戒厳令下のフランス


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今回のシャルリエブド襲撃とその後のフランスの反応を見ていて、少し歴史を紐解く必要があると感じている。

欧州は「法の下の平等」「人種の壁の超越」を旗印にアフリカ系、イスラム系の移民を受け入れて来た。ただ建前はどうであれ、多くは「安価な労働力」が欲しいという経済界の要請を受けたものだったのかも知れない。その反対には「豊かになりたい」という移民側の要請もあっただろう。そこまでは相互のニーズがマッチしていたと言えそうだ。

しかしその幸運な流れはリーマンショックという金融恐慌によって一変した。欧州域内の景気が急激に悪化し失業率が急上昇。その憤懣の矛先が自分たちに向かうのを怖れる政権側は、当然のごとく移民への締め付け強化に動く。市民レベルでも移民排斥の機運が高まっていく。

後付けでしかないが、考えてみれば、もともと市民たちが快く移民を受け入れて来たかどうか定かではない。忌まわしい過去(ユダヤ狩り)を打ち消したいという深層心理の働きがなかったとは言い切れないだろう。下世話な話だが、日本で言うところの3K的な仕事を忌避したい機運もあったかも知れない。

シャルリエブド襲撃はこうした大きな流れの中で起きた事件だろうと思う。

移民は単なる「経済的な労働力」とは片付けられない。特有の言語があり、文化があり、慣習があり、宗教がある。その違いも余裕があるうちは受け入れられても、失業で背に腹は代えられなくなれば、受け入れ続けることは難しくなるだろう。時の政権にとっても、対応を間違えれば死活問題となる。今回フランス国内で兵士が1万人も動員されたのは、表向きシャルリエブド襲撃の共犯探しとなっているが、移民(とくにイスラム系、ユダヤ系)に対する市民の暴発的行為の抑制の役割が大きいのではないかと感じている。

自由化から規制強化へ。これは時代の流れなのだ。

画像出典:
http://www.afpbb.com/articles/-/3036303

by naomemo | 2015-01-13 11:21 | いまを読むノート