欧州雑感03:内部の宗派対立


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先日、WOWOWでケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」と「エリザベス:ゴールデン・エイジ」を連続で観なおす機会があった。ケイト・ブランシェットのエリザベスもなかなかのものだったけれど、ジェフリー・ラッシュ演じるフランシス・ウォルシンガムが目を引いた。

この作品がどこまで史実に基づいているのか不明なのだけれど、エリザベス政権を確実なものにするべくフランシス・ウォルシンガムによって国内外に張り巡らされた諜報・監視網が、世界に冠たる英国諜報組織の礎になったのかも知れないな、などと妄想を逞しくしてみたりもした。

映画の中では、まるで「ゴッドファーザー」における敵対勢力の謀殺を彷彿とさせるようなシーンがあった。ちょっとやり過ぎじゃないの?と思いつつも、あらためて英国の16世紀は血塗られた時代だったんだなと感じたし、宗教がからむ軋轢あるいは宗教の衣をかぶった対立が表面化すると、じつに厄介になるものだな、とも感じた。その意味で、面白い作品ではあった。英国はそれから半世紀後に清教徒革命の嵐が吹き荒れる訳だけれど、繋がっているわけね。

さて、ロシアのことである。

プーチン大統領は、旧ソヴィエト連邦時代に宗教が厳しく弾圧されたのとは対照的で、ロシア正教会を手厚く保護していることで知られる。根っ子に個人的な宗教心もあるのかも知れないけれど、やはり政権の求心力強化のためにロシア正教会を利用して愛国心を温めてきた、と見るのが正解だろう。結果、愛国心の体温は、すでに適温を越えて沸騰しかけていると見られている。その最右翼がウクライナの親ロシア派であろう。ウクライナは東部地域を失うと経済が破綻するとの見方がある一方、その東部地域はロシア語地域であり首都モスクワの喉元に位置することから、双方の歩み寄りは容易ではないわけだ。

宗教の文脈で欧州を見渡すとロシアと共通の宗派に属する国がいくつかある。なかでも目を引くのが、いままさにEUにとって頭痛の種となっているギリシャである。それぞれロシア正教会、ギリシャ正教会と呼ばれてはいるが、これは東方正教会のロシア版、ギリシャ版であって、別物ではない。プーチン大統領がロシア正教会を保護してきた深慮遠謀は、こんなところにも感じられる。

欧州の「東の果て」と「南の果て」には、欧州と宗派が異なる国がある。

では、東方正教会を除けば、欧州内部は一体かといえば、そうでもなく別の宗派対立の芽もある。これはまだ地下深くに眠っているのだけれど、EUが経済財政問題だけでギリシャの扱いを誤ると、目を覚ますような気がする。

(※)
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by naomemo | 2015-02-19 08:35 | いまを読むノート