世界中から集めてプール3杯半


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はじめての金読本、移植第3弾です。2010年1月21日に公開した原稿を整理、加筆したものです。

人類が金と出会ってから、少なくともすでに7000年もの時間が経過しています。この点はすでにお話した通りですが、それだけ膨大な時間をかけて、これまで人類が営々と採掘し、精製し、加工してきた金製品は、この地上にいったいどれくらいあるのでしょうか。

もったいぶるつもりはありません。地上に存在する金製品をすべて集めて純金に精製し直すと、2010年末で約166000トンとされます(※1)。現在、年に2500〜3000トンほど新規に掘り出されていますから、それから4年経過した2014年末では、およそ178000トンほどになるだろうと推計されます。

178000トンと云われても、その数字だけでは実感が湧かないだろうと思います。それがいったいどれくらいの量になるのか、使い古された喩えになりますが、イメージしやすいようにオリンピック競泳用の50mプールに全量を熔解して流し込んだとすると、およそ3.7杯分になります(※2)。そのうち世界の中央銀行が保有している金は30000トンほどです。

全世界の金を集めても、それだけの量ですよと云っても、驚いて信じない人が多いのですが、これは事実です。金の地上在庫はじつに僅かなものという他ありません。

金が持つ不滅の輝きその長い通貨としての歴史と同様に、この希少性も、金がもつ真価のひとつとなっています。


イラスト:三井孝弘さん


(※1)
金の地上在庫166000トンというデータは、世界的に信頼の高い英国の貴金属調査会社GFMS社(現在Thomson Reuters社の貴金属調査部門となっています)が毎年発行している、“Gold Survey"(金需給報告書)2011年版に記載されています。



(※2)
オリンピック競泳用の50mプールを、仮に縦50m×横25m×深さ2mの容量として計算しています。数学が得意の人はご自分で計算してみてください。ちなみに金の比重は19.3です。1リットルのペットボトル1本に入った金と釣り合う水は、おなじ容量のペットボトル19.3本分というわけです。



(追記)
上の注釈(※2)で言及したオリンピックプールの深さについて、読者から問い合わせが入ったので、少し説明します。オリンピック委員会による推奨深度は3メートルとなっています。しかし実際的には2メートル以上あれば規格をクリアするようです。したがって、ここでは希少性をいたずらに煽ることを避けるためもあって、最低深度2メートルを採用しています。

by naomemo | 2015-02-12 05:00 | →はじめての金読本