欧州雑感07:弱い国が強い通貨を持つ悲劇


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今朝NHKBSを観ていたら、フランス国営放送の番組で、ギリシャの債務問題について、思わず耳が立つようなコメントがあった。発言者の名前はチェックし損ねたけれど、おそらくフランスのアナリストか学者だろうと思う。

うろ覚えなので、その発言を思い出しながら解釈するけれど、つまり、こういうことになる。

ユーロが誕生した1999年から現在まで、ユーロ経済は18%拡大している。それに対して債務問題で叩かれているギリシャはどうかと云えば、ユーロ導入当初は成長したが、リーマンショックを経て、結局プラスマイナス0%に戻ってしまった。現在抱えている債務はギリシャにとっては巨大すぎて、すでに返済能力を超えている。

これは、(ギリシャのように)経済の弱い国が、(ユーロという)強い通貨を持ったことで起きた、必然的な帰結である、ということを意味する。

ECB、IMF、ドイツは現在、ギリシャの債務問題のユーロ圏への波及を回避すべく交渉を重ねている訳だけれど、そもそもの問題がユーロの仕組みにあるのだとすれば、ユーロの仕組みに改変が加えられない限り、回避は不可能で、同様の問題が他の国へ波及せざるを得ないのかも知れない。

ギリシャが立ち直るには、債権団が自らの債権を放棄し(あるいは相当部分をカットし)、そのあとでギリシャはユーロを離脱してドラクマに戻る他なさそうだ。しかし、債権団が債権を放棄することはなく、ギリシャから取れるだけ取ることしか考えてはいないだろう。悲劇的としか云いようが無い。

どうやら通貨は、国あるいは地域の実情にあった強さであることが望ましい、ということになりそうだ。個々の国がそれぞれの実情に合わせて為替政策も打ち出せない現在のユーロシステムは、経済の強いドイツにとっては好都合であっても、(ドイツに比較して)経済の弱いギリシャ、そしてスペイン、さらにイタリアなどの国にとって、負荷が大き過ぎるということだろう。

けっきょく南欧の債務問題は、これからも長く続かざるを得ないのだろう。そしてもうひとつ、通貨発行権は経済の弱い国にとってこそ大切なのだということを、今回のギリシャの事例は教えてくれていると思う。たとえ隣の芝生は青く見えたとしても、けっして自ら手放してはならないものなのだ、と。


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画像出典:CNN.co.jp

by naomemo | 2015-06-24 10:30 | いまを読むノート