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いったん降りるのも選択肢だね


先日、ツタヤの経営母体であるカルチュア・コンビニエンス・クラブの創業者がツタヤの発行済株式を全株取得して東証1部の上場廃止を目指す、という記事が目に止まった。昨日は、出版界に新風を巻き起こして成長を続けてきた幻冬社が同様の宣言をしたというニュース。若干ニュアンスに違いがあるとはいえ、どちらも経営の自由度を高め、事業を機動的に展開していきたいというのが理由のようだ。これはつまり、短期差益のみ求めるファンドなどを相手にしていてはマトモな仕事ができんから、マーケットから撤収しようという決断のようだ。

それとは対照的に、新日本製鉄と住友金属工業は、グローバル市場で戦い抜けるように統合の道を選択したというニュース。この二社の統合は、グローバルな競争に勝ち抜くためという面が強いかも知れないけれど、やはり投機マネーに対する防衛策という意味合いを持っていることは周知の事実だろう。もはや株式を全株取得するとかしないとかのレベルじゃないから、反対にさらに大きくなることでマーケットに対抗しようということだろうね。

そして今朝目に止まったのは、ニューヨーク証券取引所とドイツ取引所が年内合併を目指すというニュース。世界中で国境を超えた取引所の連携が一大ブームになっている観があるね。そう、マネーは軽々と国境を超える時代になったのだ。

「国境を超える」といえば、インターネット。チュニジア、エジプトの政権を倒し、さらにイラン、ヨルダン、バーレーン、イエメン、リビアへと波及している民主化要求デモでは、ツイッターやフェイスブックが情報伝達手段として利用され大きな役割を果たしたと云われる。ツイッターもフェイスブックもソーシャル・メディアと呼ばれているが、「空間を超える、おしゃべりメディア」と言った方が話が早いかも知れない。そのせいか伝播力がきわめて強い。

もうひとつ、ネット関連ではウィキリークスという新しい暴露メディアが気になっていた。ウィキリークスによって暴露された情報は、あっというまに世界を駆け巡る。公開を何より優先するメディアで、内容の是非は二の次になっているように見える。まるで公開処刑を見ているようで寒気がする。なんでもオープンにすればいいってもんじゃないだろう。それにしてもウィキリークスでさえ、もはや古い話題のような気がしてしまうのが恐ろしいところだ。

マーケットとインターネット。かたや1980年代から始まった「規制緩和=自由化」の胎盤から産み落とされ国家をさえ脅かす存在になったマーケット=投機マネーという名のモンスター。かたや東西冷戦が終わった1990年代に米国の軍事技術が解放されて一気に広がり国家をさえ脅かす存在となったインターネットという名のモンスター。この二つは本来まったく別物なんだけど、とても相性が良いように見えるね。まるで双生児のようだ。どちらも肉眼で捉えることができず、どちらも軽々と国境を超えてしまい、どちらも閉じることを赦さない。

自由も民主も、現代人が求めて来たことなんだけど、どうもあるべき領域を遥かに通り過ぎてしまったような気がする。だから、いったん撤収するという選択は、あり、だと思っている。なんだか今日は重い話になってしまったなあ。なにが言いたいのかって?すみません、わたしもよく分からないんで…。

by naomemo | 2011-02-16 09:15