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鶏も牛も豚も生き物なんだよね


しばらく鳴りをひそめていた鳥インフルエンザが、ふたたび流行し始めたようだ。またも宮崎で、そして愛知で感染が見つかったとか。宮崎といえば、昨年、口蹄疫が猛威をふるって、牛や豚が大量に殺処分された。屠殺され、大きな穴のなかに放り込まれ、消毒されて埋められた。

あのシーンを映像で見る度に、昨年の年初に観たアンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」のワンシーンが思い出された。映画のなかでは、旧ソ連軍が、カティンの森において、ポーランド兵士たちを、一人、また一人と銃殺し、大きく掘られた穴に蹴倒し、白い粉を撒布して埋めていたんだけどね。

今回も、鳥インフルエンザ関連の映像に、白い粉を道路に撒いているシーンがよく出て来るけど、参るんだよね、あれには。こういう時は、まっすぐ正面から見直してみることが一番かもねと思い、いろいろ考えていた。

インフルエンザと口蹄疫とは、疫病の種類そのものが違うし、もちろん感染ルートも違う。けれど、わたしの眼にはなんとなく似たものとして映っている。どこが、だろうか…。インフルエンザにかかった鶏も、口蹄疫になった牛や豚も、ようするに「生産性」とか「生産効率」の観点から、狭い空間にギッシリ閉じ込められて、せっせと「生産」されている。ここにいる鶏も、牛も、豚も、つまり「生き物」じゃなく、「食糧」なんだよね。生産者は、半ばそういう眼で飼育しているし、TV画面の前で、ほんとに殺処分以外の方法はないのかな、なんてブツブツ言ってるわたしも、なかば食糧として見ている。

鶏も、牛も、豚も、狭い空間にギッシリ詰め込まれて飼育されているが、自分たちのことを、人間の食糧だとは思っていない、はずだ。かれらとて、わたしたち同様、生き物だからね。まさに人間の必要から食糧として飼育されているわけだ。でも、気ままに動きまわることはできない。そして狭い空間に長く詰め込まれていれば、当然、ストレスがかかるだろう。よく分からないけれど、じつに大きなストレスじゃないかな。そうなれば、人間とおなじように免疫力だって下がるんじゃないかな。ちょっとしたことで、簡単に病気になるんじゃないかな。

と、ここまで書いてきて思い出したんだけど、以前、世界的に狂牛病が流行していた頃、欧州のどこの地域だったか忘れたけど、牛の飼育法を、古くからの放牧に変えたところ、その地域からはぱったり狂牛病が出なくなったというニュースを見たことがある。

とはいえ、野菜もいまや工場で作るようになった時代である。昔ながらの飼育方法では、それこそ食糧が追いつかない。どういう方法があるのか、わたしには分からない。ただひとつ忘れていけないのは、わたしたちが口にしている肉は、元・生き物だってことだよね。生命を食べることで、わたしたちの生命は生きながらえているってことだ。食事に向かう際の「いただきます」と、いただいた後の「ごちそうさま」に、しっかり心を込めていきたいものだとあらためて思う。じつにつまらない結論になってしまったかなあ。

いまの流れを変える方法で思いつくのは、生産地・生産場所の分散、そして彼らのストレスをいかに緩和するか、じゃないかな。どうしたら彼らの免疫力を恢復できるか、その方法を考えることは、重要な課題のような気がしますね。

by naomemo | 2011-01-28 09:16