米国の長期金利上昇が意味するもの

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政策金利の引き下げ、景気底割れを防ぐための膨大な財政出動、金融機関救済のための大量の資金供給。これで現在のところ経済も金融も小康状態を保っていると説明されることが多い。たしかにそうかも知れない。とにかくまず止血しなくてはならないだろうし、極度の貧血状態にある身体に大量の血を送り込まないといけないという状態なのだろうとは思う。

しかし、それにしても、ひと昔前までは「世界的な金余り状態」といわれ、それが結局は巨大なバブルを産み、それが弾けて現在があるというのに、ふたたび大量のマネーという血液が注入されている。それでほんとに大丈夫なのだろうか。副作用は起きないのだろうか。正直、なんだかヘンだなあというのが実感である。

考えてみれば、財政出動にしても、資金供給にしても、元手というものが必要だろう。そして、その元手は、おそらく、それぞれの国が債券を発行して、市場に買って貰うことで捻出するほかないだろう。それも大量に、である。しかし、たとえば米国のことを想像してみると、あの瀕死の状態にある米国が発行する国債を、いったい誰が積極的に買うというのだろうか。ひょっとしたら紙くずになるかも知れない債券を、平気で買う人がいるとしたら、それはどういう人なのだろう。

先日も触れたが、中国の金準備増強が、その間の事情を雄弁に物語っているように思える。米国債をこれ以上は買いたくないという、中国の意思表示に見えるからだ。でも、米国としても何とかして買い手を見つけなければならない。どうなるか。利回りは上がらざるをえないだろう。優良な債券は利回りが低くても買い手はつくが、ジャンク債は利回りが高くなければ買われないのが道理だろう。これが現在の長期金利上昇の背景なのだろうと思う。

ここまで書いてきて、「父親たちの星条旗」という米国映画を思い出した。あの映画では、第二次大戦の戦費を捻出するために大量の国債を発行し、それを国民に買ってもらうための一大キャンペーンが張られていた。硫黄島で戦っている若者たちを、むりやり戦争の英雄を仕立て上げてね。GMの破綻も秒読み段階。これから米国はどうなるのだろうか。かならず日本にも及んでくることなので、ちゃんとウォッチしようと思う。




by naomemo | 2009-05-26 07:00 | シネマパラダイス