金は太陽のごとく輝くもの


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「はじめての金読本」の移植は、まず、金の価値って何だろう?というところから始めます。お題は「金は太陽のごとく輝くもの」。2010年1月14日に公開した原稿を整理し直し加筆したものです。

古代人の感覚がどのようなものであったか、もちろん定かではありません。現代に生きる我々に知り得ようはずもありません。けれど古代文明の遺跡から発掘された金の装飾品の数々から、人類の金に対する愛着がどれほど深いものであったか、おぼろげながら感じ取ることはできます。

考古学の発掘調査によれば、これまでに発掘された人類最古の金装飾品は、紀元前五千年紀後半のものといいます(※1)。つまり人類と金との付き合いはすでに七千年近くに及ぶということです。

金の比重は19.32あります。つまり水の19倍強に相当するということです。実際に手に取ってみると日常感覚を覆すようなズシリとした重みを感じるはずです。この重量感はなにものにも代え難いものがあります。

金は自然環境下では錆びることも腐ることもありません(※2)。百年の時を経ても、千年の時を経ても、輝きを失うこともありません。ここから不滅のイメージが導き出されます。

そもそも金の元素記号である ”AU” は、ラテン語の “AURUM(輝ける曙)” から派生したものだとされます。その名称からして、すでに闇を払う太陽を意味しているわけです。

金についての人類の思いがどういったものであったか、こうした事象が如実に示していると云ってよいでしょう。金は、古代人にとって、太陽のごとく不滅の輝きを放つ貴い物質であったわけです。

「資産としての価値」とか「通貨としての価値」について考える際、まずはこうした人類の心の奥に潜んでいるであろうプリミティブな感動や願いを感じ取っておくことが第一歩ではないかと思います。

そうでなければ、現代の女性たちが、ゴールドジュエリーを求める気持ちも、世界中の中央銀行が金を保有し続けている理由も、とうてい理解することは出来ないでしょう。金には、理屈を超えた不思議な魅力がある、と、ひとまず理解しておくと良いかも知れません。


イラスト:三井孝弘さん

(※1)
黒海沿岸、現在のブルガリア共和国辺りで栄えた古代トラキア文明の「ヴァルナ集団墓地遺跡」から、紀元前5000年紀のものと推定される
「金の王笏(おうしゃく)」
や「金のバングル」が出土しています。



(※2)
自然環境の中で金は腐蝕しませんが「王水」など人工的に生成された混合物には反応するものがあります。



by naomemo | 2015-02-04 14:09 | →はじめての金読本