかどうか。個人的には、ギリシャのデフォルト、ユーロ離脱はあり得ると思うのだけれど、EUからの離脱はないと見る。

そう思う理由は二つ。

一つは、最近の欧州には「地中海国境」という防衛安全保障の考え方があるということ。このボーダーが隔てようとしているのは、云うまでもなく欧州と北アフリカ中東地域。そこに降って湧いたのが大量の難民である。ギリシャはその最前線にある。ゆえに仮にユーロからの離脱が起きてもEUからの離脱はないと見る次第。

もう一つは、ギリシャ政府について、これ以上の支援にEUは否定的な姿勢を通しているが、ここに来てどこからともなく「人道的見地」という言葉が聞こえるようになったこと。そうでも言わないことには、ギリシャの銀行に資金を入れることに、国内世論の賛意を得られないということなのではあるまいか。スサノオのような荒くれギリシャだが、人道的見地という方便を使うことで、メルケルもギリシャに支援の手を差し伸べることが可能となる。だからギリシャの破綻、ユーロ離脱はあっても、EU離脱はないと見ているわけ。

以上は、あくまでの個人の見解。明日のことは、誰にも分からない。けれど、ゴールドもプラチナも実物の資産であって、価値が破綻することはない。いつまでも値を崩し続けるとは思いにくいからコツコツ拾っている。1000ドルを割れば800ドルまであると思うけど、その時は大きく拾えば良いだけのこと。だから、5年、10年寝かせても大丈夫な資金を投じている。そうは云っても、たいした金額ではないけれど。

最後に。安倍政権の動きにキナ臭ささ感じている個人としては、貴金属現物への投資は、将来リスクに対する、ささやなかヘッジの意味もある。


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by naomemo | 2015-07-10 11:43 | →はじめての金読本