映画の見方を教えてくれた、サヨナラおじさん。

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先週の土曜日、これまた港北マイカルで、待望だったジャームッシュの新作、THE LIMITS OF CONTROL(リミッツ・オブ・コントロール)を観てきた。夕方一回だけの上映なので、ひょっとして満席になるのだろうかと思ってたら、200席はあろうかという箱で観客はわずかに10名足らず。なんてこった。

本来ならここでレビューに移っていくところなんですが、この作品はちょっと難物です。もう少し反芻しようと思います。つなぎとして、今日は、映画の見方を一変させてくれた一冊の本を紹介しておきます。社会に出たての頃に読んだもので、対談の名手と呼ばれていた小説家吉行淳之介さんの対談集です。いまはもう手元にないので、タイトルはうろ覚えなんだけど、たしか「吉行淳之介の恐怖対談」、当時、新潮文庫から出ていたと思います。間違ってたら、ごめんなさい。そのなかに、映画評論家の淀川長治さんとの対談がありました。それが、もう、なんとも凄かったんです。

淀川長治さんは、生前、長いこと日曜洋画劇場を担当されていました。いつもそのエンディングで、「さよなら、さよなら、さよーなら」と、小首をかしげながら手を振っていた映像がいまでも浮かんできます。どんな作品でも、どこかしらいいところを探し当ててレビューされていたのですが、正直なところ、もう少しピリリとしたこと言ってほしいなあ、なんだかいい加減じゃないの、なんて思っていたところがありました。そこにどれほどの意味があるのか、じつはよく分っていなかったんです。幼かった。

でも、その対談を読んで、一変しました。淀川長治さんのイメージが根底から覆りました。なになに、このおじさん、映画をそんなふうに観てんの!!!もう、ガーンってやつです。題材に使ってたのは、アランドロン主演の「太陽がいっぱい」。対談の最中に、あれは世界初のホモセクシャルの映画だって発言があったんですよ。ホスト役の吉行淳之介さんも、似顔絵担当としてその場に居合わせていたらしいイラストレーターの和田誠さんも、編集者も口あんぐり状態になってる感じが行間から漂ってきました。

誰も頷く気配がないのを見て、(その場に居合わせたかのように書いちゃいますが)、淀川さん、やおら説明を始めたんです。ひとつひとつシーンの意味を解きほぐしていくんです。えっ、ウソでしょ、それ…。ほんと、おそるべし。あー、でも、でも、残念ながら、ここから先は書けません。忘れた訳じゃありませんよ。もう、何度も繰り返し読んだんだから、忘れる訳ありません。興味がある向きは、ぜひ原本に当たってくださいな。たぶん、映画の見方が大きく変わると思いますよ。というか、映画がもっともっと愉しくなりますよ。

さっき、アマゾンで調べてみたら、いまは講談社文芸文庫から出ている「やわらかい話ー吉行淳之介対談集」の中に収まっているようです。本の画像と一緒にアマゾンへのリンクを貼っておきますね。では、さよなら、さよなら、さよーなら。

by naomemo | 2009-11-13 08:45 | シネマパラダイス